6月21日発売のプリンス未発表音源集「THE ORIGINALS」の全曲解説

プリンスがこれまで提供していた楽曲のプリンス・ヴォーカルによる楽曲集THE ORIGINALSが6月21日にワーナーよリリースされます。

セルフ・カヴァーというよりガイド

このアルバムは所謂”セルフ・カヴァー”とはニュアンスが異なります。
プリンスは他のアーティストに楽曲を提供する際、自ら歌ったヴォーカル入りを渡す事が多い(自分のアルバムに入れるつもりで歌ってるケースもあります)く、今回のも歌入れするヴォーカルへの”ガイド”的な意味合いに近いと思います。

アメリカやヨーロッパ等ではプリンスの誕生日となる6月7日にTIDALの先行公開で聴くことが可能ですが、日本では聴く事が出来無いので発売日まで待つだろうなと思っていましたが、7日に開催されたトークイベント「プリンス・フォーエヴァー」でTIDALを利用されている吉岡正晴さん経由で聴くことが出来ました😃

楽曲毎のレビュー

あんまり詳しく聴いちゃうと買った時の楽しみが減っちゃうと思いつつも、イベント様に作った資料もあるし、聴いちゃったから判る範囲で楽曲毎のレビューを書いておきます。
(詳しい情報が判らないので間違ってたらごめんなさい)
比較する時に表現が難しいので、先にリリースされてるバージョンを”オリジナル”、プリンス・バージョンを“ガイド”と書きます😅

Sex Shooter (3:06) [Recorded 1983]

アポロニア6Apollonia 6(’84)に収録

’83年、当時付き合ってたデニス・クリスティーナ・マシューズことヴァニティ率いるヴァニティ6の2ndアルバム用に制作しレコーディングまでしたものの、ヴァニティと喧嘩別れして脱退。

代わりにオーディションで選ばれたパトリシア・コテロをアポロニアと改名させメイン・ヴォーカルに据えたアポロニア6用として再レコーディングされた1曲。
ヴァニティがメインを務めたバージョンが流出してましたが、今回のはプリンスが3人分を歌い分けてレコーディングした貴重なバージョンで、中盤にあるアポロニアのセリフを除けば、ほぼオリジナルに近い形です。
”こんな歌い分け出来るならプリンスが出せばいいじゃないか!”って位凄いバージョンです。

Jungle Love (3:04) [Recorded 1983]

ザ・タイムIce Cream Castle(’84)に収録

’82年、メンバーのジェシー・ジョンソンモーリス・ディがベーシック・トラックを作り、プリンスが歌詞とメロディを肉付けした1曲。

当初はクレジットにジェシーの名前があったものの、ジェシーがグループを脱退するとモーリスとジェイミースター名義でリリースされました。(このニュアンスが難しく、アルバムやEP等にはキチンと記載されてるけどcopyrightから外された)
ザ・タイムのガイドは流出してない方なのでコレはとても貴重!
もちろんザ・タイム用なのでプリンスのヴォーカルはかなりモーリスの歌い方に寄せてるのを聴くと、モーリスの歌い方やキャラやプリンスが作ったのか、モーリス本来の個性をプリンスが活かしたのか判らなくなります。

Manic Monday (2:51) [Recorded 1984]

バングルスDifferent Light(’86)に収録

本来はアポロニア6に提供する予定でレコーディングも行われました。

ところが当時LAでブームだった”ペイズリー・アンダーグラウンド”の旗手で’84年にデビューしたザ・バングルススザンナ・ホフス(ヴォーカル)に惚れ、彼女達にお願いされてバングルス達のものに・・・
(ちなみにもう1曲’81年制作の”ジェラス・ガール(Jealous Girl)”も提供されたけど、こちらは却下、’87年にボニー・レイットに提供され、レコーディングされたものの結局お蔵入り。)

バングルス達は自身のバンド・サウンドにアレンジしてますが、今回のバージョンはアポロニア6の為のガイド用だと思います。
ちなみにバック・コーラスにはジル・ジョーンズが歌ってます。

Noon Rendezvous (3:00) [Recorded 1984]

シーラ・E.The Glamorous Life(’84)に収録

ザ・タイムと並んでシーラのガイドもとても珍しいですね。
’84年2月にハリウッドのサンセット・スタジオでベーシック・トラックがレコーデイングされたんで、そのバージョンだと思います。
シーラと共作ですが、こちらはピアノがメインの美しい1曲。
悩殺的なヴォーカルに女性はクラクラになる事間違い無し!このままプリンス・バージョンで良かったかもと思える1曲です。

Make-Up (2:27) (Recorded 1981)

ヴァニティ6Vanity 6(’82)に収録。

最初はヴァニティ6の前身バンド、ザ・フーカーズ(The Hookers)用の曲。
フーカーズは、ヴァニティ6のスーザン・ムーニーズと彼女の友人だったジェイミー・シュープ、そしてスーザンの姉のロリーンの3人組に活動してたのですが、コントラバシー・ツアー中にヴァニティと出会い、照明デザイナーのロイの妻だったブレンダを見つけフーカーズは解散、ヴァニティ6になりました。(ちなみに元歌のメイン・ヴォーカルはスーザン
ダンス・チューンなオリジナルと比べ、サウンドはノイジーなギターが入ってちょっぴりロックっぽく、地声のプリンスの声も相まって怪しさアップです。

100 MPH (3:31) (Recorded 1984)

マザラティMazarati(’84)に収録

ブラウンマークのプロデュースで結成されたバンドで、当初は“KISS”を提供する予定だったものの思いとどまって”100 MPH”と交換(プリンスGJ!)

サウンドにザ・タイムの”Cool”を使ったちょっぴり”やっつけ感”のあるこの曲ですが、オリジナルに比べプリンス版はギター強めのロック・テイスト。
こうなるとまた雰囲気違いますね~

You’re My Love (4:24) [Recorded 1982]

ケニー・ロジャースThey Don’t Make Them Like They Used To(’86)に収録

このアルバムの中で最も衝撃を受ける事間違い無しの1曲。
今回収録されたのは’82年なので自宅の”Kiowa Trail Home Studio”(カイオワ・ホーム・スタジオ)で収録されたベーシック・トラック。
若きプリンスの声はなんとも生々しくイベント会場で聴いた時、全身鳥肌が立ってしまいました!
オリジナルは散々聴きましたが、やはりプリンス・バージョンが何百倍も良いです!
ちなみにこの曲、’85年にカリフォルニアのサンセット・スタジオ、’86年にオーケストラを追加したバージョンを収録、ザ・ファミリーに提供予定だったものの結果的にケニーの手に渡りました。
ポール・ピーターソンが歌ってエリック・リーズのサックスが入ってたら…と妄想するともう素敵アレンジ😭

イベントでちょっと話しましたが、なんでこの曲がケニーの手に渡ったんでしょうね。
プリンスは’97年のライブでケニーの“The Gambler”をカヴァーしてるから、純粋にケニーの事が好きなのかな?
それともケニーが”We Are The World”に参加した時、シーラへの対応が親切だったのかな…いつかこの答えが判るといいな。

Holly Rock (6:39) [Recorded 1985]

Krush Groove(’85)のサウンド・トラックに収録

’85年4月にサンセット・スタジオでレコーデイングされたガイド曲で、同年、映画『クラッシュ・グルーヴ』用に提供された楽曲。
結果的に未発表となった”Feline”から歌詞を一部引用して制作された曲で、タイトルの”Holly Rock”は当時制作してた”Dream Factory”の歌詞にも出る位好きなワードだったんでしょうね。
当然オリジナルの様なパーカッション・サウンドは入っておらずサックスはエディ・M、大してガイドはエリック・リーズのサックスを担当、エディとはまた違うエロさがあるエリックのサックスが収録されたこのバージョンなら「Sign O’ The Times」に収録されてても良さげです。

Baby, You’re A Trip (5:52) [Recorded 1982]

ジル・ジョーンズJill Jones(’87)に収録

ガイドは’82年7月サンセット・スタジオでレコーデイングされたものと思われます。
これはケニー・ロジャースとはまた別の意味で衝撃を受けた1曲、何が衝撃ってジル・ジョーンズの再現力の高さ!
オリジナルはジルがメインでプリンスがバック、ガイドはプリンスがメインでジルがバック…当然音域とか細かな所は違いますが、お互いのヴォーカルの特徴を上手く引き出した1曲というのが良く判ります。
特にエンディングのセリフ的な歌いまわしなんか涙出てきます…

The Glamorous Life (4:12) [Recorded 1983]

シーラ・E.The Glamorous Life(’84)に収録

シーラを代表する1曲で、’83年12月にサンセット・スタジオで録音されたものでヴォーカルはプリンスとジル・ジョーンズ(かな)。
ウェンディ&リサやレッチリのアルバムにも参加しているリサの弟、デヴィット・コールマンのチェロ、ジョージ・ベンソンやアル・ジャロウのアルバム参加してるラリー・ウイリアムズのサックスも秀逸(イベントでこのメモ書いてたの忘れてた!)
パーカッションが収録されてないので非常にシンプルなサウンドになってます。

Gigolos Get Lonely Too (4:49) [Recorded 1982]

ザ・タイムWhat Time Is It?(’82)に収録

こちらも初出しですよね(?)
ガイド版を聴くと”これは最初からザ・タイム用だったのかそれとも自分が歌う予定だったんだろうか?”チョット悩む1曲で、プリンスが出しても違和感無かったかもとか色々妄想出来る素敵な1曲。

Love… Thy Will Be Done (4:09) [Recorded 1991]

マルティカMartika’s Kitchen(’91)に収録

マルティカがメモ帳に書いていた歌詞を見てたプリンスはメモを持ち帰り手直し&作曲してテープを渡したのは有名な話で、その後4曲(”Martika’s Kitchen”、”Spirit”、”Don’t Say U Love Me”、”Open Book”)を追加。
(Open Bookはお蔵入りとなって’93年にジェヴェッタ・スティールHere It Isに収録)

マルティカが歌った事で見過ごされていますが、私はプリンス屈指のラブ・ソングと思っているだけにアルバムの中で唯一90年代の楽曲で違和感ありまくりですがワーナーさんありがとうと言いたいガイド曲です。
(特に終盤の一人ゴスペル隊の部分なんて鳥肌ですよ…)

ちなみにプリンスはこの曲が大好きで96年に開催されたゴールド・ツアーの日本武道館で歌った(THE ENDさん情報ありがとう)り、セルフ・カヴァーとしてソニーTのヴォーカルで「EXODUS」に収録する予定(結局お蔵入り)だったり(これは本当に削除で良かった…)と当時からプリンス自身も思い入れの1曲です。

その思いは近年でも変わらず’16年のピアノ&マイクロフォン・ツアーでも披露していました。是非あのライブをオフィシャルで…

Dear Michaelangelo (5:22) [Recorded 1985]

シーラ・E.Romance 1600(’85)に収録

’85年にレコーディングされたベーシック・トラック。
基本的にはシーラのバージョンに近いけど、Paradeを作ってる裏でこんなギターがギュンギュン唸るロック・ナンバー作るなんてほんと凄いですよ。ちなみにコレもサックスはエリック・リーズだと思います。

Wouldn’t You Love To Love Me? (5:57) [Recorded 1981]

タジャ・シヴィルTaja Sevelle(’87)に収録

元はデビュー前の’76年にベーシック・トラックが制作という事で今作で一番古い曲。
’78年にプリンスがヴォーカルを入れ、同年スー・アンに提供する為にレコーディングしたもののお蔵入りしました。
今回は3年後となる’81年にベーシック・トラックを再録したバージョンなのでタジャの為というよりは自身で歌う為に行ったんでしょうね。

ちなみにこの曲はタジャに提供しましたが、プリンスはマイケル・ジャクソンの“Bad”にデュエット・パートナーを打診されたのを断り、代わりにこの”Wouldn’t You Love To Love Me?”の提供を提案しましたが、マイケルはこれを採用しなかったという曰く付きの一曲です。

その後、タジャの手元に渡る際、女性目線の歌詞に変えてくれたとタジャが語っています。

Nothing Compares 2 U (4:39) [Recorded 1984]

ザ・ファミリーThe Family(’87)に収録

’84年にミネアポリスのフライングクラウドドライブ倉庫でレコーディング、その後ファミリー用としてセント・ポールをヴォーカルに変えてレコーディング。
’18年4月にプリンス・バージョンがリリースされた時にポール・ピーターソンが語った事によれば録音されれた音源が、ポールの実家に届けられたそうです。

この曲、前回と同じと思うんですが何故か2bpm遅くなってます…なんでだろう?

日本盤にはボーナストラックとして同年クレア・フィッシャーがオーケストラ部を追加した”Nothing Compares 2 U (シネマティック・ヴァージョン)”が追加されています。

 

ワーナー情報

公式からの引用

15曲のうち、14曲が未発表トラックとなる。
2019年6月21日に、ダウンロード、ストリーミング、CDが発売。
そして2枚組の180g重量盤LP、その2枚組LPとCDがセットとなったデラックス・エディションは1か月後の7月19日に発売される。

今後の予定としては・・・21日にCDやLP[二枚組]がリリース、7月19日にデラックス盤(LP[二枚組]+CD)がリリースされます。

LPは3種類を用意

https://store.prince.com

LPは左の白盤はPrince Store限定、中央の紫はデラックス盤、右の黒はLP単体の通常盤

https://store.prince.com

 

早くフィジカル・リリースしてー!!!

全体を通してもう良すぎて泣けちゃいます😭
ガイドとしての役割、単に自分がいつか歌おうと思って録音しただけ…目的は様々でしょうけど、このアルバムはプリンスがアーティストにどういう形でイメージを伝えたかを感じる事が出来る貴重な音源だと思います😃

正式リリース後は自分自身の答え合わせもしたいし、これを早く多くのファンの人達と有したいー!

早く出し様が無いのは判ってるけど、早く出してー!

 

YouTubeからオリジナル版をまとめてみました

今後比較で聴くようにオリジナル版をまとめてみました😃

吉岡正晴のソウル・サーチンで紹介して頂きました

この記事を書いた時に吉岡正晴さんにツィートして頂いたのに、今回吉岡正晴さんのブログで私の記事を紹介して頂きました!ありがとうございます!

また長谷川友さんの濃密レビューも曲順通りに掲載されてるので是非ご一読ください!

【追記】スザンヌ・メルヴォワン最新インタビュー

スザンヌ・メルヴォワンによる最新インタビューが掲載されています。
プリンスがいかに自分の楽曲に愛を注ぎ託したかが良く判る素晴らしいインタビューです。

2019-06-11BlogNEWS(Prince), Unpublished