The Hits & B-Side Collection / ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション (’93)
アルバム情報
Released:1993/9/14 | Label: Paisley Park, Warner Bros.
The Hits and B-Side Collection (import)
Track ListDisc 1
Disc 2
Disc 3
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PersonnelProduce,Arranged,Composed
Written
Additional Musician
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改名宣言とNPGレーベル設立
’93年、プリンスはワーナー・ブラザースとアルバム6枚の制作を当時の音楽業界において最高額の約1億ドルで再契約、そしてワーナー・ブラザースの副社長に就任します。
プリンスとしては副社長に就任した事で”自分のタイミングでアルバムをリリース出来る”と思ったのでしょうが、ワーナー側としては契約を履行してもらうべくプレッシャーをかけてきます。
ワーナーとの信頼関係が崩れると、プリンスは4月27日に既に楽曲のストックがあると"レコーディング休止宣言"、誕生日となる6月7日に自身の名前をという読めない記号に改名する事を宣言。
”あれはプリンスとの契約であっては関係無い”と強引な手法をとることとなります。
名前ではなく記号になってしまったので、紹介する際は"The Artist Formerly Known As Prince=かつてプリンスと呼ばれたアーティスト"や、のマークが書かれた紙を掲げられました。日本では”元プリンス”や”ジ・アーティスト”等と呼ばれていました。
傍から見れば暴挙とも言える行動に対しワーナーも”はいそうですか”と折れる訳もなく、両者は契約を満了する為にアルバム(およびビデオ)を次々とリリースする事となります。
またワーナーから援助を受けていた自身のレーベル”ペイズリー・パーク・レコード”も契約破棄に伴い1994年2月1日、ワーナー・ブラザース・レコードとペイズリー・パーク・エンタープライズは、ペイズリー・パーク・レコードの解散を発表。プリンスは閉鎖発表前の1993年にインディーズ・レーベル”NPGレコード”を設立します。
アルバム・レビュー
ペイズリー・パーク・レコードがクレジットされた最後のアルバムとなったのが、デビューから14年間毎年のようにリリースされたアルバムの集大成ともいえるベスト盤です。
さすがにこれだけアルバムがあると選曲も大変ですが、Disc1、2をプリンスの歌詞の中でも大きな要素ともいえる“スピリチュアル"と“セクシュアリティ"の2つに分けて選曲、そしてシングルB名等を収めた「Bサイド」の計3枚56曲が収められています。
ベスト盤発表に合わせ未発表曲を4曲収録してるのも話題になりました。
残念なのは大ヒットした映画『BATMAN』の為に書かれた"Batdance"や"Partyman"等が収録されなかった事ですが、これはコンセプトが違うという理由でしょうね。
アルバム未収録のうちレア音源としては“Nothing Compares 2 U"はザ・ファミーリーに提供した曲で、’88年にシンニード・オコナーのカヴァーでメジャーになった名曲です。ここではThe New Power Generationに在籍していたロージー・ゲインズと歌っています。
そして当時付き合っていたアナ・ガルシア(プリンスはアナ・ファンタスティックと呼んでいました)の18才の誕生日にプレゼントしたピンクのカシミアのコートの事を歌った“Pink Cashmere"も"Nothing~"と同じく、このアルバムが出る迄はブートレグでしか聴けなかった貴重なバラードです。
また“Peach"はこのアルバムと同時にリリースされたシングルでハード・ロック調のサウンドが気持ちいい1曲です。
Bサイドで目を引くのは、当時USA・フォー・アフリカの"We Are The World"に参加するはずだった殿下が「こんなに大物がいたんじゃ緊張して歌えない」と辞退した代わりに提供した“4 The Tears In your Eyes"や、プリンスの数ある偽名の1つ"カミール"のアウトテイクでジェシー・ジョンソンへの嫌がらせ目的で作った“Shockadelica"や“Scarlet Pussy"等貴重なトラックが収録されています。
改名宣言の直後に発売されたこのベスト盤、プリンスという名での活動を締めくくる為のアルバムの様に感じてしまいます。
ちなみにDisc1とDisc2は、それぞれ単品でも販売されています。
【1993年の受賞】
●BRIT Awards[UK]
Best International Solo Artist
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