ORIGINALS / オリジナルズ (’19)
作品情報
Released:2019/6/7 (TIDAL) 6/21 (Releace) | Label: NPG Records, Warner
Track List
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PersonnelProduce, Arranged, Composed
Written
Additional Musician
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レビュー
SONYの再発プロジェクトと並行し、Warnerは「Purple Rain DELUXE」や「Piano & A Microphone 1983」といった80年代の未発表音源をリリース、"第3の矢"となる本作は、”アーティストに提供した楽曲のプリンス・ヴォーカル・バーション”という別角度からのプリンスを掘り下げるという趣旨の楽曲集(ここ大事)になります。
プリンスは常に寝る間を惜しんでスタジオに籠もっては作曲&録音していました。
隣で見ていたスザンナ・メルヴォワンのインタビューによれば、自身が作った楽曲を“マイ・チルドレン”と呼び、何度も手を加えながら我が子の様に育ていたそうです。
そんな子供達を最善の表現をしてくれるアーティストに渡す際は、相手にしっくり合う様に歌詞やヴォーカル・ワークなど手を加え、より正確に届くように自身のヴォーカルを入れて渡していました。
貰う側のアーティストにとって、この音源はプリンスから”こう歌って”というカラオケで例えるなら音程が表示される”ヴォーカル・ガイド”的音源です。
(表現がややこしくなるので提供された方を”オリジナル”、プリンス・ヴォーカルを”ガイド”と表現します。)
1曲目はプリンス主演映画『Purple Rain』でヒロインを演じるアポロニアを中心とするApollonia 6の代表曲“Sex Shooter"を聴けば”ガイド”の意味が判ると思います。
プリンスは3人それぞれのパートを歌い分けてレコーディングされたこの音源は、中盤にあるアポロニアのセリフが抜けてたり若干歌詞の手直し等差異はあるものの、ほぼオリジナルに近い形です。
”こんな歌い分け出来るならプリンスが出せばいいじゃないか!”って位いのクオリティで、こんなもん貰ったらその通り歌うしかないですよね😃
“Jungle Love"はプリンスにモーリスが憑依したかの様な表現力、”Manic Monday”も普段歌わない音域での歌う等、冒頭でも書いた様に相手にプリンスの意思を伝えています。
中でもジル・ジョーンズに提供した”Baby, You’re A Trip”は最後のアカペラ部分までキッチリ歌い上げジルもそれを忠実に表現、この曲はお互いの関係性の深さ故為せた楽曲だと思います。
一方、それに反してるのがケニー・ロジャースに提供した”You’re My Love”、オリジナルを聴き倒してるだけにギャップが有り過ぎてしまいますが、プリンスの生々しい歌声と自身のアルバムではヴォーカル・ワークは、レコーディング当時24歳だった事を想像するだけで鳥肌ものです。
当時この曲はザ・ファミリーの手に渡る予定だっただけに、ポール・ピーターソンの美しいヴォーカルとエリックのホーンが入ったら全然違う色合いを見せたんだろうな…と妄想は膨らむ一方です。
妄想と言えばタジャ・シヴィルが歌った”Wouldn’t You Love To Love Me?”もその1つ。
’76年にベーシック・トラックが完成したこの曲は何度もお蔵入りになり7年後に日の目を見ますが、この1年前プリンスはマイケル・ジャクソンの“Bad”にデュエット・パートナーを打診されたのを断り、代わりにこの曲を提供しましたが、マイケル側は採用しなかったという曰く付きの一曲です。
このバージョンはまだタジャに渡す前のバージョンなので歌詞は男性目線、もしこれをマイケルが歌ってたらまったく別物になってたでしょうが、歌わなかった事が両者にとって良かったのかもしれないな…等と色々考えてしまいます。
一方、マルティカのメモからインスパイアされ出来上がった屈指の名曲”Love… Thy Will Be Done”は、こうして公の場に出てきた事でプリンスの良さを多くの人に判ってもらえる1曲だと思いますし、日本盤と米量販店Targetにのみ収録されてる”Nothing Compares 2 U [cinematic version]”は昨年シングルでリリースされたバージョンと異なるストリングが追加されたテイクで、これもまた素晴らしいです。
全曲解説はこちら
もう一歩詳しくという方はこちらをご覧ください。
今後のシリーズ化に期待
こうやって耳馴染みのある楽曲をプリンスのヴォーカルで聴く事が出来るのは新たな発見や喜びがあって嬉しいですが、当然この様なガイド曲集だけでも膨大にある訳で、出来れば3枚組位で出してもらいたいです😃
そういう方向に加速してもらう為にはコレが売れるかどうかにかかってますね…
通常盤とデラックス盤の違い
デラックス・エディションは日本盤と同じ16曲入CDに加えLP付き。
CDに掲載されたネルソン・ジョージに加えペギー・マクリアリーとスザンヌ・メルヴォワンの解説が付付きます。
LPには3色用意、デラックス版は中央の紫盤で、左の白盤はPrince Store限定、右の黒盤はLP単体の通常盤です。

オリジナルズ:デラックス・エディション/CD/WPZR-30857
Youtubeで全曲配信
YouTubeからオリジナル版をまとめてみました
比較で聴くようにオリジナル版をまとめてみました😃
Manic Monday
Apple MusicにはManic Mondayの音源と共に練習風景の映像を公開しています。
Holly Rock (Edit)
アルバムから”Holly Rock”がシングルカット。アニメのMVがなかなかシュールです😃
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