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ORIGINALS / オリジナルズ ('19)

作品情報

Released:2019/6/7 (TIDAL) 6/21 (Releace) | Label: NPG Records, Warner

Listen on Apple Music

Track List

  1. Sex Shooter (3:06) ('83) - appears on Apollonia’s Apollonia 6 ('84)
  2. Jungle Love (3:03) ('83) - appears on the Time’s Ice Cream Castle ('84)
  3. Manic Monday (2:51) ('84) - appears on The Bangles’ Different Light ('85)
  4. Noon Rendezvous (3:00) ('84) - appears on Sheila E.’s The Glamorous Life ('84)
  5. Make-Up (2:26) ('81) - appears on Vanity 6’s Vanity 6 ('82)
  6. 100 Mph (3:30) ('84) - appears on Mazarati’s Mazarati ('86)
  7. You're My Love (4:23) ('82) - appears on Kenny Rogers’ They Don’t Make Them Like They Used To ('86)
  8. Holly Rock (6:38) ('85) - appears on Sheila E.’s Krush Groove (OST) ('85)
  9. Baby, You're a Trip (5:51) ('82) - appears on Jill Jones’ Jill Jones ('87)
  10. The Glamorous Life (4:11) ('82) - appears on Sheila E.’s The Glamorous Life ('84)
  11. Gigolos Get Lonely Too (4:41) ('82) - appears on The Time’s What Time is It? ('82)
  12. Love... Thy Will Be Done (4:07) ('91) - appears on Martika’s Martika’s Kitchen ('91)
  13. Dear Michaelangelo (5:22) ('85) - appears on Sheila E.’s Romance 1600 ('85)
  14. Wouldn't You Love to Love Me? (5:56) ('81) - appears on Taja Sevelle’s Taja Sevelle ('87)
  15. Nothing Compares 2 U (4:39) ('84) - appears on The Family’s The Family ('85)
  16. Nothing Compares 2 U  [cinematic version] (4:23)*
    *Bonus Track for Japan & Target Release

Personnel

Produce, Arranged, Composed

  • Prince
  • Niko Bolas (mix) (1-11,13,14)
  • Michael Koppelman (mix) (12)
  • Tony Maserati (15,16)

Written

  • Prince
  • Prince, Jesse Johnson, Morris Day (credited Morris Day and Jesse Johnson) (2)
  • Prince, Sheila Escovedo (4, 8, 13)
  • Prince, Martika (12)

Additional Musician

  • Jill Jones (Backing Vocals) (2, 3, 9)
  • Brenda Bennett (Backing Vocals) (3)
  • Morris Day (Backing Vocals) (2, 11) (Drums) (11)
  • Jesse Johnson (Guitar, Backing Vocals) (2, 11)
  • Sheila E. (Percussion, Backing Vocals) (8, 13)
  • Eddie Mininfield (Saxophone) (8, 13)
  • David Coleman (Cello) (10)
  • Larry Williams (Saxophone) (10)
  • Susannah Melvoin (Backing Vocals) (15)
  • Eric Leeds (Saxophone) (15)
  • Clare Fisher (Orchestration) (15)

レビュー

本作について

ソニーによる過去作カタログ再発プロジェクトと並行し、ワーナーからは『Purple Rain DELUXE』(2017年)や『Piano & A Microphone 1983』(2018年)といった貴重なアーカイヴ音源がリリースされてきました。これらに続く“第3の矢”として2019年6月に届けられたのが本作『Originals』です。

プリンス逝去後のリリースとしては通算7作目にあたりますが、全編が未発表のスタジオ録音で構成された単独アルバムとしては、本作が初となります。選曲はプリンス財団のエンターテインメント・アドバイザーだったトロイ・カーターと、プリンスを熱烈に信奉するJAY-Zの共同キュレーションによるもので、1981年から1991年までの黄金期10年間に録音された「他アーティストへの提供曲のプリンス自身によるオリジナル・ヴァージョン」が集められました。

プリンスは常に寝る間を惜しんでスタジオに籠もり、膨大な楽曲を生み出し続けていました。当時スタジオで彼を見つめていたスザンナ・メルヴォワンは、プリンスが自ら生み出した楽曲を「我が子(children)」と呼び、良い家庭へ養子に出すかのように大切に育てていたと振り返っています。

そうして生まれた楽曲たちを他のアーティストへ託す際、プリンスは相手に完璧なニュアンスが伝わるよう、自ら演奏とヴォーカルを吹き込んだ完成音源を渡していました。楽曲を受け取る側にとっては、歌い方やブレス、グルーヴに至るまで「こう歌ってほしい」と指し示す究極のお手本(ヴォーカル・ガイド)だったわけですが、その実態は単なるデモテープの域を遥かに超えていました。プリンスが作ったバッキング・トラックがそのまま採用され、本人のヴォーカルだけを差し替えて世に出た曲も少なくありません。
(※レビューでは、世に出た他アーティストの音源を「リリース版」、本作に収録されたプリンスの歌唱テイクを「オリジナル版」と表記します)

2019年ミックス

本作に収められた音源の大半は、マルチトラック・マスターからニコ・ボラスの手によって新たにミックスが施されています。現代的なハイファイ化に走るのではなく、当時の空気感やプリンスの意図をいかに再現するか——その指針となった貴重な舞台裏を、ボラス自身が専門誌のインタビューで明かしています。

ボラスがまず助言を求めたのは、80年代の黄金期をプリンスと共に築き上げた3人の重要エンジニア——デヴィッド・レナード(1983–1985)、スーザン・ロジャース(1983–1987)、そしてペギー・マクレアリー(1982–1986)でした。

ニコ・ボラスの証言(『Sound & Video Contractor』誌 / 2019年6月25日)

「私は当時のエンジニアたちの多くを知っています。だから最初にしたのは、デヴィッド・レナード、スーザン・ロジャース、そしてペギー・マクレアリーに電話をかけることでした。3人に『当時どんな作業をしていたのか? 私はどうアプローチすべきで、どうすればこの音源に敬意を払えるだろうか?』と尋ねたのです。彼らは当時コントロール・ルームにどんな機材があり、現場で何が起きていたのかをすべて教えてくれました。
私にとって最も大きかったのは、ペギー・マクレアリーが私のミックスを聴きに来てくれたときのことです。彼女はこう言いました。

『素晴らしいミックスよ。でも、これは彼(プリンス)が望む音じゃないわ。言葉を口ずさめて、踊れなきゃダメ。彼が求めていたのはそれだけよ』

その言葉で頭を切り替えたら、作業は実にシンプルになりました。なにしろ、もともとの録音自体が完璧でしたから。必要な音はすべて最初からそこにあったのです」

同時にボラスは、本作における重要なミキシング手法についても明かしています。

「テープのいくつかは完成したリリース版でした。我々はそこにプリンスのヴォーカル、ガイド・ヴォーカルを戻してリミックスしたのです。提供先となったアーティストたちが、いかにプリンスの歌い回しをそのままなぞろうとしていたかがよく分かりました」

つまり本作には、プリンス一人による手付かずの初期デモだけでなく、提供先アーティストの演奏やオーバーダブが施された「完成版マルチトラック」に、プリンスのガイド・ヴォーカルを差し戻して構築されたハイブリッドな楽曲が含まれています。
親しまれたヒット曲のオケとプリンス本人の歌い回しの関係性を浮き彫りにする興味深い試みである一方、一切の手が加えられていない純粋な初期録音を求めるファンにとっては、これが「Frankenstein(合成トラック)」と受け止められる大きな要因ともなりました。

なお、例外として「Love... Thy Will Be Done」は、当時制作された1991年の1/2インチ2トラック・マスターテープが現存しており、マイケル・コッペルマンが手掛けた当時のオリジナル・ミックスがそのまま採用されています。また、「Nothing Compares 2 U」は2018年の単独先行リリース時にトニー・マセラティが手掛けたミックスを引き継いでいます。

そしてアルバム全体の最終的なマスタリングは、プリンスのデビュー作『For You』から数々の歴史的名盤を手掛けてきたハリウッドの名匠、バーニー・グランドマンが担当。プリンスの音を知り尽くしたレジェンドたちの手によって、本作は極めて誠実な形で完成を迎えました。

楽曲について

Sex Shooter (3:06) [Recorded 1983]

提供先:Apollonia 6 『Apollonia 6』 (1984年)
映画『Purple Rain』でも強烈な印象を残すミニマル・ファンク。1983年4月30日、ミネソタ州チャンハッセンの自宅スタジオで録音されました。
元々は当時交際していたヴァニティ率いるヴァニティ6用に書かれた曲でしたが、彼女の電撃脱退により、後任のアポロニア6へそのまま引き継がれた経緯を持ちます。リリース版のバック・トラックはこのプリンス版とほぼ同一で、差し替えられたのは主にヴォーカルのみでした。
聴きどころは、女性3人グループのコーラスや掛け合い、吐息に至るまで、プリンスが一人で完璧に歌い分けている点です。ここまで完璧な設計図を渡されたら、彼女たちはただ指示通りに歌うしかなかった――そんなプリンスの圧倒的なコントロールぶりが伝わってきます。

Jungle Love (3:04) [Recorded 1983]

提供先:The Time 『Ice Cream Castle』 (1984年)
映画『Purple Rain』でも披露されたザ・タイム屈指の代表曲。1983年3月26日、ハリウッドのサンセット・サウンドで録音されました。 ギタリストのジェシー・ジョンソンが持ち込んだコード進行やトラックのアイデアを元に、プリンスがキャッチーなメロディと歌詞を肉付けして完成させました(後にジェシーが脱退した際、権利クレジットから外されるなどの紆余曲折も生じています)。
何より強烈なのは、プリンスがモーリス・ディの伊達男キャラクターになりきった歌い回しです。「モーリスのキャラを真似たのか、それともプリンスがモーリスのキャラそのものを創り上げたのか」と唸るほど完璧。ザ・タイムを決定づけた痛快なファンクの雛形(プロトタイプ)がここにあります。

【補足:テイクの成り立ちについて】
本作のテイクは、プリンスが一人で多重録音した初期デモそのままではなく、ザ・タイムとして完成したリリース版のトラックがベースになっています。そのためジェシー・ジョンソンの象徴的なギターソロやメンバーのコーラスが活かされており、そこにプリンスのガイド・ヴォーカルを差し戻してリミックスされたハイブリッドな構成となっています。

Manic Monday (2:51) [Recorded 1984]

提供先:The Bangles 『Different Light』 (1986年)
ザ・バングルスが歌い世界的大ヒットとなったポップ・アンセム。1984年2月4日、サンセット・サウンドで録音されました。
元々はアポロニア6のアルバム用(プリンスとのデュエット)として制作され、初期構成案にも入っていたものの除外された楽曲です。その後、彼女たちに目を留めたプリンスが「クリストファー」名義でバングルスへ提供しました(ちなみに彼女たちには1981年制作の「Jealous Girl」も提示されましたが見送られ、後にボニー・レイットへ渡るもお蔵入りとなっています)。
バングルス版は自分たちのバンド演奏を重ねていますが、本作のオリジナル版を聴くと、弾むようなポップ感もジル・ジョーンズらのコーラスもすでに完成していたことが分かります(バングルス版にもこのコーラスが一部残されています)。なお、本作リリース時には当時の貴重映像を用いた公式MVも公開されました。

Noon Rendezvous (3:00) [Recorded 1984]

提供先:Sheila E. 『The Glamorous Life』 (1984年)
シーラ・Eのデビュー・アルバムに収録された、美しいピアノが際立つメロウ・バラード。1984年2月13日、ハリウッドのサンセット・サウンドで録音されました(名曲「Another Lonely Christmas」録音のわずか5日前です)。
アルバム全曲がシーラの単独作と表記される中、実際に彼女が作曲に関わった唯一の曲でもあります。
聴きどころは、マルチトラック・テープから引き出された冒頭のアカペラ導入部です。シーラ版ではアルバムの流れ等を考慮してかカットされていましたが、本作ではプリンスの息遣いまで伝わる生々しい歌声がそのまま活かされており、その甘く官能的なヴォーカルの破壊力に圧倒されます。

Make-Up (2:27) [Recorded 1981]

提供先:Vanity 6 『Vanity 6』 (1982年)
1981年夏、ミネソタ州チャンハッセンの自宅スタジオで録音された、ニュー・ウェイヴ色の強いミニマル・ファンク。
元々はヴァニティ6の前身トリオ〈ザ・フーカーズ〉時代に、スーザン・ムーニーズが歌うことを想定して書かれた楽曲です(ヴァニティ6のアルバムでもスーザンがリードを担当)。
無機質なドラムマシンにノイジーなギターが絡むトラックの上で、プリンスは抑揚を抑えたクールな地声で淡々と歌い上げます。リリース版におけるスーザンの甘ったるいロリータ・ヴォイスとは対照的に、プリンス版ではアンダーグラウンドなシンセ・ポップの気だるさと妖しさが全開で、当時の彼の先見性に唸らされる1曲です。

100 MPH (3:31) [Recorded 1984]

提供先:Mazarati 『Mazarati』 (1986年)
ブラウンマークが手掛けたマザラティへの提供曲。ベーシック・トラックは1984年6月24日に録音されました。
彼らといえば、プリンスから渡された「Kiss」の素朴なアコギ・デモを、真の立役者であるエンジニアのデイヴィッド・Zと共にあのアヴァンギャルドなファンクへと昇華させたものの、それを聴いたプリンスに即座に回収されてしまった逸話が有名です(ブラウンマークがプリンスとの決別を固める決定打にもなりました)。その直前、隣のスタジオでマザラティが歌入れを行っていたのが本作でした。プリンス自らミックスや編集に手を貸して仕上げており、結果として彼らのデビュー作を飾る強力な看板曲となりました。
リリース版のタイトなファンクに対し、プリンス版は骨太なギターが唸るロック・テイスト。同じ楽曲でありながら、アレンジの違いでまったく異なる表情と熱量を見せる好例です。

You're My Love (4:24) [Recorded 1982]

提供先:Kenny Rogers 『They Don’t Make Them Like They Used To』 (1986年)
大御所カントリー・シンガーへの楽曲提供という、本作中最も謎に包まれていたナンバー。1982年3月、キオワ・トレイルの自宅スタジオで録音されました(当時23歳)。
異色すぎるこの組み合わせは長年ミステリーとされていましたが、ケニーがプリンスの大ファンで直接依頼したこと、そしてプリンスの助言によりエル・デバージが参加した真相が、2021年にエル本人のInstagramで明かされました。

「今週末、天国にいる偉大なる故ケニー・ロジャースへ、誕生日おめでとう🙏🏽
彼との仕事の裏話をお話ししましょう。実はケニーはある『非常に才能あふれるアーティスト』のファンで、そのアーティストに楽曲提供を依頼したのです。すると、そのアーティストは彼に『You're My Love』という曲を送り、『エル・デバージにアドリブを歌わせるといい』と提案してくれました。
当時ツアー中だった私の元に、プロデューサーのジェイ・グレイドンから電話が入りました。『ケニーが曲を歌ったんだが、君が一緒に歌ってくれない限りリリースしないと言っている』と。この2人のレジェンドによるプロジェクトに参加できるなんて本当に光栄でした🎤。だから私は事前に曲を聴くこともなく、すぐに飛行機で駆けつけたのです。その後の成り行きはご存じの通りです。
ケニーと私が歌うためにこの曲を書いてくれた『才能あふれるアーティスト』が誰なのか、皆さん当てられるでしょうか? ひとつヒントを出しましょう。そのアーティストがクレジットに使った変名は〈ジョーイ・ココ(Joey Coco)〉です」

さらにこの曲は、ケニーへ渡る前(1984年頃)にザ・ファミリーへの提供も検討されていました。長年真偽不明だったこの話も、2020年にケニーが逝去した際、元メンバーのポール・ピーターソンが追悼メッセージの中で事実だったと認めています。

「『ドニー&マリー・ショー』に出演していて素晴らしかったことのひとつは、ケニー・ロジャースのような方々のバックを務められたことでした。彼は快くサインを書いてくれて、今でも大切にしています。もうひとつの面白い話として、プリンスが書いた『You're My Love』という曲は、元々はザ・ファミリーのために用意されていたものだったのですが、結局ケニーの手に渡ることになったんですよね。安らかに、ケニー」

ケニー版は全編再録音されたため、本作に収められたプリンスのオリジナル版はまさに門外不出の貴重なテイクです。後にクレア・フィッシャーのストリングスが追加され、提供用の変名〈ジョーイ・ココ〉の記念すべき第1号ともなった本作。プリンスのソングライターとしての普遍的な美しさが心に深く染み入ります。

Holly Rock (6:39) [Recorded 1985]

提供先:Sheila E. 『Krush Groove (Soundtrack)』 (1985年)
映画『クラッシュ・グルーヴ』のサントラにシーラ・E名義で提供された、疾走感あふれる長尺ファンク。1985年4月24日、『Parade』期の充実したセッションの最中にサンセット・サウンドで録音されました。
歌詞の一部はザ・ファミリー用の未発表曲「Feline」(1984年)から流用されており、タイトルの「Holly Rock」は未発表アルバム『Dream Factory』の表題曲の歌詞にも登場するお気に入りのフレーズでした。本作に収められたのは当時の12インチ・シングル(Extended Version)と同一テイクで、怒涛のラップ調ヴォーカルとパーカッションが炸裂します。
なお、本作からはエディット版が先行デジタル・シングルとして配信され、ポップな公式アニメーションMVも制作されました。

【補足:テイクの成り立ちについて】
本作に収録されたのは、1985年の初期デモテープそのままではなく、後に制作されたシーラ・E名義の12インチ・シングル「Extended Version」のインストゥルメンタル・トラックがベースになっています。そのため、シーラ自身がオーバーダブしたパーカッションやエディ・Mの長尺サックス・ソロが鳴り響くオケに、プリンスのガイド・ヴォーカルやシャウトを編集して配置した、長尺仕様のハイブリッドな構成となっています。

Baby, You're A Trip (5:52) [Recorded 1982]

提供先:Jill Jones 『Jill Jones』 (1987年)
ジル・ジョーンズの1stアルバムのラストを飾った壮大なバラード。1982年7月8日、『1999』の制作期にハリウッドのサンセット・サウンドで録音されました。
5年後の1987年に世に出たリリース版ではジルが主役でプリンスがコーラスに回っていましたが、本作ではプリンスがリードを取り、ジルがバッキング・ヴォーカルを重ねています。
ファルセットから魂を振り絞るようなシャウト、そして終盤の語りかけるような歌い回しに至るまで、プリンスの感情の昂ぶりは圧巻の一言。互いの声の魅力を引き出し合う二人の特別な絆と、若きプリンスの生々しくも圧倒的な表現力に胸を締め付けられます。

The Glamorous Life (4:12) [Recorded 1983]

提供先:Sheila E. 『The Glamorous Life』 (1984年)
シーラ・Eを一躍スターダムに押し上げた大ヒット曲。1983年12月27日、ハリウッドのサンセット・サウンドで録音されました。当初はアポロニア6用として録音されたものの、翌年2月にシーラとの本格的な作業が始まったことで彼女へ託された経緯を持ちます。
バッキング・ヴォーカルはジル・ジョーンズ(クレジット未表記)。ラリー・ウィリアムズの奔放なサックスや、リサの弟デヴィッド・コールマンのチェロも、この1983年12月のセッション時点で録音されていました。
リリース版はシーラの持ち味を引き出す躍動的なパーカッションが主役でしたが、本作のオリジナル版はシンセサイザーの硬質なリフが引っ張るストイックな仕上がり。これぞまさに王道の「ミネアポリス・サウンド」であり、楽曲本来のシャープな骨格を堪能できます。

【補足:テイクの成り立ちについて】
楽曲の骨格はもちろんプリンスによるものですが、本作のミックスにはシーラ・E自身によるパーカッションのオーバーダブや、エディ・Mのサックスなど、アルバム制作過程で磨き上げられたリリース版の演奏トラックが巧みに織り交ぜられています。

Gigolos Get Lonely Too (4:49) [Recorded 1982]

提供先:The Time 『What Time Is It?』 (1982年)
ザ・タイムの2ndアルバムに収められた極上のスウィート・ソウル。1982年1月11日、サンセット・サウンドで録音されました。リリース版ではモーリス・デイの単独作とクレジットされましたが、実際はプリンスの単独作です。
「ジゴロだって寂しくなる」というタイトル通り、元々はモーリスのプレイボーイというキャラクターを際立たせるために書かれた曲です。しかし、本作で聴けるプリンスの歌唱はあまりにも切なくソウルフル。ファルセットを交えたエモーショナルな表現力は圧巻で、「自身のアルバムに入っていても名曲として語り継がれたはず」と感じさせるほど、深く胸に染み入ります。

Love... Thy Will Be Done (4:09) [Recorded 1991]

提供先:Martika 『Martika's Kitchen』 (1991年)
マルティカが手帳に書き留めていた祈りの言葉をもとに、1991年1月にペイズリー・パークで録音された荘厳なスピリチュアル・バラード。
80年代の楽曲が並ぶ本作の中で異色の90年代作品ですが、共同キュレーターのJAY-Zが強く熱望したことで収録が実現しました。また、本作の大半が2019年に再現ミックスされた中で、この曲はエンジニアのマイケル・コッペルマンが1991年当時に手掛けた貴重なオリジナル・ミックスがそのまま採用されています。
NPGの『Exodus』への収録構想や1996年の日本武道館公演での弾き語りなど、プリンス自身が生涯にわたり大切に祈りを捧げるように歌い継いだ、聴く者の心を洗うような感動的な1曲です。

Dear Michaelangelo (5:22) [Recorded 1985]

提供先:Sheila E. 『Romance 1600』 (1985年)
シーラ・Eの2ndアルバムに収録された、ドラマティックで高揚感あふれるロック・チューン。1985年1月、過密を極めた「パープル・レイン・ツアー」のアトランタ公演の合間を縫って録音されました。
トラックの骨格はリリース版とほぼ同じ完成度を誇りますが、本作の大きな聴きどころは、プリンス自身の唸りを上げるワイルドなギターと、エディ・Mによる情熱的なサックスのスリリングなインタープレイです。
エリック・リーズとはまた一味違うエディ・Mのブロウとプリンスの相性は抜群。全米を熱狂させていたツアーの最中に、これほど密度の濃い楽曲を一気に創り上げていた当時の凄まじい創作エネルギーに圧倒されます。

Wouldn't You Love To Love Me? (5:57) [Recorded 1981]

提供先:Taja Sevelle 『Taja Sevelle』 (1987年)
ペイズリー・パーク・レコーズからデビューした女性シンガー、タジャ・シヴィルへの提供曲。原型のカセット録音はデビュー前の1976年にまで遡り、構想としては本作中最も古い起源を持つナンバーです。
スー・アン・カーウェル用(1978年)など幾度となく録音を重ねてきた楽曲ですが、本作に収められたのは1981年6月にロサンゼルスのハリウッド・サウンド・レコーダーズで再録されたテイクです。
この曲を巡る最大の逸話はマイケル・ジャクソンとの関係でしょう。1986年、クインシー・ジョーンズからマイケルの「Bad」でのデュエットを打診されたプリンスはそれを断り、代わりにマイケルへ歌わせようと提示したのがこの曲でした(マイケル側には不採用)。その後タジャへ渡り、彼女のデビュー作のセカンド・シングルとして陽の目を見ることになります。

「プリンスが私に彼自身のバージョンの『Wouldn't You Love To Love Me?』を手渡し、私のデビューCDに録音したいかどうか尋ねてくれたときのことを、今でも鮮明に覚えています。女性目線の歌詞にするために、歌詞を少し変えさせてもらいました。ワーナー・ブラザースが厳選されたアーティストへ贈ったオリジナル曲のコンピレーション『Originals』をリリースすれば、そのオリジナル版を聴くことができますよ 🤩☮️🎵💜」

Nothing Compares 2 U (4:39) [Recorded 1984]

提供先:The Family 『The Family』 (1985年)
後にシネイド・オコナーのカヴァーで世界的名曲となった至高のバラード。1984年7月15日、エデン・プレイリーの倉庫スタジオで録音されました。一説には、急な身内の不幸で仕事を離れた当時のパーソナル・アシスタント、サンディ・シピオーニへの喪失感が曲作りの引き金になったとも言われています。
本作に収録されたのは、2018年4月に先行配信されたトニー・マセラティによるミックスです。当時のオリジナル録音の質感を再現しつつ、スザンナ・メルヴォインの寄り添うようなコーラスや、控えめに配されたクレア・フィッシャーのストリングスが美しく調和しています。プリンスの痛切なまでの孤独と哀切が胸に迫る、アルバム本編の掉尾を飾るにふさわしい感動的なテイクです。

【補足:テイクの成り立ちについて】
1984年7月の初期録音テープそのままではなく、後にザ・ファミリーのアルバム制作時に加えられたスザンナ・メルヴォインのコーラスやクレア・フィッシャーのオーケストラが含まれたマルチトラックから、トニー・マセラティが当時の空気感を再現するように再構築したミックスとなっています。

Nothing Compares 2 U (Cinematic Mix) (4:20) [Recorded 1984]

日本盤および米ターゲット限定CDのために、2019年にマルチトラック・マスターから特別に再構築されたエクスクルーシヴ・ミックス。
通常版(2018年ミックス)ではあえて奥に抑えられていたクレア・フィッシャーによる流麗なオーケストラ・アレンジが、ここでは主役級の存在感で前面に大胆にフィーチャーされています。タイトル通り、まるで映画のクライマックス・シーンを観ているかのような壮大でドラマティックな音像に仕上がっており、名匠クレア・フィッシャーのスコアの凄みを改めて浮き彫りにした別格の仕上がりです。

今後のシリーズ化に期待

耳馴染みのある名曲の数々をプリンス自身のヴォーカルで堪能できる本作は、ファンにとって新たな発見と喜びに満ちた素晴らしい企画です。

手付かずの初期デモそのものを聴きたかったコレクターにとっては、リリース版オケと合体させたリミックス手法に賛否があるのも事実です。しかし、商業作品としての完成度や聴きやすさを追求した制作陣の意図も十分に理解できます。だからこそ、もし音源に何らかの手を加えたのであれば、どのような編集やミックスが行われたのかをライナーノーツ等で誠実に明記・開示してほしかったという思いは残ります。

もちろん、彼が遺した提供曲のオリジナル・テイクはまだまだ膨大に眠っており、願わくば今後も第2弾、第3弾とシリーズ化してほしいところです。広大無辺なペイズリー・パークのアーカイヴが、貴重なアーカイヴが今後も透明性のある形で陽の目を見るよう、ファンに対して誠実な情報開示と丁寧な作品作りを期待したいところです。

通常盤とデラックス盤の違い

デラックス・エディションは日本盤と同じ16曲入CDに加えLP付き。
CDに掲載されたネルソン・ジョージに加えペギー・マクリアリーとスザンヌ・メルヴォワンの解説が付付きます。

LPには3色用意、デラックス版は中央の紫盤で、左の白盤はPrince Store限定、右の黒盤はLP単体の通常盤です。

https://store.prince.com

 

Youtubeで全曲配信

YouTubeからオリジナル版をまとめてみました

比較で聴くようにオリジナル版をまとめてみました😃

Manic Monday

Apple MusicにはManic Mondayの音源と共に練習風景の映像を公開しています。
https://music.apple.com/us/music-video/manic-monday/1469316613

Holly Rock (Edit)

アルバムから”Holly Rock”がシングルカット。アニメのMVがなかなかシュールです😃

 

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