The Rainbow Children / ザ・レイボー・チルドレン (’01)
アルバム情報
Released:2001/10/16 (NPG Music Club download) 11/20 (Releace) 2002/2/6(JP) | Label: NPG, Redline Entertainment
Track List
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PersonnelProduce, Arranged, Composed
Written
Additional Musician
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アルバム・レビュー
’00年6月、ワーナー/チャペル・ミュージック出版会社と1999年末迄の契約が満了した為、晴れて元の名前に戻した”プリンス”。
’01年10月16日にプリンスのオフィシャル・サイト”NPG Music Club”(以下NPGMC)のプレミアム・メンバーのみ先行でダウンロードが可能になった本作は、プリンス名義としては約10年振りのアルバムとなります。
殆どのアルバムでプリンス自身がアートワークになっていたのに対し、今回はCbabi Bayoc氏のデザインによるサックス、ドラム、ベース、ギター、ピアノを演奏するアーティスティックなジャケット(実際には背表紙部分にこっそり居ますw)で、一見ジャズ・アルバムを思わせる本作は、そのデザインにピッタリの非常にジャジー且つファンキーな内容で新生プリンスのアルバムに相応しい仕上がりです。
プリンスの声をモジュレーターで低い声にしたボブ・ジョージのイントロの後、軽快なスイング・ジャズ風サウンドに乗せて女性コーラスやプリンスのスキャットが楽しいタイトル・トラックの“Rainbow Children”からスタート。”Segue”というか”Interlude”的なギター・インストを挟んで、メロウなリズムに乗せてラップを挟みつつプリンスの中高音のヴォーカルが美しいスロー・ナンバーの“Muse 2 The Pharaoh”、アフロ・ファンクっぽいリズムから始まり途中からファンキーさを増していくギターがCOOLな“Digital Garden”、JBを彷彿させるファンキーなホーン・セクションとラリー・グラハムのベースが随所で聴かれるシングル・カットの“The Work-Pt.1”、ハイ・トーンな女性ヴォーカル(Milenia)のゆったりとしたイントロから急にハイ・スピードなドラムとホーン・セクションのサウンドに変りラストでは再びスロー・テンポに変化する“Everywhere”、途中で再びボブの声がインサートされた後にアフロっぽいリズムと哀愁のあるギターの音色が心地よいインスト・ナンバーの“The Sensual Everafter”と前半から本作のクオリティに圧倒される楽曲が続きます。
中後半では、スロー・ジャムのテンポに乗せてプリンスのウィット感のあるヴォーカルがジャジーな“Mellow”、80年代のプリンスやザ・タイム辺りで聴かれたシンセとドラムのリズムが懐かしいノリの良いパーティ・チューンの“8.1+1+1=3”、シンコペートとアコギっぽい爽やかなサウンドをバックにプリンスらしい中音を効かせたラヴ・ソングの“She Loves Me 4 Me”、NPGオペレーター風の声からスタートしL・クラヴィッツの“American Woman”によく似たリズム&ブルース的サウンドの“Family Name”、再びJBサウンドっぽいファンキーなリズムに乗せて女性コーラスとプリンスが楽しそうに歌う8分強にも及ぶノリの良いパーティ・チューンの“The Everlasting Now”、その高揚感が覚めやらぬうちに静かに始まるファルセットを効かせたラスト・トラックのバラード・ナンバーで日本での第一弾(プロモーション)シングル“Last December”は歌詞も含め”Purple Rain”や”Gold”辺りを彷彿させる感動的なナンバーです。
歌詞に関してはマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King Jr、キング牧師)が’63年8月28日にワシントンDCで行った演説を収録したりと全編に政治・宗教的なフレーズが歌われ賛否の分かれる内容ですが、プリンスを取り巻く環境が繁栄されただけで個人的には違和感を感じませんでした。
全体的に曲間をインスト曲やインタールードで繋ぐといった一つの作品として統一感を持たせた事、サウンド面では00年からプリンスのバンドに加入したジョン・ブラックウェルの卓越したドラム・テクニックが随所に光ります。
個人的には2000年代で一番好きなアルバムです。
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