アルバム情報
Released: 1985/4/1 | Label: Columbia Records
We Are The World: U.S.A For Africa
Track List
- We Are The World - USA For Africa (7:02)
- If Only For A Moment, Girl - Steve Perry (3:44)
- Just A Little Closer - The Pointer Sisters (3:53)
- Trapped - Bruce Springsteen and the E Street Band (5:11)
- Tears Are Not Enough - Northern Lights (4:21)
- 4 The Tears In Your Eyes - Prince and the Revolution (2:45) P
- Good For Nothing - Chicago (3:35)
- Total Control - Tina Turner (3:38)
- A Little More Love - Kenny Rogers (2:54)
- Trouble In Paradise - Huey Lewis and the News (4:34)
Personnel
Produce
- Quincy Jones, Various (1)
Written
- Michael Jackson, Lionel Richie (1)
- Randy Goodrum, Steve Perry (2)
- Robbie Nevil, Mark Mueller (3)
- Jimmy Cliff (4)
- David Foster, Bryan Adams, Jim Vallance (5)
- Prince (6)
- Richard Marx, Robert Lamm, David Foster (7)
- Martha Davis, Jeff Jourard (8)
- Thom Schuyler, J. Fred Knobloch (9)
- Johnny Colla, Bill Gibson, Chris Hayes, Sean Hopper, Huey Lewis, Mario Cipollina (10)
Musician
- Prince (vocals and instruments) (6)
- Wendy Melvoin (guitar, background vocals) (6)
- Lisa Coleman (keyboards, background vocals) (6)
- Brown Mark (bass) (6)
- Bobby Z. (drums) (6)
- Dr. Fink (keyboards) (6)
アルバム・レビュー
1985年、ハリー・ベラフォンテの提案でアフリカの飢餓と貧困層を解消する目的で作られたキャンペーン・ソング"We Are The World"を含むチャリティ・アルバム。
"We Are The World"は作詞・作曲をマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作、プロデューサーはクインシー・ジョーンズが担当。
キャンペーンに賛同したアーティストにはスティーヴィー・ワンダーやダイアナ・ロス等37組と大所帯で、レコーディング風景はドキュメンタリーとしてビデオ(後にDVD化)され販売されました。
本作にはタイトル曲に加え、各アーティストが貴重な未発表曲やライブ音源を提供した全10曲を収録。
全米1位を記録する大ヒットとなり、その莫大な収益は全額アフリカの飢餓救済基金へと寄付され、音楽の持つ力が世界を動かした歴史的なチャリティ作品となりました。
プリンスのドタキャンの真相
一大イベントにはプリンスも参加する予定であると報道されましたが、アメリカン・ミュージック・アワードの表彰式後となる'85年1月28日にハリウッドのA&Mスタジオで行われたレコーディングに参加する事はありませんでした。そのため、急遽プリンスのパートをヒューイ・ルイスがレコーディングして完成しました。
この”ドタキャン騒動”は当時大きく取り上げられ非協力的だったプリンスは批判の的となりました。
当時囁かれたのは・・・
- マイケルとの確執
- 背が低いから一緒に並びたくなかった
- そもそも行く気が無かった
- 事故にあった
- レコーディング前に立ち寄ったナイトクラブでボディガードが喧嘩した
と様々・・・
後日プリンスが”あんな偉大なスターと一緒にスタジオにいたら恐縮してしまう”という話をしていたという報道もありました。
アナザーストーリーズ「We Are The World 奇跡の10時間」
結局この真相を語らなかったプリンスですが、2018年7月にNHKで放送された『アナザーストーリーズ「We Are The World 奇跡の10時間」』でレコーディングに参加していたシーラ・Eの発言で真相が判りました。
当時プリンスは”Purple Rain Tour”の真っ最中で翌29日はテキサス州オースティンでライブを控えていたため練習をおこなっていました。
ソロ・デビュー間もない新人のシーラは先にレコーディング・スタジオに行き、名だたるアーティストと一緒にコーラスに参加しました。
次にソロ・パートのレコーディングする為一人づつブースに入って行きます。(この時"シーラにもソロを歌わせてくれる"という有り難いオファーを受け大喜び!)
しかしプリンスが一向に来ないのでスタッフはシーラにプリンスに来てもらう様に電話をしてもらいます。
するとプリンスからは”君がソロ・パートをレコーディングしたら向かうと伝えてくれ”と言われます。
何度電話しても”君のレコーディングは終わった?”と言われ、何回目かのやり取りの後・・・
僕は君がソロを歌わない限りそこに行くことはない
だが君が歌わせて貰うことは無いだろう
君は利用されてるだけだ
そして”もういい、君はホテルに戻って寝てろ”と言われたそうです。
シーラは当時プリンスの彼女だったのでレコーディングに来てもらう為の"駒"として利用されている事を最初から気付いていたのでしょう。
そして、シーラをぞんざいに扱うやり口が気に入らなかったので参加しなかったと思われます。
このプロジェクトに貢献した人物で多くのアーティストのマネージャーやプロデューサーとして幅広く活躍したケン・クラゲン(Ken Kragen)は番組の中でシーラを利用した事を認める発言をしていました。
『The Greatest Night in Popポップスが輝いた夜』
Netflixで1月29日に配信がスタートした『The Greatest Night in Pop (ポップスが輝いた夜)』でもプリンスが参加しなかった事について語られています。
ここでは、前述のシーラ・Eが感じた「おとり」としての葛藤の他に下記の事が語られました。
- 授賞式の後、ライオネル・リッチーらがプリンスに連絡を取った際、プリンス側から「同じ部屋で歌う代わりに、別の部屋(個室)でギターソロを録音して提供したい」という提案があったそうです。しかし、プロデューサーのクインシー・ジョーンズやライオネルはこれを断りました。
理由は「エゴを捨てて全員が同じ部屋に集まる」というあのセッションのコンセプトに反すること、そしてそもそも楽曲にギターソロを挟むスペースがなかったためです。 - シーラ・Eによれば、プリンスは当時から非常にシャイで、何十人ものトップスターがひしめき合い、互いにサインを求め合うような異様な熱気の空間に放り込まれると、「自分が居心地悪くなってしまう(Uncomfortable)」ことを最初から自覚していたのだと語られています。
アラン・リーズの証言
プリンスのツアー・マネージャーを努めたアラン・リーズによると、そもそもプリンスはレコーディングに参加しない事をクインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンに伝えた事が語られています。
Quincy Jones organized a lunch that brought Michael and Prince together.
At one point, they asked him to be a part of “We All The World,” but Prince respectfully declined and offered to give them a song [“4 The Tears In Your Eyes”].
All I remember Prince talking about afterward is that he thought Michael was a little bit weird. And this is coming from a guy who wore high heels and pajamas to nightclubs [laughs].クインシー・ジョーンズがランチを企画して、マイケルとプリンスを引き合わせたことがあったんだ。
ある時点で彼らはプリンスに「We Are the World」への参加を要請したが、プリンスは敬意を持ってそれを断り、代わりに楽曲(「4 The Tears In Your Eyes」)を提供すると申し出たんだよ。
その後、プリンスがその件について話していたことで私が覚えているのは、マイケルのことを「ちょっと奇妙(weird)な奴だ」と思っていたことだけだ。ナイトクラブにハイヒールとパジャマ姿で行くような男からそんなセリフが出るんだから、笑っちゃうよね[笑]。
4 The Tears In Your Eyes
アラン・リーズの証言の通り、プリンス自身、チャリティの主旨には賛同していたため、レコーディング・セッションに参加しない代わりに、書き下ろしの新作「4 the Tears in Your Eyes」を提供することを、事前にクインシー(・ジョーンズ)やマイケルへ直接伝えていました。
この曲は、イエス・キリストの奇跡を描写し、人々の苦悩に慰めと希望を与えるというスピリチュアルなテーマが光る楽曲です。コーラスで新約聖書「マタイによる福音書」の「山上の垂訓」を引用するなど、その強いメッセージ性は、アフリカの飢餓救済のためのチャリティ・アルバムにふさわしいものでした。
『Purple Rain』の巨大な商業主義への反動から、事前のシングルカットや宣伝(プロモーション)を一切行わないという芸術的ステートメントと共に次作『Around the World in a Day』を発表したプリンスですが、同時に「We Are The World」のプロジェクトが最優先されるよう、自身のアルバム・リリース自体も遅らせたと言われています。
また、この曲の価値を保つために『The Hits』に収録されるまで、長年にわたって自らのシングルのカップリングに使うこともありませんでした。
プリンスの思いも通じたのか、この曲はプリンス・ファンを含む多くの音楽ファンの注目を浴び、アルバムの売上に大きく貢献しました。
