ケニー・ロジャース / 時は流れても
Released:1986/10/23 | Label: RCA Records
They Don't Make Them Like They Used to
Track List
- This Love We Share (4:31)
- If I Could Hold On To Love (4:15)
- You're My Love (4:06) P
- Time For Love (3:22)
- They Don't Make Them Like They Used To (4:31)
- Life Is Good, Love Is Better (3:55)
- Just The Thought Of Losing You (4:13)
- Anything At All (4:35)
- After All This Time (4:17)
- Twenty Years Ago (3:44)
Personnel
Produce
- Jay Graydon (2, 3, 4, 7, 8, 9)
- Jay Graydon, David Malloy (1, 6)
- Jay Graydon, Kenny Mims (10)
- Burt Bacharach,Carole Bayer Sager (5)
Written
- Jay Graydon, David Malloy (1)
- Randy Goodrum, Steve Lukather (2)
- Prince (as Joey Coco) (3)
- El DeBarge (background vocals) (3)
- Anthony LaPeau, Randy Stern (4)
- Burt Bacharach, Carole Bayer Sager (5)
- Malloy, Steve Davis, Dennis Morgan (6)
- Michael Bolton, Jonathan Cain (7)
- Dave Loggins (8)
- Steve Dorff, Peter Beckett (9)
- Wood Newton, Mike Noble, Michael Spriggs, Dan Tyler (10)
アルバム・レビュー
アルバム制作の経緯とプロデューサー陣
カントリー界で確固たる地位を確立していたケニー・ロジャースが、1986年にリリースしたスタジオ・アルバム『時は流れても(They Don't Make Them Like They Used To)』。本作にまさかのプリンスが楽曲提供しているというのは、当時としてはかなり衝撃的な組み合わせでした。
きっかけは、、ケニー側のマネジメントからプリンスへトラック提供のオファーを出したことでした。カントリー歌手とプリンスという異色のタッグですが、プリンスはこれに快諾し、1982年にベーシック・トラックを録音して長らく温めていた「You're My Love」を提供しています。
アルバムのプロデュースを手掛けたのは、AORやポップス界の名手ジェイ・グレイドン。プリンス自身はリリースされた音源の制作に直接関与しておらず、録音もすべてケニーのバンドが新たに行っています。なぜこの曲がケニーの手に渡ったのか真相は闇の中ですが、1997年のライブでプリンスがケニーの代表曲「The Gambler」をカバーしていることからも、プリンスは純粋にケニーのファンだったのかもしれません。
楽曲について
アルバム全体としては、全米カントリー・チャートで16位、総合チャート(ビルボード200)で137位にランクインしています。映画『タフ・ガイズ』の主題歌になったタイトル曲「They Don’t Make Them Like They Used To」や、カントリー・チャートで2位を記録した「Twenty Years Ago」など、ケニーらしいボーカルが楽しめる一枚です。
プリンスが提供した「You're My Love」は、アルバムの3曲目に収録されています。
プリンスが録音したトラックや、後にクレア・フィッシャーが追加したオーケストラ・アレンジは使われず、ジェイ・グレイドンのプロデュースでケニーのバンドが生演奏でレコーディングし直しています。そのため、いわゆるミネアポリス・サウンドのようなプリンスらしさはほとんど残っていません。ストレートなポップ・カントリーに仕上がっていますが、それが逆に楽曲のメロディの良さを引き立てています。ケニーの歌声がよく馴染んでいて、肩の力を抜いて聴けるポップスとしてアルバムに溶け込んでいます。
プリンス提供曲にまつわるエピソード
「ジョーイ・ココ」名義の公式初登場
このアルバムでプリンスは「ジョーイ・ココ(Joey Coco)」という偽名を使って楽曲を提供しています。この名義が公式に使われた最初の作品ですが、偽名のため大々的に「プリンスの曲」として宣伝できず、セールス面では少し影響があったかもしれません。
エル・デバージの参加
「You're My Love」にはエル・デバージがバック・ボーカルで参加しています。ケニーが他界した翌年の2021年、エル・デバージ本人が自身のInstagramで当時の経緯を明かしました。プリンスからの推薦があり、プロデューサーのジェイ・グレイドンからも「君が一緒に歌わないとケニーがリリースしないと言っている」と電話を受け、ツアー中にもかかわらず曲も聴かずにスタジオへ向かったそうです。そのInstagramの投稿内容を以下に引用します。
The backstory on my work with him is that Kenny Rogers was a fan of a certain very talented artist and asked this artist for a song. And so this particular artist sent him a song titled “You’re My Love” and suggested to him that El DeBarge should sing ad libs on it. Well I was on tour & got the call from producer Jay Graydon that Kenny Rogers sang the song but would not release it unless I sang on it with him. I was very honored to be part of this project with these two legends 🎤 So I flew in right away without ever hearing the song in advance & the rest is history.
I wonder if anyone can guess or perhaps might know the name of this certain very talented artist that wrote the song for Kenny Rogers and myself to sing? Here's one clue for you. The pseudonym this artist used for the songwriting credit is Joey Coco.今週末、天国にいる偉大なる故ケニー・ロジャースへ、誕生日おめでとう🙏🏽
彼との仕事の裏話をお話ししましょう。実はケニーはある『非常に才能あふれるアーティスト』のファンで、そのアーティストに楽曲提供を依頼したのです。すると、そのアーティストは彼に『You're My Love』という曲を送り、「エル・デバージにアドリブを歌わせるといい」と提案してくれました。
当時ツアー中だった私の元に、プロデューサーのジェイ・グレイドンから電話が入りました。「ケニーが曲を歌ったんだが、君が一緒に歌ってくれない限りリリースしないと言っている」と。この2人のレジェンドによるプロジェクトに参加できるなんて本当に光栄でした🎤。だから私は事前に曲を聴くこともなく、すぐに飛行機で駆けつけたのです。その後の成り行きはご存じの通りです。
ケニーと私が歌うためにこの曲を書いてくれた『才能あふれるアーティスト』が誰なのか、皆さん当てられるでしょうか? ひとつヒントを出しましょう。そのアーティストがクレジットに使った変名は〈ジョーイ・ココ(Joey Coco)〉です
ザ・ファミリーへの提供予定と『ORIGINALS』
1984年当時、この曲はザ・ファミリーのアルバムに提供される予定でお蔵入りになっていました。未発表音源の流出もなかったため、ファンの間でも真偽不明の噂でしたが、ケニーがこの世を去った翌日の2020年3月20日、ポール・ピーターソンが自身のFacebookでの追悼メッセージとともにその事実を明かしています。
One of the great things about being on the Donny And Marie show was being able to accompany people like Kenny Rogers. He graciously gave me an autograph that I cherish. Another funny story is that Prince wrote a song called "You're My Love" that was originally going to be for The Family, and he ended up giving it to Kenny RIP Kenny.
ドニー・アンド・マリーの番組に出演してよかったと思うことのひとつは、ケニー・ロジャースのような人たちとご一緒できたことです。彼は快くサインをくれたんだ。 もうひとつ面白い話があるんだけど、プリンスが書いた "You're My Love "という曲は、もともとザ・ファミリーのために作られる予定だったんだけど、結局ケニーにプレゼントしたんだ。 RIPケニー
You're My Love
<プリンスのボーカルによるオリジナル・バージョンは、2019年の発掘アルバム『ORIGINALS』に収録されました。
デュエット・シングルのB面に収録
偽名のため「プリンスの曲」としてシングル・カットしづらかったのか、「You’re My Love」は翌1987年6月にリリースされた、ロニー・ミルサップとケニーのデュエット曲「Make No Mistake, She's Mine」のB面に収録されています。なお、このA面のシングルはカントリー・チャートで1位を獲得しています。
