Under The Cherry Moon / アンダー・ザ・チェリー・ムーン (’86)

映画情報

Released:1986/7/4(USA) 1986/10/4(JP) | 100 minutes | Productions: Warner Bros.

Cast

  • Prince – Christopher Tracy
  • Jerome Benton – Tricky
  • Kristin Scott Thomas – Mary Sharon
  • Steven Berkoff – Isaac Sharon
  • Emmanuelle Sallet – Katy
  • Alexandra Stewart – Mrs. Sharon
  • Francesca Annis – Mrs. Wellington
  • Victor Spinetti, Myriam Tadesse, and Moune De Vivier – The Jaded Three

Stuff

  • Prince (Director)
  • Robert Cavallo, Joseph Ruffalo, Steven Fargnoli (Producers)
  • Prince and The Revolution (Music)

レビュー

ストーリー

舞台はフランスの南東部コート・ダジュール(英名:フレンチ・リビエラ)に位置するニース、富裕層の集まる高級リゾート地としても有名なこの地でピアニストとして働くクリストファー・トレイシー(プリンス)は”もう一つの顔”ジゴロ(プレイボーイ)としても有名で、魅惑の歌声と甘い視線で淑女からお金を巻き上げて生活していました。
そんなある日、造船業を経営する大富豪アイザックの娘マリー・シャロン(クリスティン・スコット・トーマス)が21歳の誕生日に5千万ドルもの財産を相続するという情報を得ます。
数多くの女性を手玉に取ってたクリストファーは相棒のトリッキー(ジェローム・ベントン)と共謀し搾取すべくメアリーに接近しますがメアリーは気にも止めません。
その気の無いメアリーに色んな恋の罠を仕掛けるうちに次第にマリーに大して恋心が芽生え、思惑が崩れクリストファーとの関係が悪化するトリッキー、そして娘の異変を感じた父親アイザックが動き出し・・・

撮影終了までの道のり

パープル・レイン』の大成功を受け、再び映画製作に乗り出したプリンスはスティーブン・ファグノーリとアラン・リーズに話しを持ちかけます。
当初は30年代のマイアミの様な西海岸を舞台にと構想するもフレンチ・リビエラを訪れた時に風景を気に入ったプリンスは40年代の南仏にする事を決めます。
そこで監督候補としてマドンナやスティング等のMVを手掛けるジャン・バプティスト・モンディーノに打診するもスケジュールの都合上断念、そこで同じくマドンナをマリリン・モンローの様に妖艶に映したMV“Material Girl”で監督を努めたメアリー・ランバートに打診し決定、ストーリーは新人だったベッキー・ジョンソンの脚本を気に入ったプリンスがベッキーをフランスに帯同させ仕上げました。

役者には、当時お気に入りだったマドンナを相手役という案も出ましたが、演技経験のある女優が良いという事でパリで行われたオーディションで新人のクリスティン・スコット=トーマスが抜擢、父親役にはテレンス・スタンプが決まっていましたが脚本に納得がいかず降板、代わりにスティーブ・バーコフが参加しました。

撮影は’85年9月から始まりましたが早くも監督のメアリーとプリンスが衝突し現場を去った為プリンス自らが監督となり撮影を続行、12月に撮影を終え翌年4月頃に編集作業が終了しました。
映画で使用する楽曲は撮影前の’85年春頃からレコーディングし’86年3月にParadeとして先行リリースされました。

ちなみに映画の公開に合わせてワーナーはMTVとラジオを使ったプロモーションを実施、1万人目に電話が繋がった人の地元の映画館で公開するというもので、ワイオミング州に住むリサ・バーバーさんが権利を獲得し上映されました。(’18年にこの出来事をQueen for a Dayというタイトルで映画化にするという企画が進行中)

映画としては…

’85~6年頃のハリウッドは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ビバリーヒルズ・コップ』、『トップガン』、『ロッキー4』、『エイリアン2』といったアクションやSFが栄華を誇っていた時代、そんな頃にモノクロの映画というのはファグノーリ達がリスクが高いと思、プリンスが心変わりする事を期待しモノクロ・フィルムではなく”カラーで撮影した後でモノクロに変換する”事を提案、プリンスもそれを受け入れたものの結局はモノクロのまま公開されました。
プリンス的にはこの時代だから逆に新鮮に感じると思ったのでしょうけど、その思惑は見事に外れてしまいます。
映像に加え駆け出しの脚本家とプリンスの夢の様なお話も正直な所お粗末としか言えず、結果的にゴールデン・ラズベリー賞を総ナメにしました。(プリンスがラズベリー賞…なんとも皮肉な賞ですね)

とはいえ、プロダクション・デザインは『コットン・クラブ』や『テキーラ・サンライズ』のリチャード・シルバート、撮影は『グッドフェローズ』や『ハスラー2』等を撮ったミヒャエル・バルハウスといった優秀なスタッフが参加し、美しい映像美も随所に観られますし、後年こういう古いタイプの映画も受け入れられる様になる事を考えると音楽だけでなく映像でも先を行き過ぎたのかもしれません。

確かにチープですがフランスの古き良き映画というフィルターを通せば、導入部の“Christopher Tracy’s Parade”をバックにフランスの美しい風景とモノローグ、子犬の様なプリンスの目線、ラストの“Sometimes It Snows in April”の引用…プリンスが当時描いた美意識を織り交ぜたモノクロームの世界観を堪能する事が出来ます。

プリンスはモノクロに拘ったけど↓の様にもしカラー版がリリースされたら世間の評価が変わったのかも…と思わずにはいられない(いや観たらやはりモノクロで正解だったと更に思い直すかも…)

ファンの中でも否定的な意見が多いのでハードルがかなり下がってるはず…是非純粋な目で観てみて下さい。

劇中歌”Don’t Play With Love”

劇中、クリストファー、トリッキー、マリーの3人がテーブルを囲むシーンで使用されたのは父親ジョン・L・ネルソンの”Don’t Play With Love”という曲。

劇中バージョンではありませんが、同曲は’18年にジョンの譜面を元に再演されたアルバムに収録されています。

映画予告編

メモリアル・エディション

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2018-05-06Movie'80s