各CD12曲60分の3枚180分と完璧に計算されたこのアルバムでは、前述でも触れた様にワーナー契約解除前後に収録されたものが多く、“SLAVE"等も解除前に書かれた1曲でしょう。
このアルバムで特徴的なのは、スタイリスティックスの“Betcha By Golly Wow!"(’72)、ボニー・レイットの“I Can’t Make U Love Me"(’91)、デルフォニックスの“La,La,La(Means I Love U)"(’68)、そしてジョーン・オズボーンの“One Of Us"(’95)と、プリンスのアルバムにカヴァー・ソングが4曲も収録されている事。
これまでライブ等でJBやプレスリーのカヴァー等を披露した事はありますが自分のアルバムに収録する等はとても考えられませんでした。それもファースト・シングルを“Betcha By Golly Wow!"にするとは正直ビックリしました。正に"解放"が成せる技でしょうかね。
全体的にはブックレットの最後に記載されている“LOVE, SEX, LIBERTY"をキーワードにし、1枚目にはスタイリスティックスのカヴァーで綺麗な楽曲の“Betcha By Golly Wow!"や、ジャジーな感じがする“Jam of The Year"、歌詞にディアンジェロの事に触れているグルーヴ感が良い“Get Yo Groove On"、元レボリューションのウェンディ&リサと元ザ・ファミリーのスザンナに捧げた“In This Bed Scream"等全体的にポップな感じに仕上げています。
2枚目では生まれてくる子供の超音波心音をフューチャーし妻マイテとの出会いをセクシーに表現した“Sex In The Summer"やマイテとの結婚についてを綴った“The Holy River"、’96年2月14日に2人の結婚式で使われた“The Plan"や“Friend, Lover, Sister, Mother / Wife"等、今は婚姻という形式を"解放"してしまったが事実上"妻"であるマイテとの事を歌った歌詞が多く見られるバラード中心のディスクです。
(ちなみに”Emale”の原曲となるインストゥルメンタルにはミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)がベースで参加していたそうです)
3枚目では、テクノっぽいサウンドで"解放"後の世界を歌った“New World"や同じくテクノっぽい“The Human Body"、ヒップ・ホップ系で自身が持つスタイルの事を歌った“Style"、情報がTVからインターネットに移り始めようとしていた頃にいち早く反応した“My Computer"、ハードコア・ファンクで歌ったタイトル・ソングの“Emancipation"等上記の2枚よりも実験的なサウンドやオルタナティブ系のサウンドが光る1枚です。
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