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アルバム情報
Released:1987/3/31(US) 3/30(UK) | Label: Paisley Park, Warner Bros.
Track ListDisc 1
Disc 2
| PersonnelProduce,Arranged,Composed
Written
Additional Musician
Sampled
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アルバム・レビュー
The Ravolutionの解散
映画『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』の商業的な失敗と前作の「Parade」の販売不振(といいながらビルボードのアルバムランキング3位でプラチナ・アルバム)の後、1986年10月17日にザ・レボリューションを解散を発表(メンバーに解散を伝えたのは10月7日)。一人でスタジオに籠ってしまいます。
Sign O' The Times制作までの道のり
「Parade」から本作までの間に、シーラ・Eやジル・ジョーンズ、マッド・ハウスのといったファミリー関連のアルバム、そしてデボラ・アレンやノナ・ヘンドリックといった外部アーティストに楽曲を提供。
自らの新作は『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』の公開前にほぼ完成していた2枚組の「Dream Factory」を破棄。
一度は3枚組の「Crystal Ball」(後年発売されたのとは別物)を作るも、”カミール”というプリンスの声を変調し女性っぽくした別名義用として「Camille」を制作、しかしこれも捨て再び「Crystal Ball」に戻る・・・と作ってはお蔵入りを繰り返し、最終的に全ての中から厳選された2枚組16曲にまとめた本作が完成しました。
レビュー
名義こそプリンス単独ですが、前述の通り試行錯誤の際にレコーディングした楽曲もあるのでザ・レヴォリューションのメンバーが参加していた頃の曲も含まれます。
1stシングルの"Sign 'O' The Times"で見せるビートの強いR&B調のサウンドに乗せた精神的な歌詞(当時としては珍しいリリック・ビデオも話題になりました)、前曲から一変するロック・ナンバーの"Play In The Sunshine"で弾けたと思えば、今度はカミールのラップによるファンキーなナンバーの"Housequake"....前半からこれでもかという位変幻自在のサウンドの渦が押し寄せてきます!
他にもプリンスが敬愛するジョニ・ミッチェルの"Court and Spark"の一節を引用した"The Ballad Of Dorothy Parker"、スザンナ・メルヴォワンと共作した一風変わった子シンシアを理解し励ました名曲"Starfish And Coffee"、プリンスにしては珍しくファミリーでは無いキャロル・デイヴィスとの共作で彼女のデビュー作「Heart Of Gold」にも収録されたメロウな"Slow Love"、エッジのあるサウンドとエリック&アトランタ2人のホーンの組み合わせが秀逸なファンク・ナンバーの"Hot Thing"等が収録されています。
2枚目には当時お気に入りだったシーナ・イーストンとカミールとのデュエット・ナンバー"U Gut The Look"を筆頭に、シンプルなビートとカミールっぽい感じのファルセットで歌った2ndシングルの"If I Was Your Girlfriend"、「Camille」に収録予定だった1曲で複雑な恋愛感情を歌った"Strange Relationship"、対照的にキャッチーなサウンドと軽い恋愛を歌ったロック・ナンバーの"I Could Never Take The Place Of Your Man"、またまた一転してプリンスがよく取り上げる神に対する歌で悲哀のあるギター・ナンバーが印象的な”The Cross"、Dr.フィンク&エリック・リーズとの共作による9分を越えるファンキーな"It's Gonna Be A Beautiful Night"を挟みラストはソウル・バラードの"Adore"どれをとってもクオリティの高い作品が凝縮された内容になっています。
売上は2枚組だったのが影響し「Parade」を下回る結果になりますが、私を含めファンの間では未だに”最高傑作”と呼び声の高いアルバムです。
The Christ
エホバに改宗後、プリンスは"The Cross (十字架)"を"The Christ (キリスト)"と歌詞を変えて歌っています。理由はキリストが十字架で処刑されたという解釈の違いからで、詳しくはWikiの"苦しみの杭"に掲載。
下は1998年エッセンスアワードでのパフォーマンス。
同名映画について
このアルバムと同時期に、同タイトルの映画(というよりほとんどコンサートビデオの様な)が発売されています。まだご覧になった事のない方には是非オススメしたいライブです。