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Controversy / 戦慄の貴公子 ('81)

アルバム情報

Released:1981/10/14 | Label: Warner Bros.

Listen on Apple Music

Track List

  1. Controversy (7:14)
  2. Sexuality (4:20)
  3. Do Me, Baby (7:43)
  4. Private Joy (4:37)
  5. Ronnie Talk To Russia (1:51)
  6. Let's Work (3:52)
  7. Annie Christian (4:21)
  8. Jack U Off (3:08)

Personnel

Produce, Arranged, Composed

  • Prince

Written

  • Prince
  • André Cymone (credited to Prince) (3)

Additional Musician

  • Dr.Fink (keyboards) (8)
  • Bobby Z (drums) (8)
  • Lisa Coleman (Keybord) (8) (background vocals) (1,5,8)

アルバム・レビュー

"Controversy"や、"Let's Work"での絶妙なカッティングやうねる様なギターにエッジの効いたシンセ・サウンド、"Sexuality"で聴かせるアノ独特な甲高いシャウト、そしてスロー・テンポのベースと煌びやかなシンセに乗せて歌われる官能的なファルセット・ヴォイスで歌われる"Do Me,Baby"....と、所謂”プリンス・サウンド”が定着した1枚と言える楽曲が揃っています。
また、前作より参加しているバンドの影響とライブでの経験値からサウンドの厚みも増え、歌い方もこれまでファルセット・ヴォイスが中心だったのに対し、今作ではストレートな歌い方をしているのも特徴的です。

一見”仕事をしよう!”と取れますがWorkを”セックス”にかけたダブル・ミーニングの"Let's Work"(元は別ユニット〈The Rebels〉様に"Let's Rock"で制作)や、うっとりする"Do Me Baby"、恋人の事をオモチャに例え’84年にラトーヤ・ジャクソンがカヴァーした事でも有名な"Private Joy”とプリンスならではのセクシーな歌の一方で、"僕はブラックかホワイトか、ストレートなのかゲイなのか、神を信じているか自分を信じてるか”という人種や宗教の問題を歌うタイトル・トラックの"Controversy""Sexuality"、冷戦真っ只中で時のロナルド・レーガン米大統領(相性"ロニー")とロシアと核拡散問題に対して対話を呼びかける”Ronnie Talk To Russia”、ジョン・レノン殺害事件(1980年12月8日)やロナルド・レーガン暗殺未遂事件(1981年3月30日)そしてアトランタで起きた黒人への連続殺人事件などに言及した”Annie Christian”など、当時の社会情勢を積極的に取り入れたメッセージ・ソングも多く歌っています。

盟友アンドレとの決別、そしてブラウンマークの加入

Dirty Mindでのクレジットの是非をめぐりアンドレ・シモーンと衝突、関係は改善されずアンドレは〈ダーティ・マインド・ツアー〉後に行われたヨーロッパのライブを最後に脱退(”Do Me, Baby”もデビュー前にアンドレのヴォーカルを取り制作している事もあり権利を主張)。その後釜としてブラウンマーク(本名マーク・ブラウン)が加入します。

ストーンズの前座演奏で起こった事件

また同年に行われたローリング・ストーンズの全米ツアーではオープニング・アクトとして演奏しましたが、ストーンズファンにブーイングの嵐にあって、途中でステージを降りたというのは有名な話で、ブラウンマークが後のインタビューで事件の事を話しています。

参考ブラウンマークがプリンスとの思い出を語る

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幻の映画『The Second Coming』

プリンスは〈Controversy Tour〉中に『The Second Coming』というライブ映画とそれに伴うライブ・アルバムを企画。
1982年3月7日、ミネアポリスのブルーミントでのライブ映像の他にバック・ステージや寸劇などで構成され、いくつかシーンを撮影するも結果的にお蔵入りとなりました。
同名曲は"For You"のような多重録音でゴスペル風のコーラスを演出し、銃規制法に関するメッセージでPAで使用されていましたがこちらも未収録のままお蔵入りに。

ワーナーとの衝突の原因となった"Let's Work"

”Let's Work”は元々"Let's Rock"というタイトルで1979年にレコーディングされ、楽曲に手応えを感じたプリンスはPrince (愛のペガサス)のオープニング・トラックにしようと考え、すぐにシングルとしてリリースしようとワーナーに持ちかけますが同意を得る事が出来ずお蔵入りとなりました。
2年後に再レコーディングする際は、時代遅れと思われないよう曲名を変更、プリンスは後のインタビューでこの出来事がワーナーと決別を考えるキッカケとなったと話しています。

プリンスが影響を受けた音楽についてデズ・デッカーソンが語る

デズ・デッカーソンは2014年のナッシュビル・シーンのインタビューでプリンスが当時影響を受けた音楽について答えています。

Dez Dickerson on Prince, Purple Rain, and the Most Insane Thing He's Seen on Stage | Music | nashvillescene.com
Dez Dickerson on Prince, Purple Rain, and the Most Insane Thing He's Seen on Stage | Music | nashvillescene.com

www.nashvillescene.com

プリンスと一緒にいる間に、特定のロック、パンク、ニューウェーブなどを聴いたのですか?80年代前半のアンダーグラウンドなサウンドを聴かずして"Ronnie Talk 2 Russia"のようなクランチーなファンクは得られなかったと思います。また"No Call U"や"Tick Tick Bang"の初期テイクはロカビリーの影響を感じますが...という質問に対し、デズは以下のように回答。

I was continually bringing him those kinds of records and turning him on to bands. I would blast everything from Generation X "Dancing With Myself" to Spandau Ballet to early Def Leppard to L.A. bands like The Pop and 20/20.
俺は彼(プリンス)にその手のレコードを持ってきたりバンドを紹介し続けた。ジェネレーションXの「Dancing With Myself」からスパンダー・バレエ、初期のデフ・レパード、ザ・ポップや20/20といったLAのバンドまで、ありとあらゆるものを聴かせたよ。

The rockabilly obsession was sparked by us seeing Stray Cats in London, before they came back to the States and broke. We were all blown away with them — the look, Brian Setzer's amazing sound, just the sheer authenticity of it. We started wearing pompadours immediately!
ロカビリーに夢中になったのは、ロンドンでストレイ・キャッツを見たのがきっかけだ。あのルックス、ブライアン・セッツァーの素晴らしいサウンド、そしてその真摯な姿勢に、みんな圧倒された。俺達はすぐにポンパドール(前髪を後ろになでつけるオールバックにする髪型)をはじめたよ!

プリンス達は1981年6月2にロンドンで単発のライブを行うのですが、その3日前となる5月30日にストレイ・キャッツがロンドンのレインボー・シアターでライブを行っています。もしかするとこのライブをみたのかもしれません。
ちなみにロカビリー・テイストの"Jack U Off"は1981年の6月にカリフォルニアでレコーディングされました。

 

Music Video

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