Chaos & Disorder / カオス&ディスオーダー (’96)
アルバム情報
Released:1996/7/9, 2019/09/13 | Label: Warner Bros., SONY
カオス・アンド・ディスオーダー (Blu-specCD2) [再発]
Track List
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PersonnelProduce,Arranged,ComposedWrittenAdditional Musician
Produce
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アルバム・レビュー
このアルバムと’99年リリースの未発表曲集「The Vault… Old Friends 4 Sale」をもって18年に渡るワーナーと契約を完了する為、にとってはワーナーで作った事実上最後の新録アルバムです。(後にAOAでワーナーに復帰しますが…)
一刻も早く呪縛から解かれる為にサントラ「Girl 6」から僅か3ヶ月という短い間隔、そして当時レコーディングをたった1週間で仕上げたと噂されたアルバムは、“混沌と無秩序"というタイトルや「1999」のアナログ盤を踏みつけたジャケット、荒削りなサウンド等からレベルの低い作品と誤解を与えてしまいました。
アルバム収録の時点では既に解散していたと言われている当時のThe New power GenerationのうちトニーM達ゲームボーイズの3人を除いたメンバー(既にソロ活動をしていたロージー・ゲインズのヴォーカルも収録)と制作されたこのアルバムは、が用意した楽譜を渡し、まるで1発録音した様なワイルドさとライブ感があります。この感覚は、コンサート後のアフター・パーティで演奏されているジャム・セッションの様な雑然とした中にも一本筋が通った感じがします。
ハード・ロック調のタイトル・トラック“Chaos And Disorder"からスタートし、"Peach"っぽい感じのシンプルなロック・ナンバーの“I Like It There"、社会風刺をしているファンキーなナンバーの“Right The Wrong"等、この頃のの攻撃的な感情が浮き出た楽曲が聴かれます。
特に、たった1分26秒と取って付けたような曲の“Had U"や、途中にレゲエ調のラップをインサートしたグルーヴ感のある“I Rock,Therefore I Am"(我ロックす、故に我あり)では、ワーナーに対する感情が顕著に出た作品だと思われます。
ミディアム/スロー系では、ファースト・シングルとしてはちょっとインパクトの弱さが否めませんがささやき系のヴォーカルが魅力な“Dinner With Delores"、またスロー・テンポから徐々に高揚してく辺りが"Dolphin"を思わせる“Into The Light"から“I Will"の流れは好きです。欲を言えば"Into The Light"は2分46秒と短く、もう少し長いバージョンが聞いてみたかったです。
この他にはビデオ「アンダーティーカー」で既に耳馴染のブルース・ファンクっぽい“Zannalee"や、テンポがコロコロ変わる“The Same December"辺りも面白いです。
一般的にこのリリースから4ヶ月もしないうちにリリースされた「Emancipaition」の内容を考えるとクオリティの面で指摘されがちですが、ストック曲があるとは言え短期間で制作したプリンスの才能はやはり凄いと実感させられますし、「Black Album」を彷彿させる荒削り感とストレートな感情を表現した作品として貴重なアルバムと言えます。
【1996年の受賞】
BRIT Awards[UK]
Best International Male Artist
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