作品情報
Released:2019/6/7 (TIDAL) 6/21 (Releace) | Label: NPG Records, Warner
Track List
- Sex Shooter (3:06) ('83) - appears on Apollonia’s Apollonia 6 ('84)
- Jungle Love (3:03) ('83) - appears on the Time’s Ice Cream Castle ('84)
- Manic Monday (2:51) ('84) - appears on The Bangles’ Different Light ('85)
- Noon Rendezvous (3:00) ('84) - appears on Sheila E.’s The Glamorous Life ('84)
- Make-Up (2:26) ('81) - appears on Vanity 6’s Vanity 6 ('82)
- 100 Mph (3:30) ('84) - appears on Mazarati’s Mazarati ('86)
- You're My Love (4:23) ('82) - appears on Kenny Rogers’ They Don’t Make Them Like They Used To ('86)
- Holly Rock (6:38) ('85) - appears on Sheila E.’s Krush Groove (OST) ('85)
- Baby, You're a Trip (5:51) ('82) - appears on Jill Jones’ Jill Jones ('87)
- The Glamorous Life (4:11) ('82) - appears on Sheila E.’s The Glamorous Life ('84)
- Gigolos Get Lonely Too (4:41) ('82) - appears on The Time’s What Time is It? ('82)
- Love... Thy Will Be Done (4:07) ('91) - appears on Martika’s Martika’s Kitchen ('91)
- Dear Michaelangelo (5:22) ('85) - appears on Sheila E.’s Romance 1600 ('85)
- Wouldn't You Love to Love Me? (5:56) ('81) - appears on Taja Sevelle’s Taja Sevelle ('87)
- Nothing Compares 2 U (4:39) ('84) - appears on The Family’s The Family ('85)
- Nothing Compares 2 U [cinematic version] (4:23)*
*Bonus Track for Japan & Target Release
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince
Written
- Prince
- Prince, Jesse Johnson, Morris Day (credited Morris Day and Jesse Johnson) (2)
- Prince, Sheila Escovedo (4, 8, 13)
- Prince, Martika (12)
Additional Musician
- Jill Jones (Backing Vocals) (2, 3, 9)
- Brenda Bennett (Backing Vocals) (3)
- Morris Day (Backing Vocals) (2, 11) (Drums) (11)
- Jesse Johnson (Guitar, Backing Vocals) (2, 11)
- Sheila E. (Percussion, Backing Vocals) (8, 13)
- Eddie Mininfield (Saxophone) (8, 13)
- David Coleman (Cello) (10)
- Larry Williams (Saxophone) (10)
- Susannah Melvoin (Backing Vocals) (15)
- Eric Leeds (Saxophone) (15)
- Clare Fisher (Orchestration) (15)
レビュー
SONYの再発プロジェクトと並行し、Warnerは「Purple Rain DELUXE」や「Piano & A Microphone 1983」といった80年代の未発表音源をリリース、"第3の矢"となる本作は、”アーティストに提供した楽曲のプリンス・ヴォーカル・バーション”という別角度からのプリンスを掘り下げるという趣旨の楽曲集(ここ大事)になります。
プリンスは常に寝る間を惜しんでスタジオに籠もっては作曲&録音していました。
隣で見ていたスザンナ・メルヴォワンのインタビューによれば、自身が作った楽曲を“マイ・チルドレン”と呼び、何度も手を加えながら我が子の様に育ていたそうです。
そんな子供達を最善の表現をしてくれるアーティストに渡す際は、相手にしっくり合う様に歌詞やヴォーカル・ワークなど手を加え、より正確に届くように自身のヴォーカルを入れて渡していました。
貰う側のアーティストにとって、この音源はプリンスから”こう歌って”というカラオケで例えるなら音程が表示される”ヴォーカル・ガイド”的音源です。
(表現がややこしくなるので提供された方を”オリジナル”、プリンス・ヴォーカルを”ガイド”と表現します。)
1曲目はプリンス主演映画『Purple Rain』でヒロインを演じるアポロニアを中心とするApollonia 6の代表曲"Sex Shooter"を聴けば”ガイド”の意味が判ると思います。
プリンスは3人それぞれのパートを歌い分けてレコーディングされたこの音源は、中盤にあるアポロニアのセリフが抜けてたり若干歌詞の手直し等差異はあるものの、ほぼオリジナルに近い形です。
”こんな歌い分け出来るならプリンスが出せばいいじゃないか!”って位いのクオリティで、こんなもん貰ったらその通り歌うしかないですよね😃
"Jungle Love"はプリンスにモーリスが憑依したかの様な表現力、”Manic Monday”も普段歌わない音域での歌う等、冒頭でも書いた様に相手にプリンスの意思を伝えています。
中でもジル・ジョーンズに提供した”Baby, You’re A Trip”は最後のアカペラ部分までキッチリ歌い上げジルもそれを忠実に表現、この曲はお互いの関係性の深さ故為せた楽曲だと思います。
一方ケニー・ロジャースに提供した”You’re My Love”、オリジナルを聴き倒してるだけにギャップが有りますが、プリンスの生々しい歌声と自身のアルバムではヴォーカル・ワークは、レコーディング当時24歳だった事を加味して想像するだけで鳥肌ものです。
クレア・フィッシャーのオーケストラまで収録しただけに当時リリースしていれば...と妄想は膨らむ一方です。
(ちなみに、この曲はザ・ファミリーの為に書いた曲だった事をST.ポールが証言しています。)
妄想と言えばタジャ・シヴィルが歌った”Wouldn’t You Love To Love Me?”もその1つ。
’76年にベーシック・トラックが完成したこの曲は何度もお蔵入りになり7年後に日の目を見ますが、この1年前プリンスはマイケル・ジャクソンの“Bad”にデュエット・パートナーを打診されたのを断り、代わりにこの曲を提供しましたが、マイケル側は採用しなかったという曰く付きの一曲です。
このバージョンはまだタジャに渡す前のバージョンなので歌詞は男性目線、もしこれをマイケルが歌ってたらまったく別物になってたでしょうが、歌わなかった事が両者にとって良かったのかもしれないな...等と色々考えてしまいます。
唯一収録された90年代の楽曲”Love... Thy Will Be Done”は、マルティカのメモからインスパイアされ出来上がった屈指の名曲で、彼女の「Martika's Kitchen」に収録されました。
この曲を気に入ったプリンスは、1994年にNPGの「 Exodus」用に再レコーディングするもお蔵入り、その後2013年に公開されたバズ・ラーマン監督でレオナルド・ディカプリオ主演映画『華麗なるギャッツビー』へ提供すべく再レコーディングしました。監督は2012年5月11日から2012年5月30日で開催された〈Welcome 2 Australia Tour〉期間中にプリンスに会い、何度かレコーディングがおこなわれましたが、所有権の関係(恐らくこの曲がプリンスとマルティカ共同クレジットだった事が問題)でお蔵入りとなり、代わりにラナ・デル・レイの "Young And Beautiful "が選ばれました。
この曲を収録するよう推したのは、本作の企画に手を貸したTidalのジェイーZ(Jay-Z)で、彼は『華麗なるギャッツビー』のサントラのエグゼクティブ・プロデューサーを担っていた事から選ばれたのではないかと思います。
参考バズ・ラーマン監督『華麗なるギャッツビー』でプリンスの曲が使用されなかった事を明かす
続きを見る
最後を占めるのはザ・ファミリーに提供した”Nothing Compares 2 U"。「The Hits」に収録されたロージー・ゲインズと共演テイクも素晴らしいですが、やはり一人で歌い分けている本バージョンは趣が違います。日本盤と米量販店Targetにのみ収録された”Nothing Compares 2 U [cinematic version]”は昨年シングルでリリースされたバージョンと異なるストリングが追加されたテイクで、これもまた素晴らしいです。
全曲解説はこちら
もう一歩詳しくという方はこちらをご覧ください。
参考6月21日発売のプリンス未発表音源集「THE ORIGINALS」の全曲解説
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"You're My Love"はザ・ファミリーに提供する予定だった
"You're My Love"は’82年にベーシック・トラックを録音、'84年にザ・ファミリーの「The Family」に提供する予定でしたがお蔵入り、その後ケニーの手に渡りました。
ザ・ファミリーのバージョンは流出した事も無かったので真偽不明でしたが、ケニーがこの世を去った翌日(2020年3月20日)ポール・ピーターソンのfacebookで追悼の言葉と共に同曲がファミリー様に提供される予定だった事を語っています。
今後のシリーズ化に期待
こうやって耳馴染みのある楽曲をプリンスのヴォーカルで聴く事が出来るのは新たな発見や喜びがあって嬉しいですが、当然この様なガイド曲集だけでも膨大にある訳で、出来れば3枚組位で出してもらいたいです😃
そういう方向に加速してもらう為にはコレが売れるかどうかにかかってますね...
通常盤とデラックス盤の違い
デラックス・エディションは日本盤と同じ16曲入CDに加えLP付き。
CDに掲載されたネルソン・ジョージに加えペギー・マクリアリーとスザンヌ・メルヴォワンの解説が付付きます。
LPには3色用意、デラックス版は中央の紫盤で、左の白盤はPrince Store限定、右の黒盤はLP単体の通常盤です。
Youtubeで全曲配信
YouTubeからオリジナル版をまとめてみました
比較で聴くようにオリジナル版をまとめてみました😃
Manic Monday
Apple MusicにはManic Mondayの音源と共に練習風景の映像を公開しています。
https://music.apple.com/us/music-video/manic-monday/1469316613
Holly Rock (Edit)
アルバムから”Holly Rock”がシングルカット。アニメのMVがなかなかシュールです😃