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A Private Heaven / Sheena Easton ('84)

ア・プライヴェート・ヘヴン / シーナ・イーストン

Released:1984/9/21 (1984/9/7表記もあり) | Label: EMI Records

Listen on Apple Music

Track List

  1. Strut (4:01)
  2. Sugar Walls (3:58) P
  3. Hungry Eyes (3:38)
  4. Hard To Say It's Over (4:23)
  5. Swear (3:41)
  6. Love And Affection (4:04)
  7. Back In The City (3:44)
  8. You Make Me Nervous (3:52)
  9. All By Myself (4:22)
  10. Double Standard (3:47)
  11. Letters from the Road (3:26)
  12. Straight Talking (3:39)
  13. Fallen Angels (4:14)
  14. Strut (Dance Mix) (5:55)
  15. Sugar Walls (Dance Mix) (7:05)
  16. Sugar Walls (Red Mix) (5:28)
  17. Swear (Dub Mix) (3:30)

amazonのダウンロードやiTunesのre-issueは17曲入り

Personnel

Produce

  • Greg Mathieson (1, 3-10)
  • Prince (credited to Greg Mathieson) (2)

Written

  • Charlie Dore,Julian Littman (1)
  • Prince (credited to Alexander Nevermind) (2)
  • Greg Mathieson,Trevor Veitch (3, 7)
  • Adrienne Anderson, Gino Cunico, Tom Saviano (4)
  • Tim Scott (5)
  • Joan Armatrading (6)
  • Duncan Pain, Mark Holding (8)
  • Trevor Veitch (9)
  • Steve Kipner, Ben Petterson (10)

Guest

  • Prince (all instruments [uncredited]) (2)

アルバム・レビュー

アルバム制作の経緯とプロデューサー陣

1981年の「Morning Train (9 to 5)」や映画『007/ユア・アイズ・オンリー』の主題歌で世界的な成功を収めたスコットランド出身の歌姫、シーナ・イーストン。
デビュー以来定着していた「小柄で清楚な清純派ポップ・シンガー」というパブリック・イメージを自ら打破し、セクシーさと自立した女性像を打ち出した転換作が本作です。

プロデュースには、前作『Best Kept Secret』に引き続きアレンジャー/キーボード奏者のグレッグ・マティソンを起用。パンチの効いたシンセ・ポップとソリッドなダンス・ビートを大胆に導入しました。また、同年のツアー・バンドの鍵盤奏者には、後にグラミー賞を獲得するデビュー前のブルース・ホーンズビーが参加していたことでも知られています。
そして本作最大のハイライトとなったのが、映画『パープル・レイン』の公開直前、まさに時代の頂点へと駆け上がろうとしていたプリンスとの巡り合いでした。

楽曲について

アルバム全体を貫いているのは、80年代中盤のアメリカの熱気をそのままパッケージしたような、タイトでエッジの効いたテクノ・ポップ/ダンス・サウンドです。
その幕開けを告げたのが、先行シングルとして全米7位のスマッシュ・ヒットを記録した「Strut」でした。チャーリー・ドアーらが手掛けたこの曲は、自立した女性の自信とセクシャリティをストレートに打ち出し、従来のクリーンなイメージを一変させました。そしてアルバムの2曲目に配置されたのが、プリンスが変名で書き下ろした問題作「Sugar Walls」です。無駄を削ぎ落としたミニマルなエレクトロ・ファンクのビートの上で、シーナが官能的なボーカルを響かせるこの曲は、全米9位、ダンス・チャート1位、R&Bチャート3位というジャンルを越えた大ヒットを記録しました。
本作の良さは、ダンス・ナンバーの派手さだけに頼らず、ボーカリストとしての表現力の幅をしっかり提示している点にあります。ティム・スコットのニュー・ウェイヴ曲をスタイリッシュに仕上げた第3弾シングル「Swear」や、ジョーン・アーマトレイディングが1976年に発表した名曲「Love and Affection」のエモーショナルなカヴァー、さらには日本限定でシングル・カットされた「Hungry Eyes」など、ミディアムから劇的なバラードに至るまで、グレッグ・マティソンによる引き締まった音作りが彼女の歌声を際立たせています。

結果として、本作はビルボード・アルバム・チャートで15位(ソウル・チャート26位)まで上昇し、全米で100万枚以上を売り上げてプラチナ・ディスクを獲得。シーナにとってアメリカで最も商業的成功を収めたアルバムとなりました。あまりの激変ぶりに本国イギリスのファンが戸惑い、全英チャートで圏外に沈むというギャップは生じたものの、80年代アメリカン・ポップス史における彼女の黄金期を決定づけた一枚です。

プリンスとの出会いと『Sugar Walls』にまつわるエピソード

『ザ・トゥナイト・ショー』から始まった電撃セッション

アルバム2曲目に収録され、アルバムからの第3弾シングルとなった「Sugar Walls」は、プリンスとシーナ・イーストンによる記念すべき初コラボレーション曲です。

  • 制作背景: 1984年1月20日、ロサンゼルスのサンセット・サウンドにてプリンスが全楽器を演奏してベーシック・トラックを録音。元々はファミリーの一員であるジル・ジョーンズへの提供を視野に入れて作られたストック曲でした。
  • 電撃的なオファーと録音: その直後、米人気番組『ザ・トゥナイト・ショー』でシーナのパフォーマンスを観たプリンスは「彼女のために曲を書かなければ」と触発されます。当時、プリンスとシーナの双方を担当していた敏腕エンジニア、デイヴィッド・レナードを通じ、「気に入ったら連絡してほしい」と電話番号を添えてトラックが届けられました。 トラックを受け取ったシーナはサウンド・ファクトリー・スタジオに入り、その日のうちにボーカルを録音しました。
  • クレジットとスタジオでのケミストリー: 作詞・作曲はプリンスが使った新たな変名「アレクサンダー・ネヴァーマインド(Alexander Nevermind)」名義でクレジットされました。プロデュース表記はグレッグ・マティソンとなっていますが、実際にはプリンス自身がスタジオの現場に入り、ボーカル・ディレクションやプロデュースを行っています。シーナは2012年のインタビューで「スタジオでは本当によく笑い合い、冗談を言い合ってすぐに意気投合した」と振り返っており、出会った初日から良好な関係を築いたそうです。

PMRCによる検閲騒動と「Filthy Fifteen」

「Sugar Walls」のヒットは、80年代アメリカの音楽界を揺るがす社会現象へと発展しました。

  • 歌詞をめぐる論争: 「Sugar Walls(砂糖の壁)」という扇情的なタイトルやリリックが女性器や性行為のあからさまなメタファーであるとして、一部のラジオ局やテレビ局で放送禁止処分を受けました。
  • 「Filthy Fifteen」への選出: 折しも、アル・ゴア上院議員の妻ティッパー・ゴアらがプリンスの「Darling Nikki」の過激な歌詞に激怒して結成した保護者団体「PMRC(Parents Music Resource Center)」が、社会的に有害とみなした「最も不快な15曲(Filthy Fifteen)」を発表。そのリストに「Darling Nikki」と並んで「Sugar Walls」が選ばれる事態となりました。図らずもプリンス関連の2曲が検閲問題の象徴として槍玉に挙げられ、後のペアレンタル・アドバイザリー(警告ステッカー)導入へと繋がる歴史的な論争の火種となったのです。しかしこの騒動は、皮肉にもシーナの「脱・清純派」のイメージを決定づけ、ティーン層の関心を引きつける強力な後押しともなりました。

一過性では終わらなかった二人

多くの外部提供が単発で終わる中、二人の音楽的ケミストリーは次作『No Sound But a Heart』(1987年)と『The Lover In Me』(1988年)への提供、プリンスの歴史的名作『Sign o' the Times』(1987年)における「U Got the Look」のデュエット、そして映画『Batman』(1989年)の「The Arms of Orion」での共作へと発展していきました。

Music Video

宝焼酎"純"のCM

宝酒造の焼酎"純"で"Strut"が使用(本人出演)されアルバムは日本でもヒットしました。

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