2014年1月、プリンスはペイズリー・パークで米ローリングストーン誌のインタビューに応じていました。
当時は未発表のままお蔵入りとなっていましたが、プリンスがこの世を去った直後の2016年4月にその一部が公開されました。
今回はその中から、保管庫(Vault)や楽曲制作、自身の哲学について語った重要ポイントを掲載しました。
Prince’s Lost Rolling Stone Interview: ‘I Don’t Think About Gone’
未発表音源と「タイムカプセル」について
プリンスはペイズリー・パークの保管庫(Vault)に眠る膨大な音源について触れ、これまで公にしてこなかった事実を率直に明かしています。彼はレコード会社に対して常に最高の楽曲を渡していたわけではなく、意図して温存していた楽曲が存在すること、そしてVaultはひとつだけではないと語りました。
"I’ve never said this before, but I didn’t always give the record companies the best song. There are songs in the vault that no one’s ever heard. There are several vaults; it’s not just one vault."
(これまでは言ったことがなかったけれど、僕はレコード会社にいつだって最高の曲を渡していたわけじゃないんだ。保管庫(Vault)には誰も聴いたことのない曲がある。それに、保管庫はひとつだけじゃない。いくつもあるんだよ)
さらに話は、個々の楽曲にとどまらず完成された未発表アルバム群や、その将来的な公開構想へと及びます。レヴォリューション、ザ・タイム、ヴァニティ6といったプロジェクトの未発表作が存在することを明かし、それらを「タイムカプセル」と表現しました。
"Yeah, I like time capsule stuff. I have a couple Revolution albums in the vault and two Time albums, one Vanity 6 album … and tons of stuff recorded in different periods. But so much gets recorded that you don’t have time to compile everything. In the future you could put all the best stuff from one particular time period together and then you can release it. It’d just be like if we found a Sly and the Family Stone album and they saved their best stuff. If that’s even possible!"
(そう、僕はタイムカプセルのようなものが好きなんだ。保管庫にはレヴォリューションのアルバムが何枚かあるし、ザ・タイムのものが2枚、ヴァニティ6のが1枚……それに異なる時期にレコーディングした膨大な音源もある。だけどあまりにも多くを録音するから、すべてをひとつにまとめている時間がないんだよ。将来、ある特定の時代の最高のテイクを集めて、リリースすることだってできる。もしスライ&ザ・ファミリー・ストーンが最高の曲を遺していて、その未発表アルバムが見つかったとしたら……まさにそんな感じさ。もしそんなことがあり得るならね!)
インタビュアーからの「あなたがこの世を去った(gone)あとに、そうなってほしいのか」という問いに対し、プリンスは死を前提とした見方を明確に退けています。
"No, I don’t think about gone. I just think about in the future when I don’t want to speak in real time."
(いや、いなくなることなんて考えていないよ。ただ将来、僕がリアルタイムで発言したくなくなった時のことを考えているだけさ)
制作意欲と頭の中の音楽
絶え間ないレコーディング姿勢を「中毒」と呼ぶことに対しては、強すぎる言葉だと釘を刺しつつ、映画監督のウディ・アレンを引き合いに出して自らのクリエイティブなプロセスを解説しました。
"Oh, not addicted. I mean, that’s a strong word. I always tease; I say I have to go to studio rehab. But it does help to hear something finished. You know how Woody Allen does flicks all the time, and every three you get a masterpiece? You’ve got to go through the process and download it from your head. It’s all there; I can hear it all right now. I can hear five albums in my head right now."
(ああ、中毒なんかじゃないよ。それは少し言葉が強すぎるね。スタジオのリハビリ施設に行かなきゃって、いつも冗談めかして言ったりはするけれど。でも、完成したものを耳にするのは助けになる。ウディ・アレンが絶えず映画を撮り続けて、3本に1本は傑作を生み出すだろう? ああいうプロセスを経て、頭の中からダウンロードしなきゃいけないんだ。すべてはそこにある。今だって全部聴こえているよ。僕の頭の中では今、5枚分のアルバムが鳴っているんだ)
引退について
「引退」という概念そのものについて問われたプリンスは、彼にとって音楽が「労働」ではなく、自らの使命や奉仕であることを示唆しています。
"I don’t know what that is. There’s always some way to serve. And I never felt like I had a job."
(それが何のことなのか、僕にはわからないな。誰かの役に立つ(仕える)方法は常にいつだってある。それに僕は、自分が仕事をしていると感じたことなんて一度もないんだ)
70代や80代になっても演奏を続けていると思うか、という問いに対しては、寿命の延伸と精神の領域を結びつけた独特の思索を披露しました。
"Well, life spans are getting longer. One of the reasons is because people are learning more about everything, so then the brain works more, makes more connections and then eventually we’ll be in eternal brain mode because we’ll be able to hold eternity in our minds."
(そうだね、人間の寿命は長くなっている。その理由のひとつは、人々があらゆることについてより多くを学んでいるからだ。だから脳はもっと働き、より多くのつながりを生み出す。そして僕らはやがて『永遠の脳モード』に入ることになるのさ。僕らの心の中に、永遠をとどめておくことができるようになるんだからね)
セクシャリティとギター
久しぶりに性的なテーマを想起させる楽曲を書いているのではないか、という指摘に対し、プリンスは「セックス」という言葉の本質と、自身のギター表現について語っています。
"Well, there are many topics to explore you know, but everything is sex anyway. If you go back to the beginning, it’s about union and interaction. Again, a word like “sex,” how many different ways has it been misused, right? It’s almost hard to sing now, you can’t even sing a word like that and make it sound like anything … that you want it to. But I can take you out there and hit this guitar for you, and then what you’ll hear is sex. You will hear something where you’d run out of adjectives like you do when you meet the finest woman."
(まあ、探求すべきテーマはたくさんあるけれど、そもそもすべてはセックスなんだよ。根源に立ち返れば、それは結びつきであり、相互作用のことなんだ。『セックス』なんて言葉は、これまでどれほど違った形で誤用されてきたと思う? 今となっては歌うことすら難しい。そんな言葉を歌っても、自分が望むような響きを持たせることなんてできやしない。けれど、僕が君をあそこへ連れて行って、このギターを一発鳴らして見せれば……君の耳に届くものこそがセックスなんだ。最高の女性に出会った時のように、言葉を尽くしても形容詞が足りなくなるようなものを、君は聴くことになるのさ)
情報元・原文記事
-
Prince's Lost Rolling Stone Interview: 'I Don't Think About Gone'
www.rollingstone.com