94 イースト・フチューチャリング・プリンス / 94 イースト・フチューチャリング・プリンス
Released:2016/10/28 (JP:11/25)| Label: ミュージック・シーン
Track List
- Just Another Sucker (5:17) P
- If You Feel Like Dancin' (7:08)
- Lovin' Cup (4:20)
- Games (Original Version) (3:40)
- Dance To The Music Of The World (5:07)
- One Man Jam (6:09)
- If You See Me (5:40)
- I'll Always Love You (3:53)
- Better Than You Think (4:30)
- If We Don't (4:08)
- You Can Be My Teacher (4:06)
- Love, Love, Love (3:52)
- Dance to The Music Of The World (Rehearsal Session Version) (6:04)
Personnel
Words
- Pepe Willie (1-5,7-13)
- Prince (1)
- Silvester (6)
- Ike Palge (6)
- Kristie Lazenberry (9)
Musician
- Pepe Willie (Guitar, Keybord, Synthe, Percussion)
- Prince (Guitar) (all)
(Keyboard) (1, 3, 5, 6)
(Drum) (1, 3, 5)
(Synthe) (1-3, 5, 6) - Andre Cymone (Bass, Guitar, Keybord)
- Wendell Thomas (Bass)
- Dale Alexander (Drum)
- Pierre Lewis (Keybord)
- Marcy Ingvoldstad &
- Kristie Lazenberry (Vocal)
- Alvin Moody (Bass, Guitar, Keybord)
アルバム・レビュー
プリンスがワーナーと契約する直前の'75年~'78年頃、リンスター・"ペピー"・ウィリー(ペペ・ウィリーと表記も)率いる"94 East"に客演しレコーディングされた音源を集めたアルバムというより"音源集"です。
「For You」や「Prince」等初期の作品に通じるアップ・テンポのダンス・ナンバーでプリンスとペピーの共作による"Just Another Sucker"で、プリンスはギターの他にドラムとキーボードを担当(アンドレはベース、ペピーはギターを担当)するといったマルチな才能をこの時点で発揮しています。
また、プリンスがギターとキーボードを担当している約7分にも及ぶインスト・ナンバーの"If You Feel Like Dancin'"では歌がない分プリンスのギター・テクニックを堪能出来る1曲と言えます。
この他、マーシーとクリスティの囁く様なヴォーカルとサックスの音色が心地よいスロー・ナンバーの"Lovin' Cup"、オリジナル・バージョンで原曲よりもファンク色の強い"Games"、荒削りですがスピード感のあるノリの良いリズムが楽しい"Dance To The Music Of The World"、70年代に流行ったテクノ・サウンドをモチーフに初期のプリンスで聴かれるリズム等が盛り込まれている"One Man Jam"が収録されています。
後半にはヴォーカルに追従する形でブンブンと唸るファンキーなギターが特徴的な"If You See Me"を筆頭に、プリンスが奏でる引っかく様なリズム・ギターのカッティングをバックにアーヴァン香りがするミディアム・スローの"I'll Always Love You"等、ファンキーな楽曲が収録されています。
この他にも、ヴォーカルのペピーとクリスティの共作で中盤以降に聴かれる哀愁溢れるギターの旋律が秀逸な"Better Than You Think"、"I Wanna Be Your Lover"辺りに通じるリズミカルなギターがカッコ良い"You Can Be My Teacher"、チャカポコと可愛げなリズム・トラックとファンキーなギターに乗せて涼やかなヴォーカルが聴かれる"Love,Love,Love"等も良いです。
このアルバムでプリンスのヴォーカルを堪能する事は出来ませんが、ギターを含めたテクニックやセンス等の才能を感じるアルバムだと言えます。
If You See Me
1975年12月4日、94 Eastはクックハウス・スタジオで「Games」、「I'll Always Love You」、「If We Don't」、「Better Than You Think」、「If You See Me」の5曲を4時間でレコーディング。
ペペは大満足でしたがプリンスはレコーディングに納得いかず、翌日「Pepe, I have to go back into the studio. I made a mistake. (ペペ、スタジオに戻らなきゃいけないんだ。僕はミスをしたんだ)」とペペに電話で説得しスタジオを開けてもらうと、ペペががゴルフに出かけている間に再レコーディングすると「Do Yourself a Favor」とタイトルも変更されていました。
ペペによると4日にレコーディングしたバージョンとの違いはEQのセットアップに違いだけで演奏はまったく同じだったそう。このエピソードからもプリンスの完璧主義が伺えます。
ペペははこのデモを使ってポリドールと94 Eastの契約を結びますが、ファースト・シングルをレコーディングした後に契約は破棄され、曲が世に出たのはそれから約10年後となりました。
プリンスにとって思い出の曲だったのか、1982年にプリンス一人で再レコーディング、この時点では日の目を見る事はありませんでしたが、ジェシー・ジョンソンの手に渡り『Shockadelica』(プリンスの名はクレジットされず)に収録、2019年の『1999 Super Deluxe Edition』にプリンス・バージョンが収録されました。
デイル・アレキサンダー
ドラマーのデイル・アレキサンダー(Dale Alexander)は腕前を買われ、'87年に行われた"Sign '☮' the Timesツアー"の前座でプレイしたMadhouseのドラマーとして参加しました。(当初はエリックの「Times Squared」に参加した知人のハワード・ベネット(Howard 'H.B.' Bennett)の予定)
94Eastの他のタイトル
"94 East featuring Prince"として最初にリリースされたのは、プリンスが「Purple Rain」で大ブレイクした後となる1986年2月12日にリリースされた「Minneapolis Genius」です。
ブレイクに便乗する形でリリースされましたが、最初のバージョンは上記セット・リストの前半6曲のみでした。
’95年に16曲入りの2枚組がリリースされましたが現在は絶版品となってます。
収録曲数の問題
94 East関連は、「Symbolic Beginnings」(17曲)、「Just Another Sucker」(16曲)、「Games」(11曲)、「For Collectors Only (feat. Prince)」(14曲)など手を変え品を変えリリースされています。
曲数で言えば「Symbolic Beginnings」、日本盤が欲しいという方は冒頭に紹介した「94 East Featuring Prince」か下記の「Symbolic Beginning Volume 1・2」がオススメです。
こちらには"Game"の5分バージョンが収録されてます。
関連アルバム
”Got To Be Something Here”は収録されてませんが、プリンスが参加した94 Eastやアンドレ・シモーン等、70年代のミネアポリス・サウンドをまとめたコンピ盤「Purple Snow: Forecasting The Minneapolis Sound」もオススメです。