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Diamonds & Pearls / ダイアモンズ&パールズ ('91)

アルバム情報

Released:1991/10/1, 1991/9/30(JP) | Label: Paisley Park, Warner Bros.

Listen on Apple Music

Track List

  1. Thunder (5:45)
  2. Daddy Pop (5:16)
  3. Diamonds And Pearls (4:43)
  4. Cream (4:12)
  5. Strollin' (3:46)
  6. Willing And Able (4:59)
  7. Gett Off (4:31)
  8. Walk Don't Walk (3:07)
  9. Jughead (4:56)
  10. Money Don't Matter 2 Night (4:46)
  11. Push (5:52)
  12. Insatiable (6:39)
  13. Live 4 Love (6:59)

Personnel

Produce, Arranged, Composed

  • Prince

Written

  • Prince
  • Prince, Tony M., Levi Seacer, Jr. (6)
  • Prince, Kirk Johnson, Tony M. (9)
  • Prince, Rosie Gaines (11)
  • Prince, Tony M. (13)

Member

  • Rosie Gaines (keyboards and vocal)
  • Levi Seacer, Jr. (bass,rhythm guitar)
  • Sonny T. (bass guitar)
  • Tommy Barbarella (keyboards, Purpleaxxe)
  • Michael B. (drums)
  • Tony M. (rap)
  • Damon Dickson (background vocals)
  • Kirk Johnson (background vocals)

Aditional Musician

  • Sheila E. (drum) (3)
  • Eric Leeds (flute) (7)
  • Clare Fischer (orchestration) (11)
  • Elisa Fiorillo (vocals) (2,8)
  • The Steels (Fred,JD,Jearlyn,Janice,Jevetta Steele) (background vocals) (6)

Sampled

  • "Rock Steady" by Aretha Franklin (2)
  • "You Got to Have a Mother for Me" by James Brown (1969) (7)
  • "Mother Popcorn" by James Brown ('69) (7)
  • "Celebrate the Good Things" by Pleasure ('78) (7)
  • "Feel Good, Party Time" by J.R. Funk and the Love Machine (80) (7)
  • "Sing a Simple Song" by Sly & the Family Stone ('68) (8)
  • "The Boomin' System" by LL Cool J ('90) (8)

アルバム・レビュー

アルバム・リリースまでの動き

1990年9月、横浜スタジアムで幕を閉じた〈Nude Tour〉の後、プリンスのバンドに大きな変化が訪れます。1984年から彼を支えてきたミコ・ウィーバー(g)や、ザ・レヴォリューション最後のメンバーだったドクター・フィンク(key)が脱退。それに代わってトミー・バーバレラ(key)が新たに加入しました。さらに、94 East時代からの旧知の仲であるソニー・Tがベーシストとして迎えられたことに伴い、これまでベースを担っていたリーヴァイ・シーサー・ジュニアはギターへと転向します。

さらに、マイケル・B(dr)、ロージー・ゲインズ(key&vo)、そしてトニー・M、デイモン・ディクソン、カーク・ジョンソンの3人によるパフォーマンス・ユニット〈ザ・ゲームボーイズ(The Game Boyz)〉らを加えた大所帯編成へと進化します。ここで注目したいのは、この新メンバーたちの中に、長年シーンの裏側で腕を磨いてきた実力派が含まれていた点です。
ザ・ゲームボーイズの3人は、映画『パープル・レイン』ではただ客席で踊っているエキストラの一人でしたが、その後『Lovesexy』期のクラブ〈Glam Slam〉でのパフォーマンスなどを経て、ついにプリンスの正式メンバーとして大抜擢されました。また、プリンスから「若きアレサ・フランクリンを彷彿とさせるシンガー」と絶賛されたロージー・ゲインズも、1985年にシングル「Caring」でデビューして以来、確かな実力を持ちながらもなかなか芽が出なかった遅咲きの才能です。
こうして個性豊かでハングリーなメンバーが結集し、1991年1月にミネアポリスのクラブ〈Glam Slam〉で初披露されたこのバンドは、ザ・レヴォリューション以来となる〈ニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)〉の名を冠した正式なバンドとして誕生しました。

過去のストック曲を引っ張り出すこともあったプリンスですが、本作ではそのアプローチから一転。収録された13曲はすべて、ロンドン、東京、ロサンゼルス、そしてペイズリー・パークと、ツアーや移動の合間を縫って約15ヶ月の間に新しく書き下ろされたものです。自らが納得のいく最高のミュージシャンたちを揃えたことで創作意欲が大きく刺激され、全編を新たなセッションで作り上げた本作は、プリンスにとって新章突入の合図とも言うべき野心的なアルバムとして、1991年の夏に完成しました。

楽曲について

本作の最大の特徴は、1986年の『Parade』以来となる”バンドとの連名クレジット”が復活したことです。時代的にはヒップホップをはじめ、コンピューターによるプログラミング・サウンドが成長してきた時期でしたが、敢えて生々しいバンド・スタイルを選択しました。その理由について質問されたプリンスは「Everybody else went out and got drum machines and computers, so I threw mine away.(みんなドラム・マシンとコンピュータを買ってしまったから、自分のは捨てたんだ)」と回答。いかにも天の邪鬼なプリンスらしいクールなエピソードです。

そんな言葉通り、全編にわたって生々しいバンド・グルーヴが躍動しています。マイケル・Bのタイトなドラムやソニー・Tのうねるベース、ロージー・ゲインズのソウルフルな歌声が絡み合い、さらにトニー・Mを中心としたヒップホップやラップの要素を大胆に吸収。変化を恐れず、ストリートの空気を自分流に昇華した”90年代の新しいプリンス・サウンド”がここに確立されています。

Thunder

プリンス一人が全ての楽器を演奏して録音された荘厳なオープニング・トラック。福音のような祈りと雷鳴から幕を開け、分厚いコーラスが押し寄せます。後にジョフリー・バレエ団の演目『Billboards』のために、10分を超える組曲としても提供されました。

Daddy Pop

批評家たちに対する挑発的なメッセージが込められたファンク・チューン。ここからNPGの面々が本格的に合流します。マイケル・Bのパワフルなドラム、圧倒的なロージーのボーカル、トニー・Mのラップが弾け、新しいバンドの恐るべき完成度を体感できる1曲です。

Diamonds And Pearls

プリンスとロージー・ゲインズによる絶妙なボーカル・ハーモニーが胸を打つ、90年代を代表する極上のバラード。シンプルで美しいコード進行が秀逸です。ギターのように響く音色は、プリンスが特許を取得したショルダー・キーボード「Purpleaxxe」によるもの。

Cream

全米ビルボードNo.1に輝いた大ヒット・シングル。ブルージーで粘り気のある極上のポップ・チューンです。「Cream」という言葉には、セックスを連想させる意味と同時に、「最高のもの(Cream Of The Crop)」として音楽シーンの頂点に立つという力強い宣言が込められています。

Strollin'

1990年の来日時に東京のスタジオでベーシック・トラックが録音された、ジャズ・テイストのしっとりとしたナンバー。優しく語りかけるようなボーカルと、ジョージ・ベンソンを彷彿とさせる流麗なギターの音色が絶品です。リラックスした休日の空気が漂います。

Willing And Able

こちらも東京で録音されたトラックが元になっています。マイケル・Bが叩いたドラム・パターンから始まったジャム・セッションが発端。アコースティックな響きの中、プリンスのファルセットとゴスペル・グループ「ザ・スティールズ」による神聖なコーラスのコントラストが美しく響き渡ります。

Gett Off

アルバムの制作の最後に録音され、本作の「顔」となった強烈な先行シングル。ジェームス・ブラウンの系譜を受け継ぐ強靭なファンク・ビートに、エリック・リーズのフルートとラップが渾然一体となって迫り来ます。冒頭のアイコニックな叫び声は、実はプリンスではなくロージーによるもの。

Walk Don't Walk

エリサ・フィオリーロをゲスト・ボーカルに迎えたポップな応援歌。車のクラクションやタンバリンのシンプルな序盤から、徐々に音数が増えていくアレンジが秀逸です。「息苦しい状況でも、信念を持って歩き続ければ太陽は輝く」というポジティブなメッセージが背中を押してくれます。

Jughead

トニー・Mとロージーを前面に押し出した、ストリート感あふれるゴリゴリのヒップホップ・トラック。プリンスは一歩引いてバックアップに回っています。後半の喧嘩の寸劇はトニーの経験談がベースですが、後にこのアウトロを巡って元マネージャーから訴えられるという事態も招きました。

Money Don't Matter 2 Night

東京録音組の3曲目。洗練された穏やかで美しいメロディとは裏腹に、不況や湾岸戦争について鋭く切り込んだプロテスト・ソングです。スパイク・リー監督が手掛けたミュージック・ビデオは、貧困に苦しむ家族の姿と湾岸戦争の映像を交えたメッセージ性の強い仕上がりになっています。

Push

クレア・フィッシャーによる流麗なストリングスを隠し味に、再びトニー・Mとロージーを大々的にフィーチャーしたダンサブルなナンバー。曲中のラップでは、本作の収録曲のタイトルが次々と登場する遊び心が盛り込まれており、アルバムを一枚のショーのように繋ぎ合わせています。

Insatiable

プリンス一人の手による、濃厚でエロティックな極上のスロー・ジャム。名曲「Scandalous」を彷彿とさせるような、プリンスのとてつもなく広い音域と表現力豊かなボーカルをこれでもかと堪能できます。多数の女性たちと絡み合う官能的なミュージック・ビデオも必見です。

Live 4 Love

アルバムの最後を飾るのは、戦闘機のパイロットをテーマにしたヘビーな反戦ソング。強烈なギター・リフと重たいビートの上で、トニー・Mの攻撃的なラップとプリンスの叫びが交差します。アルバムのポジティブな雰囲気を一変させるような、シリアスで重厚なメッセージを残して幕を閉じます。

セールスなど

全米ビルボード200で3位、R&Bチャートでは堂々の1位を獲得し、オーストラリアでも1位を記録。アメリカ、イギリス、カナダ、フランスなどでプラチナ・ディスクに認定されるなど、世界的な大ヒットを記録しました。
ヒップホップの導入など音楽性の変化に懐疑的な声もありましたが、蓋を開けてみればサントラ盤の『BATMAN』を除けば『PARADE』以来となる巨大な商業的成功を収め、90年代の幕開けに「プリンス健在」を世界中へ力強く証明してみせました。

トリビア

東京で録音された楽曲たち

本作に収録されている「Strollin'」「Willing And Able」「Money Don't Matter 2 Night」の3曲は、1990年のヌード・ツアーで来日中に東京のワーナー・ジャパン所有のスタジオでベーシック・トラックが録音され、その後ペイズリー・パークにて追加レコーディングされ発表されました。実はこの日本滞在中には合計5曲が録音されており、残りの2曲のうち「5 Women」は後の『The Vault... Old Friends 4 Sale』に、「Something Funky (This House Comes)」は2023年にリリースされた『Diamonds And Pearls Super Deluxe Edition』に収録されました。

ダイアモンドとパール、そして小比類巻かほるの繋がり

本作のアルバム・タイトルを擬人化したキャラクターとして、「ダイアモンド」役にロリ・エル(Lori Elle)、「パール」役にロビア・ラモルテ(Robia LaMorte)という2人のダンサーが起用されています。
1989年、ロサンゼルス。小比類巻かほるが楽曲「Dreamer」のミュージック・ビデオを撮影していた際、ポーラ・アブドゥルの紹介でバックダンサーを務めていたのがこの2人でした。
当時、小比類巻のアルバム『TIME THE MOTION』に楽曲提供を行っていたプリンスは、偶然にも隣のスタジオで映画『バットマン』関連のMVを撮影していました。その縁から小比類巻の撮影現場に顔を出したプリンスは、そこで踊る2人のダンスとビジュアルに目を留めます。そして、彼女たちを自身のプロジェクトへとスカウトしたことが、後の”ダイアモンドとパール”起用へと繋がりました。

世界初のホログラム・ジャケット

写真家のランディ・セント・ニコラスが撮影したプリンスとアルバム・タイトルを偶像化したダイアモンドとパールの3人が写った写真は、通常の印刷と別に、シャロン・マコーマックによる量産では初のホログラム仕様の2種類を採用されました。
当初はアナログ盤にも使いたかったそうですが、ワーナー側からコストが合わないという事で却下。
シャロンは後に雑誌『Sports Illustrated』でマイケル・ジョーダンのホログラムも作成し話題になりました。

寸劇が引き起こした500万ドルの訴訟

「Jughead」のエンディングには、マネージャーとアーティストの険悪なやり取りを描いた寸劇が収録されていますが、これに激怒した元マネージャーのスティーヴン・ファグノーリが「自分のことだ!」と500万ドルの名誉毀損でプリンスを訴えるという騒動に発展しました。

ロージーに敬意を払ったプリンス

ロージー・ゲインズは本作を引っさげた〈Diamonds and Pearls Tour〉の終了後、バンドを脱退してしまいます。しかし、プリンスは彼女の才能に深い敬意を払っており、脱退の際に「他の歌手とは一緒に"Diamonds and Pearls"を歌わない」と約束したと言われています(書籍『Prince: All the Songs: The Story Behind Every Track』にも同様のエピソードが掲載)。実際に彼女の脱退後、プリンスはライブでロージーのパートを観客に歌わせることが多く、二人の強い信頼関係と絆を物語っています。

特許を取ったPurpleaxxe

トミー・バーバレラが使用していた肩からかけられるキーボード、〈Purpleaxxe〉は1994年にプリンスが特許を取得(特許番号D349127で2008年に特許保護が終了)しました。

USD349127S - Portable, electronic keyboard musical instrument 
 - Google Patents
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patents.google.com

滑り込みで収録された「Gett Off」と「Jump Around」の謎

先行シングルとなった「Gett Off」は、実はレコーディング順で言えば一番最後に作られた楽曲。限定リリースしたプロモ盤がクラブで大ウケしたため、急遽収録予定だった「Horny Pony」と差し替えられました。初期プレスの裏ジャケットには、その変更の跡が赤字で残されています。

「Gett Off」は他の様々な楽曲でサンプリングされてきましたが、長年ファンの間で議論の的となってきたのが、冒頭のアイコニックなシャウトです。翌年にハウス・オブ・ペインがリリースした大ヒット曲「Jump Around」のイントロで鳴り響く高い音が、このシャウトをサンプリングしたものだと言われ続けてきました。
当サイトでも2016年の記事でお伝えした通り、Newsweek誌がこのサンプリングの謎に切り込んだことがありました。Questloveなどの識者が「Gett Off」からの引用だと主張する一方で、House of Pain側は「あれはホーンの音だ」と真っ向から否定するなど、真相は藪の中に包まれたままでした。

参考謎だった"Jump Around"のサンプリング問題が解決!?

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しかし、サンプリングの真偽とは別に、「そもそもあのシャウトの声の主は誰なのか」というもう一つの謎については、ついに公式な回答が示されました。
2023年「Diamonds & Pearls Super Deluxe Edition」の発売に合わせて配信された公式ポッドキャスト『The Story of Diamonds And Pearls, Episode 1』のなかで、あの声はロージー・ゲインズによるものだと明言されました。

The Story of Diamonds And Pear… - Prince | Official Podcast - Apple Podcasts
The Story of Diamonds And Pear… - Prince | Official Podcast - Apple Podcasts

podcasts.apple.com

【1991年の受賞】

ASCAP Pop Music Awards

"Nothing Compares 2 U"、"Kiss":Best Composer

Music Video

”Money Don't Matter 2 Night”には2種類のMVがあり、5分強のショートムービーはスパイク・リー監督が制作したものです。

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