プリンスを世界的に有名にした'84年の映画『パープル・レイン』
この映画で物語の重要なアイテムとして登場したのは、♪の様な雲型のクラウド・ギター(Cloud Guitar)でした。
クラウド・ギターを気に入ったプリンスはこれ以降、『Sign O’ The Times』のピンクや『Rave Un2 The Year 200』のブルーなど、Madcatやシンボルギターと並んでプリンスを象徴するギターとなりました。
当然このギターを欲しいファンもいるので、2000年代から度々公式アイテムとしてレプリカを販売、近年でもペイズリー・パークで販売されました。(ちなみにこちらはSchecter社製)
https://npg-net.com/2019-06-29/
このクラウド・ギターに関してはエステートと製作者のデイヴ・ルーサン氏(David Rusan)で制作に関して協議をしていたのですが、エステート側から提訴されている事が伝えられました。
https://www.kyma.com/news/paisley-park-files-suit-over-prince-s-guitar/1114623814
ギターを制作したデイヴ氏
まずはデイヴさんとクラウド・ギターについて簡単に書いておきます。
1983年、ミネアポリスのアップタウンにある”Knut-Koupée Music”にプリンスが訪ねてきてクラウド・ギターの制作を受けたデイヴ氏。
彼のfacebookにはクラウド・ギターに関する事や制作過程の写真が数多く掲載されています。
またYoutubeにはクラウド・ギターのデザインの元となったベースの話ばど貴重なインタビューがアップされています。
デイヴさんの工房には『プリンスの言葉』の著者Takkiさんも訪れています。
プリンスのクラウドギターはここで生まれた!David Rusan氏のギター工房(ミネアポリス郊外)潜入映像。#Prince #ギターhttps://t.co/lQS090bxwJ pic.twitter.com/0CEFuoj83H
— プリンス名言WordsOfPrince (@Princewords1999) 2019年1月2日
デイヴさんの工房”Rusan Guitarworks”ではギターの修復やカスタマイズなどを手掛け、依頼があればプリンス以外にもクラウド・ギターを制作していました。
後述の記事でのインタビューによれば
“Prince never complained, and I think he knew what was going on in town,”
”プリンスは制作に文句を言わなかったし、工房で作っていた事も知っていたと思う”と答えています。
あのプリンスが知らないハズないですもんね・・・つまり明言はしてないものの、あのギターの創造主はデイヴさんである事をプリンスは認めていたと思います。
2016年のあの日を堺にクラウド・ギターを求める方が多かったので同モデルを制作していました。
といってもハンドメイドなので1本約8,000ドルと高価でしたが、依頼は次々舞い込んだ様です。
ギターのデザインは商標登録済
クラウド・ギターを作ったのがデイヴ氏とは言え、いずれトラブルになるかもしれないと思い2018年2月20日にアメリカの商標登録(United States Patent and Trademark Office)を取得されました。
上記の写真に現在までの経緯も書いてあったので未掲載の部分も含め要約します。
’18年秋に商標に対して異議申し立て
上記商標に関しては5年の間に異議申し立てが可能だそうで、案の定、同年秋にプリンスの不動産(エステート)を管理するコメリカ・バンク&トラスト(Comerica Bank & Trust)側から商標に対する異議申し立てが行われました。
(上記のデイヴ氏のインタビューも↓に記載)
http://www.citypages.com/music/prince-estate-goes-after-cloud-guitar-designer/502027422
異議申し立てに対し、デイヴ氏は両者が幸せになれる方向で和解案を提案したものの、エステート側は全てを拒否、取得した商標の破棄を求めてきたそうです。
両者平行線のまま今回のニュースになった訳ですが、この問題”どちら側”に立つかで書き方が変わります。
エステート側からしたら”勝手にクラウド・ギター作るなよ!”って事で、デイヴ氏側からだと”私がオリジナルでそちらが模造品を作ってるじゃないか”って話ですよね。
もっともデイヴ氏はシェクターのレプリカを作る事には文句言ってる訳じゃなく(あっちがクオリティが低い事は言ってますが)、こちらでも作っていいよねって主張してるだけですから。
ちなみに海外では当然(?)デイヴ氏側に付く方が多く、法廷闘争にもっていくと当然お金がかかる訳ですが、ファンからの助言でクラウド・ファンディングを立ち上げるかもしれないようです。
記事によれば、今後数ヶ月で戦うか退くかを決めるそうです。
プリンスの意思を汲み取って行動すれば、どうするのがベストか自ずと判ると思うんですけどねぇ。
PANTONに協力したカラーに対しても訴訟
商標に対しては’17年8月に話題となったPANTONとエステートが協力して発表したLOVESYMBOL #2にも訴訟を行っているようです。
アナログ盤もこのLOVESYMBOL#2を踏襲しているから規制をかけたいんでしょうけど、こちらは色なだけにPATONの紹介からシンボルマークを消すのが精一杯じゃないかな。
PANTON社からしたら”協力しといて今更”って思ってるだろうな...