ハリウッドの老舗スタジオ、サンセット・サウンドは公式YouTubeにマザラティ(Mazarati)が歌った「KISS」をアップしました。
"KISS" (Mazerati Demo) 1986
「KISS」について
「KISS」は1985年4月28日にサンセット・サウンドでデモ音源がレコーディングされました。
この曲は当初、レコーディング・エンジニアのデヴィッド・Z・リヴキンと(弟はザ・レヴォリューションのボビー・Z)とブラウンマークと共に、隣のスタジオでレコーディングしていたマザラティのために、デモとして録音したものでした。
翌朝スタジオに戻ってきてマザラティが録音したヴァージョンを聴いたプリンスは彼らから楽曲を取り戻し、ベースのパートやギター・ソロを省き、リックを加えるなど手を加え自分のものにすると、彼らには代わりとして「100 MPH」を提供しました。
ブラウンマークは激怒
この件についてはマザラティをプロデュースしたブラウンマークが2021年のインタビューで答えています。
『Parade』を作り始めた時に、彼は僕が作った(マネージメント)バンド、マザラティのことを知ったんだ。
「Kiss」は僕がプロデュースして共同作曲もしたんだ。彼はその曲を、ギターと彼の声だけの削ぎ落とした形で発表したんだ。
彼はそれ(プリンスのデモ音源)をカセットにして僕に渡し、僕はその曲を今の形にしたんだ。だから、彼がその曲で間違った(クレジットされなかった)ことをした時、僕は終わったと思った。彼とは終わったんだ。
これ以外にもプリンスへの不満が溜まったブラウンマークは脱退(ザ・レヴォリューション解散)する事となります。
参考ブラウンマークがプリンスとの思い出を語る
〈The Revolution〉のベーシストとして活躍したブラウンマーク(Bronwmark)がforbesのインタビューでプリンスの思い出を語りました。 長文のインタビューなので要点だけまとめておき ...
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ブラウンマークの功績をクレジットしなかったプリンスにも非ががありますが、プリンスのデモ版、マザラティ版、完成したバージョンを聴き比べれば、プリンスがデモ版の段階で絶妙なリズムの上に歌詞を乗せているかが判りますし、マザラティの歌唱に納得がいかず奪い取った気持ちも判ります。
いざこざはありましたが、結果としてプリンスの判断で「KISS」は後世まで伝えられる名曲として残す事ができました。
PRINCE "KISS" Stories From The Sessions w Recording Engineer David "Z" & Peggy "Mac" @ Sunset Sound
この当時の事についてはデヴィッド・Zとペギー”マック”ことペギー・マクレアリーがサンセット・サウンドの公式チャンネルで話しています。