前回「プリンスのフォロワー【男性:リスペクト編】その1」を書いたので、今回は同じ男性アーティストでも共演経験のあるアーティストを紹介しておこうと思います。
こちらもかなりの数があるので、ある程度溜まったら”その2”を書きます!
Anthony Hamilton / アンソニー・ハミルトン
ノースカロライナ州シャーロット出身、’92年にニューヨークに拠点を移し翌年Uptownレーベルと契約、’96年に「XTC」でデビューするも思うような成果を得ることが出来ませんでした。その後ドネル・ジョーンズへの楽曲提供やディアンジェロのVoodooツアーに参加する等キャリアを積み、So So Defからリリースした「Comin' From Where I'm From」('03)が多くの音楽賞にノミネート、'08年にはグラミー賞を獲得します。
プリンスとは’08年のプライベート・ライブや'11年のWelcome 2 America Tourで共演、翌年にはプリンス・プロデュースによるシェルビー・Jのシングル”North Carolina”にゲスト参加しました。新作「What I'm Feelin'」も好評です。
Bilal / ビラル
’99年頃Q-Tip経由でクエストラブの手に渡ったデモ・テープの歌声を気に入られると、ディアンジェロのツアーにのバック・ボーカリストに参加する事となります。
ヴォーカル力を高く評価されるとクリエーター・チーム”ソウル・クエリアンズ”のメンバーとしても活動、’01年にドクター・ドレーやラファエル・サディーク、モス・デフ、ジェイムス・ポイザー等、錚々たるメンバーが参加した「1st born second」で華々しくデビューしました。
デビュー当時から”How Come U Don’t Call Me Anymore?”をカヴァーする等フォロワーを公言、’02年にコモン(Common)の「Electric Circus」収録の"Star *69 (PS With Love)"で念願の共演を果たす事となります。
’16年に行われたBET Awardでは"The Beautiful Ones"を熱唱し話題となりました。
Cee-Lo Green / シー・ロー・グリーン
アトランタ生まれで’95年にグッディー・モブ(GOODIE MOB)のメンバーとしてデビュー、’99年にはサンタナの「Supernatural」でローリン・ヒルと一緒に客演し脚光を浴びます。グッディー・モブ脱退後デンジャー・マウスとナールズ・バークレイ(Gnarls Barkley)を結成し"Crazy"が大ヒット。
以降「The Lady Killer」('10)や「Heart Blanche」('15)とソロでも活躍しています。
プリンスとは3121ツアーの頃にゲスト参加で共演、その後もプライベート・ライブ等数回参加しています。
Christian Scott / クリスチャン・スコット
90年後半から活躍し'02年にリーダー作の「Christian Scott」を発表、プリンスとは「Planet Earth」のレコーディングやライブに参加したニューオリンズ出身のトランペッター。
エスペランサ・スポルディング達と組んだり、ロバート・グラスパーやテラス・マーティン達と「R+R=NOW」を結成するなど常に進化を続け、アフロ・ジャズ感満載の新作「Ancestral Recall」も好評です。
クリスのトランペットを気に入ったプリンスは連絡を取り'07年の3121ツアーのアフターショウに参加、その後「Planet Earth」収録の”Somewhere Here On Earth”で共演を果たします。
D'Angelo / ディアンジェロ
バージニア州リッチモンド出身で'95年に「Brown Sugar」でデビュー。
エリカ・バドゥ、ザ・ルーツ、ビラル、コモンらと共に音楽集団"ソウルクエリアンズ"を結成、'00年の「Voodoo」を始め数々の名作を世に送り出した。
一時期表舞台から引いていましたが'14年リリースの「Black Messiah」で一躍脚光を浴び翌年のサマー・ソニックと単独公演で来日を果たしました。(バンドTHE VANGUARDにはジェシー・ジョンソンが参加)
ディアンジェロのプリンス好きは有名で’92年に"She's Always In My Hair"をカヴァー、16年4月には「The TONIGHT SHOW」で"Sometimes It Snows in April"を披露しました。
ディアンジェロのプリンス好きは有名で、'97年7月に行われたアフターショウではクエストラヴと念願の客演を果たします。プリンスもリスペクトに応える形としてディアンジェロが好きな未発表曲"Movie Star"をライナーノーツに記して「Crystal Ball」に収録しました。余談ですがNPGに加入したシェルビー・Jはディアンジェロのバンド"The Soultronics"に在籍していました。
David Haynes (aka. David "Finger" Haynes) / デヴィッド・ハイネス
サウスカロライナ州コロンビア生まれ、’96年のライブでシーラ、ロンダ、カットと出会いと出会った事がキッカケでプリンスと接近、'98年2月に行われたライブに客演、また「The Truth」では未クレジットですが”Fascination”に参加しています。
他にもスティーヴィー・ワンダー、チャカ・カーン、アレステッド・ディベロップメント等と共演、’12年以降はTillBrönner等のツアーで活躍しています。
Dominique "Xavier" Taplin / ドミニク・"シャビエル"・タプリン
ジュディス・ヒルのライブやジョン・ブラックウェル、マーカス・アンダーソン、アンドリュー・グーシェ達とNPJazz名義でライブを行ったキーボーディスト。
現在はNPG Hornzのシルベスター(Sylvester Onyejiaka)やモノネオン達とゴースト・ノート(Ghost-Note)やTOTOのツアー・メンバーとして活動。
Grupo Fantasma / グルーポ・ファンタスマ
プリンスに”Real musicians playing real music."と称賛されたオースティンを拠点に活動するラテン・ファンク・ユニットで、ホーン隊の一部が'05年からNPG Hornzのメンバーとして参加。
ライブ以外で有名なのは'07年のALMA Awardsでプリンスやシーラのバックで演奏しています。’19年5月に新作「American Music: Volume 7」をリリース。
Justin Timberlake / ジャスティン・ティンバーレイク
子供番組を経て'95年にイン・シンクのメイン・ヴォーカリストとしてデビュー。
’02年のソロ・デビューではネプチューンズやティンバランド等とタッグを組みアイドル路線から脱却、最新作「Man Of The Woods」も高い評価を得ました。また歌手だけでなく俳優としても活躍しています。
プリンス・フォロワーを公言し、’05年1月17日にロサンゼルスの別荘"3121 Antelo Rd."で開催されたプライベート・パーティに参加、マルーン・5のアダムやハービー・ハンコック達と共にストーンズの"Miss You"を披露、翌年リリースの「FutureSex / LoveSounds」収録の”Until the End of Time”には”Raspberry Beret”をサンプリングしました。
ジャスティンと言えば’18年2月にミネアポリスで開催されたNFLスーパー・ボウルのハーフタイム・ショウではプリンス・トリビュートを取り入れ話題となりました。
Lenny Kravitz / レニー・クラヴィッツ
ニューヨーク出身で音楽に専念する為に高校を中退、’89年にヴァージンから「Let Love Rule」で鮮烈デビュー、'91年の2nd「Mama Said」で大ブレイクを果たします。
プリンスはデビュー当時から関心を持ち、お互いのライブに客演するなど兄弟の様に接していました。
特に、プリンスがバハマでクリスマス休暇中にレニーに寒いミネアポリスのペイズリー・パークへ呼び出した『レイヴ・アン・2・ジ・イヤー2000』、そしてレニーの「Circus」収録の“Rock And Roll Is Dead”に対するアンサー・ソングの"Rock ‘N’ Roll Is Alive! (And It Lives In Minneapolis)"話は二人の仲の良さを表すエピソードです。
Maxwell / マックスウェル
ニューヨーク州ブルックリン生まれで’96年に「Maxwell's Urban Hang Suite」でデンビュー。続く「Embrya」も大ヒットし90年代を代表するR&Bシンガーとして脚光を浴びました。
近年は’09年リリースの「BLACKsummers'night」3部作を構想中で、'16年に2作目の「blackSUMMERS'night」をリリース、本人から2019年に完結させると予告されています。
プリンスとは'08年6月にビバリーヒルズで行われたプライベート・パーティに参加、前述のシー・ロー・グリーンやアンソニー・ハミルトン達とライブに参加しています。
またビラル同様、BETで行われたプリンス・トリビュートでは自身の“Lake by the Ocean”から”Nothing Compares 2 U”のメドレーを熱唱し話題となりました。
Musiq Soulchild / ミュージック・ソウルチャイルド
フィラデルフィア出身、’00年のデビュー・アルバム「Aijuswanaseing」が大ヒットし、ディアンジェロやマックスウェル達と一緒に”ネオ・ソウル・ブーム”を牽引した一人で、'17年の「Feel The Real」も自身の新たな可能性を引き出した意欲作となっています。
プリンスの様に途中、"Musiq"だけだったり、The Husel(ザ・ハッスル)やpUrPlE wOnDaLuV(パープル・ワンダーラブ)等、スタイルを変える度に別人格を形成する所などプリンスからの影響も色濃く感じます。
プリンスとは「One Nite Alone… The Aftershow: It Ain’t Over!」にゲスト参加を果たしています。(未完となった7枚組の「Xenophobia」にも参加予定でした)
Pharrell Williams / ファレル・ウイリアムス
バージニア州バージニアビーチ出身、テディー・ライリーの基でキャリアを積んだ後、友人のチャド・ヒューゴとプロデューサーチーム”ザ・ネプチューンズ(The Neptunes)”を結成。”ネプチューンズ・サウンド”と称される独特のサウンドでブリトニー・スピアーズ、ジェイZ、ジャスティン・ティンバーレイク等数多くのアーティストを手掛けました。
その一方で友人のシェルドン・ヘイリーを誘いN.E.R.Dを結成しアルバムをリリースしつつファレル自身もソロとプロデューサー業で活躍、特に"Happy"を収録した'14年の「GIRL」は数多くの賞を受賞、ファッション・ブランドも立ち上げる等多方面で活躍しています。
プリンス・フォロワーとして有名で、「Rave Un2 The Joy Fantastic」収録の”The Greatest Romance Ever Sold”のリミックスをネプチューンズ名義で担当しました。
Questlove / クエストラヴ
フィラデルフィア出身、ザ・ルーツのドラマーとして’93年の「Organix」でデビュー。
エリカ・バドゥ、ディアンジェロ、ビラル、コモン、Jディラ達と共に音楽集団"ソウルクエリアンズ"を結成、相互のアルバムに参加する事で一大ムーブメントを起こしました。
プリンスとは90年代後半から親交があり、ライブで何度も客演していて、プリンスに対するリスペクトは計り知れなく、’14年にはニューヨーク大学で講師を務める際、授業の題材としてプリンスを取り上げる程。
’16年以降もプリンスの功績を常に発信する”プリンス信者”の筆頭と言えます。
Q-Tip / Q-ティップ
ニューヨーク州クィーンズ出身のラッパーで、アリ・シャヒード・ムハマド、ファイフ・ドーグ、ジェロビ・ホワイトとア・トライブ・コールド・クエストを結成、'90年に「People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm」をリリース、ジャズとヒップ・ホップを融合した独特の世界観は徐々に世界を魅了、個人でもNas等のプロデューサーとして実力を発揮しました。
’98年解散(後に再結成)後はソロ・アーティスト、プロデューサーとして活躍。
プリンスとは「Rave Un2 The Joy Fantastic」収録の”The Greatest Romance Ever Sold”のリミックスや「MPLSOUND」収録の"Chocolate Box"に客演する他、プライベート・ライブでも共演しています。
Rahsaan Patterson / ラサーン・パターソン
ニューヨーク生まれで"ラサーン"はジャズ・サックス・プレーヤーのラサーン・ローランド・クラークから名前を肖って付けられたそうで、幼少期からペンテコステ派教会の聖歌隊で歌い、'84年にはアメリカの子供番組『キッズ・インコーポレイティッド』で
ファギーやマルティカ達と出演し注目を浴びました。
番組卒業後から本格的に音楽活動を開始、先にデビューしたマルティカのバック・ヴォーカルを努めた事からプリンスがプロデュースした2nd「Martika’s Kitchen」にも参加する事となります。
その後ソングライトでブランディやテヴィン・キャンベルのアルバムに参加、'97年に待望のデビュー・アルバムをリリースするとソングライターと二足のわらじで活躍、今年は8年振りの新作「Heroes & Gods」をリリースしました。
Raphael Saadiq / ラファエル・サディーク
カリフォルニア州オークランド出身、'88年に兄ドゥウェインと従兄弟ティモシーと共にトニー・トニー・トニー(Tony! Toni! Tone!)のメイン・ヴォーカリストとしてデビュー。その後アン・ヴォーグを脱退したドーン・ロビンソンとATCQのアリ・シャヒード・ムハマドとルーシー・パールを結成、その一方でプロデューサー/ソングライターとしてもディアンジェロ、アンジー・ストーン、アイズレー・ブラザーズといったビッグ・ネームから若手のエイドリアン・マーセルやソランジュといった若手から、『Empire 成功の代償』等のサウンド・トラックなど多岐に渡って活躍しています。
デビュー前は改宗名前の本名ラファエル・ウィギンスで活動、この名前の頃にはシーラ・Eの"E Band"に在籍('85~'86)し「Sheila E」('87)のレコーディングに参加、プリンスの"Parade Tour”にも同行、’00年以降も数回客演しています。
今年8年振りの新作「Jimmy Lee」をリリースしました。
Ronald Bruner Jr. / ロナルド・ブルーナー・ジュニア
父親は名ドラマーのロナルド・ブルーナー・シニア、兄弟にはサンダーキャットとジ・インターネットのキーボード奏者ジャミール"キンタロー"ブルーナーと絵に書いた様な音楽一家。
ジュニアは、マーカス・ミラーやジョージ・デューク、スタンリー・クラーク等元で活躍しながらサンダーキャットやカマシ・ワシントン達とヤング・ジャズ・ジャイアンツ(The Young Jazz Giants)でアルバムをリリース他、ケンドリック・ラマーの名盤「To Pimp a Butterfly」等にも参加しています。
プリンスとはDakota Jazz Clubで行われたライブにNPGのドラマーとして参加。
このライブ音源のうち"Chapter & Verse"は当時プリンスが管理していた3rdeyegirlのYoutubeチャンネルで配信されたものの、現在は閉鎖されたので未発表となってます。
’17年の「Triumph」も秀作です。
Stokley (Stokley Williams) / ストークリー
クリス・デイヴと同じくミント・コンディションのメンバー(ヴォーカリスト/ドラマー)で、単独では'04年の「Musicology」の"Call My Name"(MVも参加)、'09年の「MPLSOUND」では"Ol' Skool Company"に参加、'10年のライブにも客演する等プリンスからも信頼の熱いアーティスト。
プリンス以外ではロバート・グラスパー、キャリン・ホワイト、アッシャー、ジャネット・ジャクソン等と共演、'17年の「Introducing Stokley」には、ロバート・グラスパーやエステルが参加しています。
Trombone Shorty / トロンボーン・ショーティ
ニューオリンズ出身のトロンボーン奏者(他にもトランペットやドラム等も演奏します)で、'02年からインディでアルバムを制作、最新作は’17年の「Parking Lot Symphony」。
プリンスとは、アンディ・アローの「Superconductor」('12)収録の"People Pleaser"と"If I Was King"の2曲でメイシオ・パーカーと一緒にホーン隊としてレコーディングに参加、レコーディングはアンディとだけですが、'11年~'14年に行われたプリンスのライブにゲスト参加しています。