Closer Than Close / Rosie Gaines ‎('95)

プリンスとワーナーの不和により1993年の「Concrete Jungle」、仕切り直しで制作した1994年の「Try Me」が立て続けにお蔵入りになった上、ワーナーが手を引いた事でPaisley Park Recordsも閉鎖。
活路を見いだせなくなったロージーは遂にプリンスの下を離れる事を決断、名門モータウンと契約しソロ・アルバムとしては1987年の「No Sweeter Love」以来８年振りに本作をリリースしました。

収録曲は「Concrete Jungle」に収録予定だった"I Want U (Inner City Blue)"、"Googaga"、”Ooh La La”、"My Tender Heart"、"Concrete Jungle"、"I Almost Lost You"、"Get The Ghetto Off Your Mind"、"Do What You Wanna Do"の８曲をベースに、７曲を追加した構成になっています。
厳密には"I Want U”は２曲収録（International盤は1曲）された他、タイトル・トラックの"Concrete Jungle"は倍近い長さになり、"My Tender Heart"もスティールズやリッキー・ピーターソンが参加した豪華なアレンジなど細かな変更が加えられています。

プリンスと袂を分かったにも関わらずプリンスが参加した３曲を含む８曲のリリースを許可した経緯は判りませんが、恐らくプリンスもロージーのチャンスを潰してしまった事に対する謝罪と、旅立った彼女を応援していたんだと思います。

ロージーとの出会い

"I Want U”はプリンスが作曲しリーヴァイ・シーサーがプロデューサーとしてポインター・シスターズに歌ってもらう予定だった曲で、ロージーはコーラスの予定で参加。この時、ロージーの歌声に関心したプリンスはバンド・メンバーに引き入れました。

この事について2023年に行われたセレブレーションでリーヴァイ・シーサー，Ｊｒ．が当時の事が語りました。（ロージーはこの年設立されたプリンス・レガシー・アワードで受賞第一号に選ばれました）

以下イベントに参加されたDarling Nisiさんのツィートを元に掲載します。

Levi said he knew someone and brought Rosie in. He told the story of how P wasn't interested in meeting her until hearing her voice. He had written a couple of songs that he wanted her to record. Levi and Rosie knocked it out in an hour and brought Prince the tape.
— Darling Nisi (@darlingnisi) June 10, 2023

プリンスはバンドを去ったボニー・ボイヤーの代わりの女性ヴォーカルが必要だと考えていたのでリーヴァイは「知り合いがいる」と話しロージーを連れてきました。
リーヴァイによれば「プリンスは彼女の声を聞くまで彼女に会うことに興味がなかった」と話をしました。そこでリーヴァイはロージーと1時間でデモ・テープを作りプリンスに持っていきた。
プリンスはテープを聴くと”この声の持ち主が今僕のスタジオにいるのか？！(That voice is in MY studio right now?!)"と彼女の声を気に入り”彼女は次のアレサ・フランクリンだ(Rosie Gaines was the next Aretha Franklin)”と話したそうです。