ザ・レッド・シューズ / ケイト・ブッシュ
Released:1993/11/1 (vaultは10/5表記) | Label: Columbia Records
Track List
- Rubberband Girl (4:45)
- And So Is Love (4:18)
- Eat The Music (5:11)
- Moments Of Pleasure (5:18)
- The Song Of Solomon (4:29)
- Lily (3:53)
- The Red Shoes (4:03)
- Top Of The City (4:15)
- Constellation Of The Heart (4:47)
- Big Stripey Lie (3:33)
- Why Should I Love You (5:02) P
- You're The One (5:53)
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Kate Bush
Written
- Kate Bush
Additional Musician
- Prince (guitar, keyboards, bass guitar, background vocals) (11)
- Eric Clapton (guitar) (2)
- Jeff Beck (guitar) (12)
- Paddy Bush (valiha, vocals) (3) (flute) (6) (mandola) (8) (vocal) (9)
- Charlie Morgan (percussion) (5)
- Gaumont D'Olivera (bass) (7) (drum, percussion) (10)
- Justin Vali (valiha, vocals) (3)
- Nigel Kennedy (violin, viola) (8) (violin) (10)
- Lenny Henry (vocal) (11)
アルバム・レビュー
ケイト・ブッシュ7枚目のアルバムで、も"And So Is Love"にエリック・クラプトン、"You're The One"にジェフ・ベック、"Top Of The City"にナイジェル・ケネディ、"The Red Shoes"にジュスタン・ヴァリ等、豪華なゲストが参加したアルバムで、プリンスは”Why Should I Love You”に参加。
デビュー前の94 EastやThe Lewis Conectionを除き、作曲に一切関わらずギター、キーボード、ベースギター、バックボーカルと演奏だけ参加したのはこれが初となります。(厳密に言えば'83年の”Stand Back”が初ですが、スティーヴィー・ニックスが共作にクレジットしたので...)
Why Should I Love Youについて
2016年4月、ケイト・ブッシュのレコーディング・エンジニア、デル・パーマー(Del Palmer)が当時の様子を語っています。
When Prince worked with Kate Bush – SuperDeluxeEdition
superdeluxeedition.com
This one actually was recorded in collaboration with Prince
この曲は、実はプリンスとのコラボレーションで録音されたものなんだ。Kate went to see him at a gig and was flattered to be asked to meet him after the show, when they discussed a collaboration.
ケイトはプリンスのライブを見に行き、ライブ(1990年のNude Tour)後に会うように誘われ、コラボレーションについて話し合ったんです。Unable to physically get together in the same room, they swapped multi-track tapes, with a slave reel returning from Prince’s Paisley Park studio covered in vocals, guitar solos and keyboards.
物理的に同じ部屋に集まることができなかったので、マルチトラックテープを交換し、ボーカル、ギターソロ、キーボードが録音されたスレーブ・リール(テープ)がプリンスのペイズリー・パーク・スタジオから戻ってきたんだ。The problem then was to put the track back together into something resembling its original form while retaining the best of what Prince had done.
そこで問題となったのは、プリンスのベストのサウンドを残しつつ、(ケイトの)オリジナルの形に近い形でトラックを組み立てることだったんだ。He hadn’t added one of the vocal parts which would have been particularly good for him, so it basically took two years to put it back together.
プリンスにとって素晴らしいボーカル・パートが1つも収録されていなかったので、基本的には2年がかりで構築したんだ。What’s left is his lead guitar, some digital synths and some chorus vocals.
Then Lenny Henry came in to do a vocal on the end – he’s really got a great voice and ought to be doing a serious record of his own.
残ったのは彼のリード・ギターとデジタル・シンセ、そしてコーラス・ボーカルです。
レニー・ヘンリーが最後にボーカルで参加したんだけど、彼は本当に素晴らしい声をしていて、自分のアルバムを真剣に作るべきだね。
ケイトによるオリジナル音源
1991年、二人のスケジュールが合わなかったため、ケイトはロンドンのアビーロード・スタジオ(Abbey Road Studios)で録音したテープをプリンスへ送りました。この時ケイトが送った音源が下のものと言われています。
プリンスの音源を追加したバージョン
プリンスは送られてきたテープをもとに演奏とヴォーカルを追加録音し、ケイトに送り返しました。
前述のデル・パーマーの発言からプリンスはペイズリー・パークでレコーディングしたと言われていました(『プリンス・ファミリー大全』でもそのように記載)が、プリンスと共に仕事をしていたレコーディング・エンジニアのシルヴィア・マッシー(Sylvia Massy)が2022年に別バージョンの"Why Should I Love You? (Ghost Pitch-1)”を自身のサイトに公開(これがプリンスが送った最初のテイクかは不明)した事で、レコーディングされた場所はカリフォルニア州ノース・ハリウッドのララビー・サウンド・スタジオという事が判りました。
当然ケイト・ブッシュとプリンス・エステートの承認を得て作られたものではないので現在は削除されています。(一度公開された音源は上記の様にYouTubeに拡散されています)
リリース版
プリンス・ファンとしてはこのヴァージョンに耳を奪われるのですが他の楽曲とのバランスを考えると浮いてしまいます。マドンナの「Like A Prayer」の時も過剰に演奏をした事で最終的には演奏をカットされた事がありました...愛情が溢れてるくんでしょうね。
またデルはデュエット・パートを録音してもらえると期待していたのかもしれませんが、収録されているのはコーラスだけに留められています。
プリンスはケイトがデビューした頃からのファンなので、きっと彼女のヴォーカルを際立たせる事を意識していいたのかもしれません。
そこでケイトの親友でプリンスの大ファンであるイギリスのコメディアンで、ライブではよくプリンスのモノマネを披露するレニー・ヘンリー(Lenny Henry)がバックボーカルとして参加して完成しました。
(プリンスが歌ったら素敵だったであろう"The fine purple, the purest gold"のリフレインはレニーによるもの)
この件については1989年から1994年までプリンスのエンジニアを務めたマイケル・コッペルマン(Michael Koppelman)が語っています。
Kate Bush – lolife
lolife.com
ケイトの大ファンだったマイケルは上記の記事は当時様子を細かく語っています。