作品情報
Released:2018/9/21 | Label: NPG Records, Warner
ピアノ&ア・マイクロフォン 1983【デラックス・エディション】<CD+LP>
Track List
- 17 Days (Piano & a Microphone 1983 Version) (6:22)
- Purple Rain (Piano & a Microphone 1983 Version) (1:26)
- A Case of You (Piano & a Microphone 1983 Version) (1:40)
- Mary Don't You Weep (Piano & a Microphone 1983 Version) (4:42)
- Strange Relationship (Piano & a Microphone 1983 Version) (2:38)
- International Lover (Piano & a Microphone 1983 Version) (3:48)
- Wednesday (Piano & a Microphone 1983 Version) (1:59)
- Cold Coffee & Cocaine (Piano & a Microphone 1983 Version) (5:13)
- Why the Butterflies (Piano & a Microphone 1983 Version) (6:26)
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince
Written
- Prince
- Joni Mitchell (3)
リリースまでの経緯
2016年4月、プリンスがこの世を去ったあと「4ever」('16)、「Purple Rain DELUXE EXPANDED EDITION」('17年)、そして’18年4月20日には1984年に録音された貴重な未発表音源“Nothing Compares 2 U”と、プリンスがペイズリー・パークの金庫に残していた音源から未発表曲が少しづつ公開され始めました。
そんな中、2018年1月にプリンスの資産を管理するアトム・ファクトリーのアドバイザー、トロイ・カーターが”現在未発表音源をミックス中”とコメントを発表、同年4月に”2018年9月に未発表曲集をリリースする"という情報が流れました。
そして60歳の記念となる2018年6月7日に「Piano & A Microphone 1983」を9月21日にリリースする事が発表、同時に収録曲の"Mary Don’t You Weep"がYoutubeの公式チャンネルにアップされました。
レビュー
'87年にペイズリー・パーク・スタジオが完成するまでプリンスは数か所でレコーディングをおこなっていましたが、最も利用していたのはミネアポリス郊外のチャンハッセン(チャナッセン)でライリー湖側にある自宅のホームスタジオ”カイオワ・トレイル・ホーム・スタジオ(Kiowa Trail Home Studio)”で、’85年1月頃までこのスタジオから数多くの名曲を生み出しました。
その膨大な音源の中からワーナー(エステート)が初の未発表音源集という纏まった形でのリリースに選んだのは、タイトル通り1983年にこのスタジオでカセットにレコーディングされた未発表のピアノ弾き語り音源です。
トロイ・カーター氏によれば、タイトルは’16年に行われていた同名ツアーをリスペクトした形をとったそうです。
("1983"が追加されているとは言え、正直このタイトルは’16年のライブ盤リリースして使って欲しかった...)
スタート直前に話す貴重なプリンスの生声の後、力強く鍵盤を叩く音と激しくも優しい歌声の"17 Days"、そして1分半と短いものの翌年リリースされる「Purple Rain」の成功を予感させる"Purple Rain"と聴いていて鳥肌が立ちます。
流れる様に続く形で演奏されるプリンスが敬愛するジョニ・ミッチェルのカヴァー”A Case of You”は、’02年リリースの「One Nite Alone…」と比較しても遜色ない1曲ですがこちらも1分半と短いのが残念。
”Mary Don't You Weep”はアメリカの南北戦争(1861-1865)の頃に歌われた黒人音楽で、その歌詞から’18年8月に公開されたスパイク・リー監督映画『BlacKkKlansman』のエンド・クレジットでも使用されました。
この他、4年後となる'87年の「Sign O' The Times」に収録された”Strange Relationship”のベーシック・トラック、「1999」収録の”International Lover”、ジル・ジョーンズのヴォーカル版で「Purple Rain」に収録する予定もあった"Wednesday"、しゃがれ声で歌ってる"Cold Coffee & Cocaine"、プリンスが曲を作る過程を体験している様な感覚になる”Why The Butterflies”の後半3曲の未発表曲も聴きごたえがあります。
音源自体は過去に海賊盤でリリースされたものなのでマニアの人にとっては聴き馴染みのあるものですが、キチンと音質調整を施された本作からはプリンスの息遣いが間近で聴こえる素敵な音源になっています。(ヘッドホンで聴けば尚良しって感じですね!)
ただ、こういう未発表作が出る度に”あぁプリンスがいたら絶対コレ出さなかっただろうな...”と感傷的になります。同じリリースするなら2016年4月に制作中と言われていたライブ盤をリリースして欲しものです。
参考プリンスがライブCDをリリースする?!
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通常盤とデラックス盤の違い
通常盤はプレス・リリースの抜粋、プリンスの当時エンジニアだったドン・バッツによるライナーノーツが掲載。
デラックス盤は12インチ・サイズのブックレットにドン・バッツによるライナーノーツ、リサ・コールマンとジル・ジョーンズのライナーが掲載、加えて未公開のスナップ写真(表紙・裏表紙を除く10ページ中、写真は3枚、直筆メモが2ページ)が収録されています。
(また通常盤のCDはmade in Japan、デラックス盤は輸入盤と同じ)