ザ・タイム / ザ・タイム
Released:1981/7/29 | Label: Warner Bros.
Track List
- Get It Up (9:05) P
- Girl (5:34) P
- After Hi School (4:20) P
- Cool (10:06) P
- Oh, Baby (4:57) P
- The Stick (8:23) P
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Morris Day & Jamie Starr (Prince)
Written
- Jamie Starr (Prince) (1,2,5)
- Prince and Dez Dickerson (uncredited) (4)
- Prince and Lisa Coleman (uncredited) (6)
- Dez Dickerson (uncredited) (3)
Member
- Morris Day (lead and background vocals)
- Terry Lewis (bass, co-lead and background Vocals)
- Jimmy Jam (keybords and vocals)
- Monte Moir (keybords and vocals)
- Jellybean Johnson (drums and percussion)
- Jesse Johnson (guitar and vocals)
Musician
- Prince (all background vocals and instruments)
- Morris Day (lead and background vocals) (drums) (2,4,5,6)
- Dr. Fink (synths) (1,6)
- Lisa Coleman (background vocals) (4,6)
- Sue Ann Carwell (background vocals) (4)
- Terry Lewis (background vocals) (6)
アルバム・レビュー
デビューのキッカケは”Partyup"
1981年、モーリス・デイが作曲したグルーヴを元に完成した”Partyup"(「Dirty Mind」収録)の謝礼にプリンスは1万ドルかレコード契約を結ぶ手助けをするかを提案、レコード・デビューしたかったモーリスはレコード契約を選びます。
メンバーは1974年から活動していた前身のバンド”フライト・タイム”のメンバー、ジミー・ジャム、テリー・ルイス、モンテ・モア、ジェリービーン・ジョンソン、そしてモーリスの勧めで加入したジェシー・ジョンソンの6人でデビューを果たします。
”オルター・エゴ”ジェイミー・スターの登場
楽曲はデズ・デッカーソンが作曲した"After Hi School"を除きプリンスが担当("The Stick"はリサ・コールマン、"Cool"はデズと共作しますが未クレジット)。
アートワークにはメンバーが並んで映りブックレットにも演奏したかのように記載されていますが実際はレコーディングに参加しておらず、プリンスとモーリスの他にDr.フィンク(1,6)、リサ・コールマン(4,6)、スー・アン・ カーウェル(2,4)の5人で制作、またプリンスは関与を隠す為〈ジェイミー・スター (Jamie Starr)〉という偽名でクレジットされていいます。
偽名を使った理由は「プリンスの他にもミネアポリスに強力なグループが存在している事をアピールしたかった」や「実験的な作品に対しプリンスが作った事がバレるのが怖かった」など諸説ありますが、モーリスによれば「Jamie Starr was Prince's "altered ego" so when u c me u c him!!!! (ジェイミー・スターはプリンスの“オルターエゴ”、オレを見ればヤツが見える!!!!)」と発言している事からも、新しいサウンドを表現する"分身"を作り出したと言えます。
Jamie Starr was Prince's "altered ego" so when u c me u c him!!!!
Brothers 4 life— Morris Day (@TheMorrisDay) May 30, 2016
グルーヴ強めのサウンド
タイトなリズムに縦横無尽に演奏するプリンスのギターとDr.フィンクによる浮遊感のあるシンセが交差する9分超のデビュー・シングル"Get It Up"を筆頭に、"Do Me Baby"のような切ない歌詞も魅力的な"Girl"、デズらしいシンプルなファンク・ロックの"After Hi School"、US Hot 100にランクインした10分強のセカンド・シングルの"Cool"、今作の為に再録されますが元は「For You」リリース直後に制作された事からお蔵出し的な意味合いの"Oh, Baby"、唯一メンバーのテリーがバック・ヴォーカルで参加している最終曲の”The Stick”もDr.フィンクのシンセが光る1曲です。
全体を通して「Dirty Mind」と「Controversy」を足して2で割った様なグルーヴ強めのファンク・アルバムで、プリンスと作り出したモーリスの伊達男っぷりが感じられる洒落たヴォーカル・ワークも相まって非常に聴き易いアルバムだと思います。
プリンスの思惑は見事に成功し、前年に発売されたプリンスの「Dirty Mind」と並んでゴールド・ディスクを獲得しました。