アイム・レディ / テヴィン・キャンベル
Released:1993/10/26 | Label: Qwest Records, Warner Bros.
Track List
- Can We Talk (4:44)
- Don't Say Goodbye Girl (4:30)
- Interlude (0:13)
- The Halls Of Desire (4:36) P
- I'm Ready (4:45)
- What Do I Say (4:55)
- Uncle Sam (3:57) P
- Interlude (0:29)
- Paris 1798430 (3:37) P
- Always In My Heart (5:40)
- Interlude (0:09)
- Shhh (4:55) P
- Brown Eyed Girl (3:48)
- Infant Child (2:42)
Personnel
Executive Producer
- Quincy Jones
- Benny Medina
Produce
- Babyface, Daryl Simmons (1, 5, 10)
- Narada Michael Walden (2, 6, 13, 14)
- Prince (credited as Paisley Park) (4, 7, 9, 12)
Written
- Babyface, Daryl Simmons (1, 10)
- Burt Bacharach, Sally Jo Dakota, Narada Michael Walden (2)
- Prince (credited as Paisley Park) (4, 9, 12)
- Babyface (5)
- Sally Jo Dakota, Johnny Gill, Narada Michael Walden (6)
- Prince, Paula Sherield (rap written) (7)
- Tevin Campbell, Sally Jo Dakota, Narada Michael Walden (13)
- Sri Chinmoy, Narada Michael Walden (14)
Musician
- Prince (all backing vocals, instruments [uncredited]) (4) (all instruments [uncredited]) (7, 9, 12)
- Michael B. (drums) (4, 12)
- Sonny T. (bass guitar) (4, 12)
- Tommy Barbarella (keyboards) (4, 12)
- Eric Leeds (horns) (4, 12)
- Atlanta Bliss (horns) (4, 12)
- Kirk Johnson (percussion) (4)
- Kathleen Johnson (background vocals) (4,12)
- William "DJ" Graves (scratching) (4)
アルバム・レビュー
アルバム制作の経緯とプロデューサー陣
前作『T.E.V.I.N.』の成功から2年を経てリリースされたテヴィン・キャンベルのセカンド・アルバムです。
1992年後半から制作が始まりましたが、当時まだ16歳だったテヴィンは自分のボーカルや方向性をしっかり持ち、プロデューサーたちと直接意見を交わしながらレコーディングを進めたと言われています。
エグゼクティブ・プロデューサーのクインシー・ジョーンズとベニー・メディナの制作総指揮のもと、前作からのナラダ・マイケル・ウォルデンに加え、テヴィンの母親の勧めでベイビーフェイスとダリル・シモンズのコンビが新たに参加しました。 そして、前作で1曲提供したプリンスは今回4曲をプロデュースし、ボーカル・コーチも務めています。当初はプリンスが全曲プロデュースする計画もあったそうですが、レーベルとの予算の折り合いがつかず見送りになりました。結果的に、当時のR&Bシーンを代表するクリエイターたちが集まる豪華な布陣になっています。
楽曲について
ベイビーフェイスとダリル・シモンズが手がけた曲は、やはりこのアルバムのメインになっています。大ヒットした「Can We Talk」やタイトル曲「I'm Ready」では、変声期を過ぎて声に深みが出たテヴィンのスムーズな高音と表現力がしっかり楽しめます。 また、ナラダ・マイケル・ウォルデンの4曲も、アルバムの土台をしっかり支えています。バート・バカラックとの共作「Don't Say Goodbye Girl」やヒット曲「Never Keeping Secrets」などで、テヴィンの歌唱力をストレートに引き出しています。
そんな洗練されたR&Bサウンドの中で、アルバムに良いアクセントを加えているのがプリンスが提供した4曲です。遊び心のある「The Halls Of Desire」、当時のプリンスらしいスクラッチとホーンを入れた「Paris 1798430」、メッセージ性の強い「Uncle Sam」、そして濃厚なバラード「Shhh」と、どれもテヴィンの大人びた一面を引き出していて、アルバム全体にメリハリが生まれています。 全米でダブル・プラチナムを記録し、グラミー賞にもノミネートされた、90年代のR&Bを代表する1枚です。
セールスなど
本作は商業的にも前作を上回る結果を残しています。全米ビルボード200チャートでは初登場で18位にランクインし、R&B/ヒップホップ・アルバム・チャートでは最高3位まで上昇しました。
1994年単年で110万枚を売り上げ、同年のR&B/ヒップホップ・アルバム年間チャートでも5位に入るヒットとなっています。アメリカ国内での累計販売枚数は170万枚を超え、RIAA(全米レコード協会)からはダブル・プラチナ(200万枚相当の出荷)に認定されました。
プリンス関与曲のエピソード
幻に終わったアルバム・タイトル
当初、このアルバムはアレサ・フランクリンの曲名から『Young, Gifted and Black』というタイトルになる予定で、カバーも収録する計画がありました。しかし最終的にカバーの録音を見送ったため、ヒット曲から取った『I'm Ready』に変更されています。
「Shhh」を巡るライブでの攻防とセルフカバー
1994年2月13日深夜、ペイズリー・パークを訪れた際のエピソードです。当初プリンスは「Shhh」を共演する予定でしたが、リハーサルでテヴィンはベイビーフェイス提供の最新ヒット曲「Can We Talk」を歌いたいと要望します。プリンスは自身が書いていない曲を演奏することを嫌がりました。また、NPGのメンバーもすでに「Shhh」を完璧に練習して仕上げていた一方で、「Can We Talk」を全く知らなかったため、結果的にプリンス自身が「Shhh」を歌うことになりました。この決断がきっかけとなり、後にプリンスはスタジオで再録音を行い、自身のアルバム『The Gold Experience』でセルフカバーしています。もしテヴィンが「Shhh」を歌っていれば、プリンスのバージョンは制作されなかったかもしれません。
「Paris 1798430」の電話番号の秘密
タイトルはフランスのパリの電話番号ですが、録音時は最後に「2」がつく「Paris 17984302」というタイトルでした。テヴィンによると、プリンスから「実在する番号だから迷惑にならないように最後の数字を削った」と説明されたそうです。また、クレジットにはエリック・リーズやアトランタ・ブリスの名前がありますが、実際にホーンを演奏しているのはホーンヘッズ(Hornheads)です。
「Uncle Sam」のメッセージとサンプリング
アメリカ政府を擬人化した「アンクル・サム」をタイトルにして、アフリカ系アメリカ人が国の発展にどう貢献してきたかを歌ったメッセージソングです。ポーラ・シェリエルドと共作したラップも入っています。曲中でループするサックスは、エリック・リーズの曲「The Dopamine Rush」からサンプリングされたものです。
幻となったエクスパンデッド・エディションと「I2I」
2021年2月12日に未収録曲を追加したデジタル版がリリースされる予定でしたが、最終的に中止となってしまいました。この特別版には、ペイズリー・パーク・スタジオで録音された楽曲「I2I」が収録されるはずでした。デヴィッド・Zがプロデュースを務め、ロージー・ゲインズがコーラスで参加しています。後にこの曲は、1995年のアニメ映画『グーフィー・ムービー』において、プリンスなどをモデルにした架空のポップスター「パワーライン」が歌う楽曲として披露されました。
当時のペイズリー・パークの音源がリマスターされて聴ける可能性があっただけに、リリースが見送られたのは残念です。
