マッドハウス / 8
Released:1987/1/21 | Label: Paisley Park Records, Warner Bros.
Track List
- One (7:18) P
- Two (5:29) P
- Three (3:16) P
- Four (2:24) P
- Five (1:18) P
- Six (4:28) P
- Seven (4:09) P
- Eight (10:06) P
Personnel
Produce, Arranged, Composed, Written
- Prince (credited Madhouse)
Member
- Eric Leeds (saxophone)
- Prince (all instruments)
- Dr. Fink (keyboards)
- Levi Seacer, Jr. (bass)
- John Lewis (drums)
- Austra Chanel (keybords)
マッドハウスについて
'86年、共に歩んだザ・レヴォリューションを解散し一人となったプリンスは、当時制作中だった3枚組「Crystal Ball」(後の「Sign O' The Times」)の他、シーラ・E、ジル・ジョーンズ、デイル・ボジオ、タジャ・シヴィル、マザラティ等、ペイズリー・パーク・レコードのサイド・プロジェクトを展開。その中の1つとしてマッドハウスもいました。
謎の女性マネカ・ライトナー(Maneca Lightner)が犬と戯れるアートワークで、楽曲名も1.2.3.4・・・と投げやり、加えて当時メンバー構成すら公開されず(二つ折りのブックレットも日本版のライナーノーツにもメンバー名の記述無し)、2ndアルバムの「16」でやっと判明しました。
メンバーは、エリック・リーズを中心に、ザ・レヴォリューションのDr.フィンク、後にNPGのメンバーとなるリーヴァイ・シーサー,Jr.、そしてエリックがアトランタで活動していた頃にプレイしていたジョン・ルイスの4人組ジャズ・バンドです。
当時のライナー・ノーツにはジョンの兄弟ビル・ルイス(ベース)、そしてオーストラ・シャネル(キーボード)とクレジットされるも、オーストラ・シャネル(Austra Chanel)はプリンスの偽名で、、実際はエリックのサックス以外は全てプリンスが演奏した覆面バンドでした。
プリンスがジャズに傾倒していったのは、当時ジャズ・アルバムを殆ど聴いてこなかったプリンスにエリック・リーズが貸したマイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」や「スケッチ・オブ・スペイン」を聴いてからと言われています。
加えて’85年12月に空港で偶然マイルスと遭遇しお互い意気投合、音源を送り合ったりペイズリー・パークにも複数回招待していき、どっぷりハマってしまいます。
そこでザ・タイムと同じ手法でプリンスとバレない様に身元を隠しリリースされたのが本作です。
アルバム・レビュー
”謎のジャズ・バンド”だったので当時余り話題になりませんでしたが、ペイズリー・パークからリリースされた事でプリンスがまったく関与してないとは思われていませんでした。
更に"One"を聴けば、そこには紛れもなくエリック・リーズのサックスとプリンス独特のドラムの音色が聴こえるのでバレバレでしたけどね...
たった4日でレーコーディングされた本作には、ジャズブルースの様な"Two"、”Slow Love"に通じつバラード・ナンバーの"Three"、どう聴いてもプリンスのドラムの音色が聴こえるファンキーな"Five"や"デビュー・シングルの"Six"、疾走感のある"Seven"(冒頭には「Come」にも収録されたVanityの声も)、エリックのフルートとキーボードのネイトが心地よい"Eight"と、振り返るとプリンス色満載のジャズ・アルバムです。
この一歩が後のホーン隊やサウンドの下地になると思うと感慨深いアルバムです。
後年エリックはMadhouseに関わったのはプリンス、エリック、そしてスーザン・ロジャースと語っていました。
"The sessions were little different from any other session that I had done with Prince, though this project was just the two of us – and Susan Rogers who engineered the project,"
プリンスとのセッションは、他のどのセッションともほとんど変わらなかった、このプロジェクトは私達2人だけのもので、あとはエンジニアとしてスーザン・ロジャースが参加していたよ。