レイズ・アップ / ラリー・グラハム&グラハム・セントラル・ステーション
Released:2012/9/25 | Label: Moosicus Records
Track List
- GCS Drumline (1:24)
- Throw-N-Down The Funk (6:44)
- It’s Alright (The New Master) (3:34)
- Raise Up (5:35) P
- Shoulda Coulda Woulda (4:47) P
- Welcome 2 Our World (1:01)
- It Ain’t No Fun To Me (The New Master) (6:09)
- Higher Ground (4:55)
- No Way (7:05)
- Hold You Close (5:07)
- Movin' (4:57) P
- Now Do U Wanna Dance (The New Master) (5:35)
- One Day (6:44)
Personnel
Produce, Arranged
- Larry Graham
Written
- Larry Graham
- Al Green (7)
- Stevie Wonder (8)
Musician
- Larry Graham (vocals, bass guitar, electronic drums, keyboards)
- Prince (drums, guitar, keyboards, background vocals) (4,5) (guitar) (11)
- James McKinney (Cymbals) (1) (keyboards, vocals) (2, 3, 7, 8, 12) (vocoder) (4) (vocals) (6, 11)
- Brian Braziel (drum) (1-3, 7, 8, 11, 12)
- Ashling Cole (Whistle) (1) (vocals) (2, 3, 6-8, 11, 12, 13)
- David Council (drums) (1) (keyboards, vocals) (2, 3, 7, 8, 11, 12) (vocals) (6)
- Wilton Rab (drums) (1) (guitar, vocal) (2, 3, 7, 8, 12) (vocals) (6, 11, 13)
- Michael Millfield Molhead (Trumpet & Trpmbone) (3, 8)
- Tina Graham (vocals) (9, 13)
- Latia Eittreim (vocals) (9)
- Mario Dawson (drums) (9, 10)
- Mike Scott (guitar) (9, 10)
- Támar Davis (vocals) (11)
- Chance Howard (vocals) (11)
- Raphael Sadiq (guitar,vocals) (13)
- Rob Bacon (guitar) (13)
- Lamar Carter (drums) (13)
アルバム・レビュー
アルバム制作の経緯とプロデューサー陣
本作は、ラリー・グラハム&グラハム・セントラル・ステーション(GCS)名義で2012年9月にアート・オブ・グルーヴ(Art Of Groove)レーベルからリリースした通算9作目のスタジオ・アルバムです。GCS名義のアルバムとしては、1999年にプリンスの主宰レーベルから発売された『GCS 2000』以来、約13年ぶりの新作となりました。
プロデュースはラリー・グラハム自身が担当。レコーディングには、2010年の来日公演に参加した当時のバンド・メンバーを中心に、ゲストとしてプリンスとラファエル・サディークが参加しています。
レコーディングは、ミネソタ州シャナッセンにあるプリンスのペイズリー・パーク・スタジオ、同じくチャナッセンにあるラリーのプライベート・スタジオ「The G-Station」、そしてフランスのタラールにある「Studio de l’Hacienda」で行われました。本作にはプリンスが演奏とボーカルで直接参加した3曲が含まれており、長年にわたる2人の友情と音楽的な結びつきが記録されています。
楽曲について
アルバムの幕開けを飾る「GCS Drumline」から「Throw-N-Down the Funk」への流れは、まさに熱気あふれるライブのオープニングそのものです。軽快なドラム・マーチから間髪を入れずにファンキーなナンバーへと雪崩れ込み、ラリーを含むバンド・メンバー6人が次々にソロを披露していく展開は、初っ端から聴き手をステージの最前列へと引き込んでくれます。
本作の大きな聴きどころとなるのが、プリンスが深く関わった3曲の存在感です。タイトル曲「Raise Up」は、ラリーの唸るスラップ・ベースとプリンスの鋭いギター、そこにジェームズ・マッキニーのヴォコーダーが絡み合うアグレッシブなファンク。続く「Shoulda Coulda Woulda」では、ベース以外の全楽器とコーラスをプリンスが担当し、大人の色気を感じさせるメロウなR&Bバラードに仕上がっています。また、1998年のストックを再調整した「Movin'」でも、プリンスならではの切れ味鋭いギター・カッティングが心地よいグルーヴを生み出しています。
往年の名曲をアップデートしたセルフ・カヴァーも充実しています。1975年の「It's Alright」、アル・グリーン作でラリー版も人気の高い「It Ain't No Fun to Me」、そして1977年の「Now Do-U-Wanta-Dance」と、いずれも原曲の持つドライブ感を損なうことなく、現代的なタイトさで見事に生まれ変わっています。
さらに、アシュリング・コールの爽快なボーカルとホーンが印象的なスティーヴィー・ワンダーのカヴァー「Higher Ground」、元NPGのマイク・スコットが小粋なギターを添える「Hold You Close」、そしてラストを飾るラファエル・サディークとのシックな共演曲「One Day」まで、アルバム全体の緩急も見事です。
13年のブランクを一切感じさせないラリーの強烈なベース・プレイを中心に、バンドの勢いとプリンスとの確かな友情が刻まれた、痛快なファンク・アルバムです。
楽曲に関するエピソード
プリンスが関与した3曲について
- 「Raise Up」と「Shoulda Coulda Woulda」: この2曲でプリンスは、ギターだけでなくキーボード、ドラム、そしてバック・ボーカルまでマルチに担当しています。ベーシック・トラックはペイズリー・パークで録音され、「Shoulda Coulda Woulda」に至ってはラリーのベースとプリンスの演奏のみで構築された、文字通り二人きりのセッションでした。タイトル曲「Raise Up」は後にフランスのスタジオでラリーの手により仕上げられ、ヨーロッパ限定のプロモ・シングルとしてもカットされています。
- 「Movin'」に刻まれた制作の軌跡: この曲の土台となったのは、1998年の『GCS 2000』セッション時にペイズリー・パークで録音されたプリンスのファンキーなギター・トラックでした。その後、ラリーのスタジオ「The G-Station」にて作業が続けられ、コーラスにテイマー・デイヴィスとチャンス・ハワードが参加していることから、プリンスのアルバム『3121』期(2005〜2006年頃)に追加録音が行われ、本作のために最終ミックスされたと考えられています。
カバー選曲について
GCSのセルフ・カバーである「It's Alright」「Now Do-U-Wanta-Dance」「It Ain't No Fun to Me」、そしてスティーヴィー・ワンダーの「Higher Ground」は、プリンス自身もツアー本編や深夜のアフターショーで好んで取り上げていたお気に入りのレパートリーでした。本作のスタジオ録音自体にプリンスは参加していませんが、長年にコラボレートしていた流れが選曲に反映されていると思われます。
