アルバム情報
Released:1988/5/10 | Label: Paisley Park, Warner Bros.
Track List
- No (5:46)
- Alphabet St. (5:38)
- Glam Slam (5:04)
- Anna Stesia (4:57)
- Dance On (3:43)
- Lovesexy (5:49)
- When 2 R In Love (3:58)
- I Wish U Heaven (2:43)
- Positivity (7:16)
Personnel
Produce,Arranged,Composed
- Prince
Additional Musician
- Sheila E. (drums) (1,2,3,5,8,9) (background vocals) (5,9)
- Miko Weaver (guitar) (1)
- Levi Seacer, Jr. (bass guitar) (1)
- Dr. Fink (keyboards) (1)
- Eric Leeds (saxophone & voice) (1) (saxophone) (2,9)
- Boni Boyer (keyboards) (1) (vocals) (4,9)
- Atlanta Bliss (trumpet & voice) (1) (trumpet) (2,9)
- Wally Safford (spoken voice) (1)
- Greg Brooks (spoken voice) (1)
- Ingrid Chavez (spoken intro) (1)
- Cat (vocals) (2,4)
Sampled
- "Payback" by James Brown ('73) (1)
- "Passing Clouds" by Roger Limb ('76) (1)
アルバム・レビュー
当時、世界で最も有名なブートレグ「ブラック・アルバム」をリリース1週間前で取り止め、その後発表されたこのアルバムはまさに全てが衝撃的なアルバムです。
まずこのジャケット!以前から上半身裸のジャケットはありましたが、これ程強烈なジャケットはないです。当時アメリカのCDショップでは店頭に陳列しないという所もあった程です。
鮮烈なアートワークに加え、CDに至ってはリスト上は9曲ですが1トラックしかありません!
つまり曲を飛ばして聴くことができず、オープニングからラスト・ナンバーまでずーっと聴かないといけないという仕様になっています。
このアルバムがリリースされた80年代後半はCDが普及し始め、楽曲を軽視されてしまう事へのプリンスなりの抵抗で、”俺の歌を飛ばすなんて事は許さない!”って事ですね。
(但しドイツ盤はキチンとトラックが切ってあります)
ミキシングなどの細かな作業はありますが、中止から約2ヶ月でレコーディングで完成したこのアルバム。
ドラッグや銃などに対して警鐘を鳴らす” No”、エッジの効いたサウンドと暗喩が散りばめられたセクシーだけど表現方法に変化が表れた先行シングル"Alphabet St."、神の啓示を代弁しているかのような歌の"Anna Stesia"、また"Dance On"ではTVで流れる暴力的なニュースに対する脅威を歌ったりと、これまでのどのアルバムよりも精神的なメッセージが多く見られます。
サウンド的には、前半では軽いR&Bにリーヴァイのベースが乗せて馴染み易くし後半ではラップとシーラEのファンキーなドラムが印象的な"Alphabet St."や、ちょっとサイケっぽいロック・サウンドの"Glam Slam"等が魅力的です。
ただ、サウンドや歌詞よりも先程も書いたジャケットが目立ち過ぎて全米でのセールスも散々な結果(英国では支持されましたが...)になりましたが、この純粋な歌詞にはプリンスの内面的な気持ちが表れている1枚だと思います。
Alphabet St.に隠された文字
"Alphabet St."のMVの途中で一瞬だけ“Don’t Buy The Black Album, I’m Sorry (ブラック・アルバムを買わないで、ごめんなさい)”というメッセージが表示されます。これは当時発売中止になった「Black Album」が海賊盤として流出した事に対するものです。
New Power Generationの誕生
"Eye No"の最初でイングリッド・シャヴェイズのセリフが収録されていますが、この中で初めて"New Power Generation"というフレーズが使われ、これがその後のグループ名になりました。
サンプルについて
"Eye No"の冒頭、イングリッド・シャヴェイズのポエトリー・リーディングのバックに流れるのはBBC Radiophonic Workshopが1976年にリリースした「Out Of This World - Atmospheric Sounds And Effects」に収録された”Passing Clouds”の音です。
また"Lovesexy"の3:56辺りで聞こえる”Bizarre... ha ha!”は、The Mothers of Inventionの"Our Bizarre Relationship”の一部が使われています。
【受賞】
The International German Rock Award[Germany]
「Lovesexy」:Pop Album
Edison Awards[Netherlands]
「Lovesexy」:Best International Pop Album
Music Video
ドイツ盤について
前述のドイツ盤は現在も発売され、2018年2月に購入された方の話ではまだトラックが切られたバージョンでリリースされているそうです。
私が購入したバージョンはCD裏面の左上に"7599-25720-2"、"WE835"とクレジットされてました。
トラックを切ったバージョンがサブスクやappleで配信
これまでプリンスの意思を尊重し1トラックで配信されていた「Lovesexy」ですが、2022年に曲毎にトラックを切ったバージョンも配信されるようになりました。