アルバム情報
Released:1995/7/8(giveaway), 2019/4/13 (RSD), 2019/4/17 (JP), 2019/9/13 | Label: NPG Records, SME (reprint)
Track List
- Pussy Control (Club Mix) (Edit) (3:02) -

- Shhh (X-cerpt) (3:54) -

- Get Wild In The House (2:15) - The New Power Generation
Hate U (Remix) (3:28) - 
- 319 (X-cerpt) (1:28) -

- Shy (X-cerpt) (2:22) -

- Billy Jack Bitch (2:31) -

- Sonny T. (X-cerpt) (0:28) - Madhouse
- Rootie Kazootie (Edit) (2:37) - Madhouse
- Chatounette Controle (2:24) -

- Pussy Control (Control Tempo) (Edit) (1:23) -

- Kamasutra Overture #5 (0:43) - The NPG Orchestra
- Free the Music (1:44) - The New Power Generatin
- Segue (0:49) -

- Gold (X-cerpt) (3:36) -

Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince
Written
& Sony T (3)
, Eric Leeds, Michael B, Sonny T, Levi Seacer, Jr. (8, 9)
アルバム・レビュー
アルバム・リリースまでの動き
1995年:幻のプロモーション・カセット
本作は、1995年7月8日からパリ・ファッション・ウィークで開催されたヴェルサーチェ・コレクションにおいて、3日間にわたり来場者へギフトとして配布されたプロモーション用カセットテープです(※日本でのブランド表記は2018年10月に〈ヴェルサーチェ〉へ変更)。
サブタイトルの〈PRELUDE 2 GOLD (GOLDへの序章) 〉が示す通り、主目的は当時発売を控えていたアルバム『The Gold Experience』のプロモーションでした。しかし本作にはそれだけでなく、NPGの『Exodus』、お蔵入りとなったマッドハウスの『24』、のちにリリースされるNPGオーケストラの『Kamasutra』といった当時の関連プロジェクトの楽曲も組み込まれています。
一般的なサンプラーとは異なり、ひとつの作品として通して聴けるよう、多くの楽曲に専用のリミックスやエディットが施され、プリンス自身の声によるオーバーダブも追加されました。配布数はわずか300本にとどまり、長年オークション等で高額取引されるコレクターズ・アイテムとなっていました。
2019年:公式リイシューと一般リリース
まず4月13日の「レコード・ストア・デイ」にて、限定11,000本のリプロ版カセット(輸入盤)がリリースされました(同日には『His Majesty's Pop Life / The Purple Mix Club』も再発)。続いて日本では4月17日に、”LOVE 4EVER”第3弾として日本語解説付きの完全生産限定カセットが発売されます。また、4月25日にはプリンスの地元ミネアポリスの老舗レコード店「エレクトリック・フェータス」限定で、1,000本のみのパープル・エディションも販売されました。
その後、8月23日に「Pussy Control (Club Mix Edit)」、9月6日に「Rootie Kazootie (Edit)」のデジタル先行配信を経て、9月13日に「LOVE 4EVER」第4弾として『Chaos And Disorder』『Emancipation』の2作と同時にCD、LP、デジタル配信で一般発売されました。
プリンスのカタログ上では通算9作目のコンピレーション・アルバムであり、没後6作目の公式リリースとなります。
楽曲について
単なる曲の寄せ集めではなく、ファッション・ショーのランウェイで流れたサウンドトラックをそのまま体感できるシームレスな構成です。全15曲のうち10曲は『The Gold Experience』収録曲(うち4曲はショート・エディットの〈X-cerpt〉)で、そこにNPG名義のトラックやマッドハウスの未発表曲を織り交ぜて展開します。
随所にプリンス本人の声で”Versace”や”The Versace Experience”とつぶやくオーバーダブが差し込まれているのが最大の特徴です。エディット版が多い構成ですが、現場の熱気や、ドナテラ・ヴェルサーチェ(ドナテッラ・ヴェルサーチェ)との親しい関係性がそのまま音に出ているような、プライベート感のある仕上がりになっています。
Pussy Control (Club Mix Edit)
おなじみのNPGオペレーターのアナウンス「Welcome 2 The Dawn…」を遮るように、「The VERSACE Experience…」という声が被さって幕を開けるオープニング・トラック。
この「Club Mix」のフル・バージョンは、1998年にリリースされた3枚組アルバム『Crystal Ball』に「P. Control」と改題されて収録されることになりますが、それまではプロモ盤のアナログ等でしか聴けなかった貴重なミックスのエディット版です
Shhh (X-cerpt)
アルバム『The Gold Experience』に収録されるスロウ・ジャムの抜粋版。1分半弱の短いエディットですが、マイケル・Bが叩き出す重く粘りのあるドラム・ビートと曲の骨格の強さがしっかり伝わってきます。
Get Wild In The House
The New Power Generation名義のアルバム『Exodus』からの先行シングル「Get Wild」に収録されていたリミックス・バージョン。4つ打ちを基調としたアップテンポなハウス調のビートで、ランウェイのウォーキング用としても非常に使い勝手の良いダンサブルなトラックです。
Eye Hate U (Remix)
前半はプリンスのボーカル・バージョン、後半はエリック・リーズのサックスをフィーチャーした「Quiet Night Mix」をつなぎ合わせた、本作のために制作された独自のリミックス。後半のサックスの音色も含め、夜のパリで開催されたショーの雰囲気にしっくり馴染む仕上がりです。
319 (X-cerpt)
カメラのシャッター音のSEが散りばめられたハード・ファンクのエディット版。楽曲自体のテーマやリフの切れ味が、ファッション・ショーのランウェイの空気感とそのまま直結しています。
Shy (X-cerpt)
アコースティック・ファンクの抜粋版。プリンスによる小気味よいギター・カッティングが前面に出ており、前後のエレクトリックなビートの間で心地よいアクセントになっています。
Billy Jack Bitch
ジャケットの曲名クレジットには「(X-cerpt)」等の表記がなく単に「Billy Jack Bitch」と書かれていますが、実際には『The Gold Experience』収録バージョンを約2分半にまとめたショート・エディットです。レニー・クラヴィッツのバック・ボーカルやホーン・セクションの勢いなど、曲が持つファンクの骨太さは短縮版でも損なわれていません。
Sonny T. (X-cerpt)
「Sonny Segue」や「Bass Segue」とも呼ばれる短いインストゥルメンタル。タイトル通りソニー・Tの名を冠したトラックで、歪み(ディストーション)を効かせたソニーのベース・インプロビゼーションがフィーチャーされています。
もともとはお蔵入りとなったマッドハウスの幻のサード・アルバム『24』のラスト(10曲目)を飾る予定だった音源で、本作では次曲の「Rootie Kazootie」へつなぐブリッジとして機能しています。
Rootie Kazootie (Edit)
お蔵入りとなったマッドハウスのサード・アルバム『24』の2曲目に予定されていたジャズ・ファンク・ナンバー。曲名は1950年代のアメリカの子供向けテレビ番組『The Rootie Kazootie Club』の主人公に由来しています。
演奏メンバーはプリンス(key)、マイケル・B(dr)、ソニー・T(ba)、リーヴァイ・シーサー・Jr.(gt)、エリック・リーズ(sax)。アルバム『24』自体は未発表のままですが、エディットされたこのテイクが本作で公式に陽の目を見ることになりました。
Chatounette Controle
1994〜1995年頃に制作された「Pussy Control」の別リミックス。タイトルは直訳すると「子猫(Chatounette)のコントロール」という意味です。モデルのヴェロニカ・ウェヴ(Veronica Webb)によるフランス語のスポークン・ワードがフィーチャーされており、曲中ではケイト・モスやナオミ・キャンベルなどスーパーモデルの名前をプリンスが次々にコールしていきます。かつて企画されていたEP『The Hate Experience』への収録候補にも挙がっていた音源で、ヴェルサーチェのショーの場にふさわしい華やかな遊び心のあるトラックです。
Pussy Control (Control Tempo Edit)
こちらも本作のために用意された「Pussy Control」の別リミックス。ここではショート・エディットとして収録されていますが、この「Control Tempo」ミックス自体は現在に至るまでフル・バージョンが公式リリースされておらず、貴重なテイクとなっています。前のトラックよりもテンポを一段引き上げ、ショーの終盤に向けて推進力を生み出す役割を果たしています。
Kamasutra Overture #5
後にThe NPG Orchestra名義で1997年にリリースされるインストゥルメンタル・アルバム『Kamasutra』からの先行収録音源。『Kamasutra』では「Serotonin(セロトニン)」と改題されて6曲目に収められますが、本作にはその2年前に初期タイトルのままフル尺で収録されました。アップテンポなファンクやハウスが続く全体の構成の中で、ストリングスを中心とした優美なオーケストレーションが良い箸休めとして機能しています。
Free The Music
The New Power Generation名義のシングル「The Good Life」の北米盤のみにカップリング収録されていた楽曲のエディット版。当時ワーナーが北米でのアルバム『Exodus』の発売を拒否したことへの抵抗として作られた背景を持ち、「音楽を解放せよ(Free the music)」というメッセージが込められています。
トラック自体は「The Good Life (Big City Remix)」のトラックを土台に、『Exodus』から「Get Wild」「Count The Days」「Cherry, Cherry」「Return Of The Bump Squad」「Big Fun」「The Exodus Has Begun」「The Good Life」の7曲を順にサンプリングしたメガミックス構成。マイテによる「Exodus」「Free the music」というコーラスの連呼が重なり、軽快ながらも当時のプリンスの強い主張が刻まれたトラックです。
Segue
ラストの「Gold」へつなぐごく短いブリッジ。独立した楽曲というよりは、コレクション全体の流れをひとつのシームレスな体験として完結させるためのサウンド・デザインです。
Gold (X-cerpt)
フィナーレを飾る『The Gold Experience』のタイトル曲の抜粋版。現在はフル・バージョンを聴き慣れているため約3分半のエディットは短く感じられますが、当時まだ正式リリース前だったこのドラマチックな大曲をランウェイの最後で耳にした参加者にとっては、強烈な余韻を残すエンディングだったはずです。
1995年に開催されたショウ
セールスなど
24年を経ての公式リリースでしたが、ビルボードのR&B/ヒップホップ・アルバム・チャートで初登場2位を記録し、Billboard 200でも170位にチャートインしました。1995年当時はごく一部の関係者しか持っていなかった非売品音源が、こうして誰でも公式かつクリアな音質で聴けるようになったこと自体、カタログ再発企画として大きな価値のあるリリースでした。
トリビア
1日で仕上げられたアートワーク
90年代のペイズリー・パーク関連作品で数々のアートワークを手掛けたデザイナー、マイケル・ヴァン・ハッフル(Michael Van Huffel)は、本作のパッケージについて自身のSNSで次のように振り返っています。
"Versace Experience cd package made in a one-day rush panic (at least I was, Prince was quite relaxed)."
「ヴェルサーチ・エクスペリエンスのCDパッケージは、1日限りの大慌てパニックの中で制作した(少なくとも僕自身はパニックだったが、プリンスは至って落ち着いていた)」
"The logo I had to work with was a fax I scanned. We had it rough early internet."
「作業に使えるロゴ素材といえば、FAXで送られてきたものをスキャンしたデータくらいしかなかった。初期のインターネット時代は本当に大変だったよ」
Versace Experience cd package made in a one-day rush panic (at least I was, #Prince was quite relaxed). The logo I had to work with was a fax I scanned
We had it rough early internet. https://t.co/xmypvabOYg
— Michael Van Huffel Photography (@MVH_photos) September 14, 2023
当時の発売予定日を再現したアートワーク
オリジナル・カセットのインサートには、『The Gold Experience』の発売日が「Will Be freed on September 12」と書かれていました(実際の全米発売は9月26日)。2019年の復刻版でもこの延期前の日付がそのままデザインとして残されています。
レーベルの変遷とカタログの位置づけ
1995年のオリジナル・カセットは、ワーナー・ブラザースとNPG Recordsの共同名義で制作されていました。これは当時ワーナーからリリース予定だった『The Gold Experience』のプロモーションを兼ねていたためです。一方、2019年版はプリンス財団とソニー・レガシーによる提携リリースで、2018年の『Anthology: 1995-2010』、2019年序盤の3作(『Musicology』『3121』『Planet Earth』)に続く第5弾の作品となりました。
1,000本限定のパープル・カセット
2019年のレコード・ストア・デイ(4月13日)で配布された11,000本のリプロ版カセットとは別に、同年4月25日にはプリンスの地元ミネアポリスの老舗レコード店「エレクトリック・フェータス(Electric Fetus)」限定で、1,000本のみの「パープル・エディション」カセットも販売されました。
スーパーモデルの点呼とシンディ・クロフォード
「Chatounette Controle」では当時第一線で活躍していたモデル14名の名前がコールされます。ただ、その中心的存在だったシンディ・クロフォードの名前は出てきません。彼女については、すでに『The Black Album』に「Cindy C.」という丸ごと1曲捧げたナンバーがあったため、あえて外した(別格扱いだった)と考えられます。
- ケイト・モス(Kate Moss)
- カースティ・ヒューム (Kirsty Hume)
- ナオミ・キャンベル (Naomi Campbell)
- ヘレナ・クリステンセン (Helena Christensen)
- カーラ・ブルーニ (Carla Bruni)
- クラウディア・シファー (Claudia Schiffer)
- シャローム (Shalom)
- カレン・モルダー (Karen Mulder)
- アンバー・ヴァレッタ (Amber Valetta)
- クリスティン・マクメナミー (Kristen McMenamy)
- ステファニー・シーモア (Stephanie Seymour)
- ステラ・テナント (Stella Tennant)
- ナジャ・アウアマン (Nadja Auermann)
- エヴァ・ハーツィゴヴァ (Eve Herzigova)
2006年のミラノ・コレクション音源(通称『Versace Experience II』)
2006年9月29日、プリンスはミラノ・ファッション・ウィークで開催されたドナテラ・ヴェルサーチェの2007年春夏レディース・コレクションに出席し、このショーのためだけに新録音や別バージョンを含む専用音源を用意しました。この音源には2つの構成が存在します。
- ロング・バージョン(約15分30秒)
The Journey To The Hanamachi / Over The Rainbow / Around The World In A Day / Lolita / Satisfied / Black Sweat / Kiss / Shhh - ショート・バージョン(約13分45秒)
Around The World In A Day / Lolita / Love / Black Sweat / Kiss / Shhh / Kiss (reprise)
どちらにも公式なタイトルは付けられておらず、ファンからは通称『Versace Experience II』や『Versace Experience 2006』と呼ばれています。ランウェイの実演やファッション・チャンネルの配信映像で実際に流れたのはショート・バージョンの方でした。ロング・バージョンが初期案だったのか、別の用途を想定していたのかは明らかになっていません。 なお、同時期に関連作として出回ったプリンス音源とDeee-LiteやCameoなどを繋いだオムニバスDJミックスは、プリンス本人が制作・選曲に関与したものではありません(ハウス調の「Kiss」のリミックスも含め非公認)。
2016年の追悼ショーに関する報道の真相
プリンスが亡くなった直後、2016年6月のミラノ・メンズ・コレクションで未発表音源が使用された際、「プリンスが亡くなる2か月前にドナテラへ個人的に贈った約11分のインスト曲」と一部の新聞などで報じられました。しかし当時の報道は、過去の『Versace Experience』の情報と混同された曖昧な記事が多く、実際に流れたインストゥルメンタルが本当にプリンス自身の手による作曲・提供だったのかについては、現在も正確な確証が取れていません。
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参考ヴェルサーチの2017春夏コレクションでプリンスの楽曲が使用
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Fashion Music Awards (VH1)
プリンスとファッションと言えば、同年開催されたFashion Music Awardsでのパフォーマンスも掲載しておきます。
カセット
当時配られたあの時代へタイムスリップするならカセットテープもオススメです。(個人的にはこちらの方がノスタルジーに浸れました)

