アルバム情報
Released:1996/7/9, 2019/09/13 | Label: Warner Bros., SONY
Track List
- Chaos And Disorder (4:18)
- I Like It There (3:15)
- Dinner With Delores (2:45)
- The Same December (3:23)
- Right The Wrong (4:38)
- Zannalee (2:43)
- I Rock, Therefore I Am (6:14)
- Into The Light (2:46)
- I Will (3:35)
- Dig U Better Dead (4:00)
- Had U (1:25)
Personnel
Produce, Arranged, Composed
Written
Additional Musician
- Michael B. (drums) (1,2,3,4,5,6,8,9)
- Sonny T. (bass) (1,2,3,4,5,6,8,9)
- Mr.Hayes [aka Morris Hayes] (keyboards) (1,2,3,4,5,6,8,9)
- Tommy Barbarella (keyboards) (1,2,3,4,5,6,8,9)
- Rosie Gaines (vocals) (1,7,8,9,10)
- Michael B. Nelson (horns) (5,7)
- Kathy Jensen (horns) (5,7)
- Dave Jensen (horns) (5,7)
- Brian Gallagher (horns) (5,7)
- Steve Strand (horns) (5,7)
- Scrap D. (rap) (7)
- Steppa Ranks (rap) (7)
- Ophélie Winter (sampled) (1)
Produce
- "Double Barrel" by Dave & Ansel Collins (1971) (1)
- "Entrance of the Gladiators" by Julius Fučík (1897) (1)
アルバム・レビュー
1995年12月22日、プリンスはワーナー・ブラザース・レコードとのレコーディング契約を終了することを発表。プリンスは”ワーナーと和解しがたい不和を生じた”とし、更に「ワーナーと契約を履行するために、残りの3枚のアルバムを提供する用意がある”と述べました。
当時具体的なアルバム名は公表されず「The Vault - Volumes I, II and III」と呼ばれ、そのうち2枚は本作と1999年リリースの未発表曲集「The Vault... Old Friends 4 Sale」。
当時の契約6枚のうち既に4枚(「Love Symbol」「Come」「The Black Album」「The Gold Experience」)をリリース。1996年4月26日、ロサンゼルスでワーナー幹部と弁護士を交えて会議に出席し、あと2枚のアルバムを納品することで契約解除の合意が成立しました。
本作は1996年4月に2枚のアーカイヴを提出したうちの1枚が本作で、当時はレコーディングをたった1週間で仕上げたと噂されたアルバムは、"混沌と無秩序"というタイトルや「1999」のアナログ盤を踏みつけたジャケット、荒削りなサウンド等からレベルの低い作品と誤解を与えてしまいました。
アルバムは、ペイズリー・パークとフロリダのサウス・ビーチでレコーディングされ、NPGが8曲に参加、ロージー・ゲインズが久々に合流して5曲、NPGホーンズも活躍し、のソロ作は最終曲の”Had U”のみというバンド感溢れる作品で、まるで1発録音した様なワイルドさとライブ感があります。この感覚は、コンサート後のアフター・パーティで演奏されているジャム・セッションの様な雑然とした中にも一本筋が通った感じがします。
ハード・ロック調のタイトル・トラック"Chaos And Disorder"からスタートし、"Peach"っぽい感じのシンプルなロック・ナンバーの"I Like It There"、社会風刺をしているファンキーなナンバーの"Right The Wrong"等、この頃のの攻撃的な感情が浮き出た楽曲が聴かれます。
特に、レゲエ調のラップをインサートしたグルーヴ感のある"I Rock,Therefore I Am"(我ロックす、故に我あり)とデビュー・アルバム1曲目の"For You”に対するアンサー・ソングとも言える1分26秒の"Had U"では、ワーナーに対する感情が顕著に出た作品だと思われます。
ミディアム/スロー系では、ファースト・シングルとしてはちょっとインパクトの弱さが否めませんがささやき系のヴォーカルが魅力な"Dinner With Delores"、またスロー・テンポから徐々に高揚してく辺りが"Dolphin"を思わせる"Into The Light"から"I Will"の流れは好きです。欲を言えば"Into The Light"は2分46秒と短く、もう少し長いバージョンが聞いてみたかったです。
この他にはビデオ「アンダーティーカー」で既に耳馴染のブルース・ファンクっぽい"Zannalee"や、テンポがコロコロ変わる"The Same December"辺りも面白いです。
一般的に本作リリースから4ヶ月もしないうちにリリースされた「Emancipaition」の内容を考えるとクオリティの面で指摘されがちですが、ストック曲があるとは言え短期間で制作したプリンスの才能はやはり凄いと実感させられますし、「Black Album」を彷彿させる荒削り感とストレートな感情を表現した作品として貴重なアルバムと言えます。
LA Timesのインタビュー
リリース後のインタビューでプリンスは“I was bitter before, but now I’ve washed my face, I can just move on. I’m free.(以前は苦しかったけど、顔を洗ってスッキリした。僕はただ前に進むだけだよ。僕は自由だ)”と語っていました。
また一週間という噂が当時流れた事もあり、それはインタビューの内容が間違って伝わったと思われます。
“Someone told me that Van Halen did their first record in a week,” he says.
「ある人が、ヴァン・ヘイレンのデビュー・アルバムは1週間で作ったと話してくれた。」と彼は言います。“That’s what we were going for—spontaneity, seeing how fast and hard we could thrash it out. It was done very quickly, and we achieved what we wanted to achieve in that period of time.”
「僕たちが目指していたのは、どれだけ早く、どれだけ一生懸命に練り上げられるかという自発性でした。それがあっという間に終わって、あの期間でやりたかったことができた。」
Prince interview archive - Los Angeles Times, 14 July 1996
sites.google.com
Symbol of Ambiguity - Los Angeles Times
www.latimes.com
【1996年の受賞】
BRIT Awards[UK]
Best International Male Artist