ジル・ジョーンズ / タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン
目次
アルバム情報
Released:1989/5/24 | Label: Paisley Park Records, Warner Bros.
Track List
| PersonnelProduce, Arranged
Written
Additional Musician
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アルバム・レビュー
ゴスペル・グループ”ステイプルズ・シンガー”のファンだったプリンスは、ソロ転向するも'79年からアルバムを制作してなかったレーベル・メイトのメイヴィス・ステイプルズをペイズリー・パークに迎え入れ4枚目のアルバムを制作します。
レコーディング自体は'88年から行われていたのですが、プリンスは当時「Lovesexy」を制作し、’88年7月からおこなわれるツアーと激務にも関わらず助力を惜しまずプロデュースを行いました。
流石ファンだっただけあって全8曲中メイヴィスとの共作のタイトル・トラックを含む6曲を書き、プロデュースを行い、残りの2曲に関してはステイプルズの頃から付き合いがあるレスター・スネル他が担当し、プリンスはエグゼクティヴ・プロデューサーというポジションを担う程の熱の入れ様。
全体的な印象は、どれも当時のプリンス色が強いファンク/ソウル色の楽曲が多く、そのサウンドにメイヴィスのパワーのある独特なヴォーカルが乗って、非常に完成度の高い作品になっています。
プリンスがドラムを担当しミコのギターのピッキングにエリックやアトランタらのホーン・セクションが軽快なFUNKチューンの"Interesting"からスタートし、プリンスの独特のギター・サウンド(他全楽器を担当)とメイヴィスの力強くディープな歌声が魅力的な"Jaguar"、単調なリズムながらメイヴィスの圧倒的な力でグイグイ歌いこむ"Train"等どれも彼女の魅力とプリンスの相性の良さが判る楽曲が多いです。
また、前述のレスター・スネル、アル・ベル&ホーム・バンクスら3人が手掛けた2曲はどちらもプリンス・サウンドとは違うものの、彼女と付き合いの長さからかリラックスした雰囲気を感じられます。特に"The Old Songs"ではベン・E・キングが歌った事で有名な"Stand By Me"を途中に挿入した楽曲では、その感じが特に見られます。
彼女の魅力は圧倒的な声量と歌唱力ですが、アップ・テンポの彼女のヴォーカルもさることながら、ラストのバラード・ナンバー"I Guess I'm Crazy"と感動的なエンディング・ソングの"Time Waits or No One"で聴かせるしっとりとした中に説得力のある2曲は秀逸です。