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I Am / Elisa Fiorillo ('90)

アイ・アム / エリサ・フィオリーロ

Released:1990/8/21 (vaultでは1990/9/18表記) | Label: Chrysalis Records

  1. I Am (4:57) P
  2. On The Way Up (4:20) P
  3. Out Of My Mind (4:34)
  4. Playgirl (4:21) P
  5. Love's No Fun (3:50) P
  6. Ooh This I Need (4:00) P
  7. Ain't Right (4:39)
  8. Something So Strong (5:04)
  9. Don't Change (4:08)
  10. Purpose In Your Life (4:07)

Personnel

Produce, Arranged

  • Prince (6)
  • David Z. Rivkin (1-3, 4, 5, 9, 10)
  • Levi Seacer, Jr. (2, 3, 8, 10)
  • Oliver Leiber (7)
  • Ian Prince (8)
  • Darryl Duncan (9)

Written

  • Prince, David Z. Rivkin, Levi Seacer, Jr. (1)
  • Elisa Fiorillo, Prince, David Z. Rivkin and Levi Seacer, Jr. (2)
  • Prince (4-6)
  • Elisa Fiorillo, David Z. Rivkin, Levi Seacer Jr. (10)
  • Elisa Fiorillo, Oliver Leiber (7)
  • Elisa Fiorillo, Ian Prince (8)
  • Elisa Fiorillo, Darryl Duncan (9)
  • Bill Kenner, Micheal Smotherman, Tom Flora (3)

Musician

  • Prince (all instruments) (2, 4, 5)
  • David Z. Rivkin (drums, percussion) (1, 2, 5, 10)
  • Levi Seacer, Jr. (all instruments) (1, 6, 10) (bass) (2) (guitar) (9)
  • St. Paul (bass, organ) (7)
  • Ingrid Chavez (vocals) (4)
  • Rosie Gaines (vocals) (4, 6)
  • Michael B. (drums) (5,6)
  • Sonny T. (bass) (5)
  • Kirk Johnson (electric drums) (6)
  • Michael Koppelman (harpsichord) (6)
  • The Steels (Fred, JD, Jearlyn, Jevetta Steele) (background vocals) (5, 8)
  • Jana Anderson (vocals) (4)
  • Cynthia Johnson (vocals) (4)
  • The Wild Pair [Bruce Deshazer (aka Tony Christian), Marvin Gunn] (vocals) (7)
  • Oliver Leiber (drums) (7)

アルバム・レビュー

アルバム制作の経緯とプロデューサー陣

ジェリービーン(ジョン・“ジェリービーン”・ベニテス)の「Who Found Who」(1987年)でのヴォーカルでも知られるエリサ・フィオリーロ。彼女が1990年にリリースした2ndアルバム『I Am』は、プリンスをはじめとするミネアポリスのキーマンたちが顔を揃え、のちのニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)前夜ともいえる熱気が詰まった一枚です。

もともとプリンスの参加予定はありませんでしたが、きっかけは1989年夏、ペイズリー・パーク・スタジオでの偶然の出会いでした。デヴィッド・Zとリーヴァイ・シーサー・Jr.がエリサとレコーディングを進めていたところ、ふらりと顔を出したプリンスが彼女の歌声をすっかり気に入り、急きょセッションに加わることになります。その場で作業中だったタイトル曲「I Am」や先行シングル「On The Way Up」の曲作りに参加し、さらに1989年後半から1990年5月にかけて3曲を追加提供。結果として、全10曲中5曲にプリンスが関わることになりました。

アルバムのプロデュースは、ミネアポリス・サウンドの立役者であるデヴィッド・Zが中心となって全体の音をまとめ上げています(「Ooh This I Need」のみプリンス自身がプロデュース)。さらに、リーヴァイ・シーサー・Jr.、ソニー・T、ロージー・ゲインズといった結成直前のNPG主要メンバーに加え、元ザ・タイムのブラウンマークやポール・ピーターソン(セント・ポール)の作品を手掛け、ポーラ・アブドゥルのヒット曲でも知られるタ・マラ&ザ・シーンのオリヴァー・レイバー(オリバー・リバー)など、現地の腕利きアーティストたちががっちりと脇を固めています。

楽曲について

やはり注目したいのは、アルバム前半に集中しているプリンス提供・共作の5曲です。 印象的なシンセ・リフと太いビートが耳を引くオープニングの表題曲「I Am」から、先行シングルの「On The Way Up」への流れは、まさに当時の小比類巻かほるポーラ・アブドゥルカルメン・エレクトラらに通じる90年代初頭のミネアポリス流ダンス・チューン。この2曲ではプリンス自身は演奏に加わっていませんが、ソングライトに参加したことで楽曲に独特のキャッチーなフックが注入されています。また、ジュニア・ヴァスケスがリミックスを手掛けた「Playgirl」では、プリンスが全楽器を演奏。エリサ自身の軽快なラップやロージー・ゲインズらのコーラスに加え、よく耳を澄ますと「Raspberry Beret」のカウントとリンドラムのイントロがサンプリングとして忍ばされているのもファンにはたまらない仕掛けです。

一方で、楽曲の懐の深さを見せるのが中盤以降の展開です。同じくプリンスが全楽器を演奏した「Love's No Fun」は、マイケル・Bとソニー・Tのリズム隊にザ・スティールズの重厚なゴスペル・コーラスが重なる極上のソウル・バラード。のちにマイテがアルバム『Child of the Sun』(1995年)でベーシック・トラックを引き継いでカヴァーしたことでも知られる名曲です。さらに、本作中唯一プリンス自身がプロデュースまで手掛けた2ndシングルの「Ooh This I Need」では、どこかミステリアスなミドル・テンポのグルーヴを聴かせてくれます。

プリンス関与曲以外にも聴きどころが多く、オリヴァー・レイバーがプロデュースを手掛けた「Ain't Right」は、セント・ポール(ポール・ピーターソン)のベース&オルガンや、マザラティのトニー&マーヴィンによるユニット〈ザ・ワイルド・ペア〉の力強いコーラスが冴え渡るキャッチーなナンバー。この曲でエリサは友人の体験をもとに人種間の恋愛に対する偏見を歌っており、彼女自身の率直なメッセージが込められています。また、かつて絶望の中にいた13歳のファンとの手紙のやり取りから生まれたというラストの「Purpose In Your Life」など、単なるアイドル的なポップスに終わらない、エリサのシンガー・ソングライターとしての手腕も印象的です。

コラム&トリビア

  • TVショウ用のアレンジが名曲「Push」へ発展
    1991年2月、アメリカのTV番組に出演したエリサは「On The Way Up」「Love's No Fun」「Ooh This I Need」のメドレーを披露しました。この時に使われた新たなアレンジは、プリンスと彼のバンドがエリサたちのために用意した「リハーサル・デモ」に基づいたものでした。そして、この時「Ooh This I Need」のために生み出されたアレンジのアイデアが、のちに『Diamonds and Pearls』に収録される名曲「Push」へと再利用されることになります。
  • シングル盤だけの細かなトリビア
    2ndシングルとしてカットされた「Ooh This I Need」ですが、シングル盤のジャケットや盤面では「Oooh This I Need」と“o”が3つ並ぶスペルに変えられています。
  • お蔵入りとなった関連セッション曲
    当時、プリンスとエリサの間では「Oobey Doop」や「If You Wanna Dance」といった楽曲もレコーディングされていました(本作への収録が検討されていたかは不明)。また、デヴィッド・Zやリーヴァイらと共作した「Say No」という曲は、本作のプロモーション用カセットテープには収録されていたものの、最終的なアルバムからはカットされています。

「I Am」のカヴァー

1998年にジョニー・ラングが"I Am"をカヴァー。
これにはエリサも担当したデヴィッド・Zがプロデュース、さらにエリック・リーズも参加しています。

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