アルバム情報
Released:1992/10/13 | Label: Paisley Park, Warner Bros.
Track List
- My Name Is Prince (6:38)
 - Sexy M.F. (5:24)
 - Love 2 The 9's (5:44)
 - The Morning Papers (3:57)
 - The Max (4:30)
 - Segue (0:21)
 - Blue Light (4:37)
 
 Wanna Melt With U (3:50)- Sweet Baby (4:01)
 - The Continental (5:30)
 - Damn U (4:24)
 - Arrogance (1:35)
 - The Flow (2:25)
 - 7 (5:12)
 - And God Created Woman (3:18)
 - 3 Chains O' Gold (6:02)
 - Segue (1:29)
 - The Sacrifice Of Victor (5:41)
 
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince
 
Written
- Prince
 - Tony M. (Rap written) (1)
 - Prince, Tony M. and Levi Seacer, Jr. (2)
 - Prince and Tony M. (12)
 
Member
- Mayte (vocals)
 - Levi Seacer, Jr. (bass,rhythm guitar)
 - Sonny T. (bass guitar)
 - Tommy Barbarella (keyboards)
 - Michael B. (drums)
 - Tony M. (rap)
 - Damon Dickson (background vocals)
 - Kirk Johnson (background vocals)
 
Additional Musician
- Eric Leeds (saxophone) (7)
 - Clare Fischer (orchestration) (11)
 - Michael B. Nelson (trombone) (2,3,4,12,13,15,16,18)
 - Carmen Electra (rap) (10)
 - Kathy Jensen (baritone saxophone) (2,3,4,12,13,15,16,18)
 - Dave Jensen (trumpet) (2,3,4,12,13,15,16,18)
 - Brian Gallagher (tenor sax) (2,3,4,12,13,15,16,18)
 - Steve Strand (trumpet) (2,3,4,12,13,15,16,18)
 - Kirstie Alley (Vanessa Bartholomew) (6,11,12,17)
 - Michael Koppelman (bass) (7)
 - The Steels (Fred,JD,Jearlyn,Jevetta Steele) (background vocals) (18)
 - D.J. Graves (scratching)
 
Sampled
- "Is This Love" by Bob Marley and The Wailers (1978) (7)
 - "Tramp" by Lowell Fulson (13)
 - "Kool Is Back" by Funk, Inc. (18)
 - ”When Boys Talk” by Indeep (1)
 
アルバム・レビュー
ロージー・ゲインズがソロ・アルバムをリリースする為に脱退し、代わりに加入したのは後にプリンスの奥さんになるマイテ・ガルシアを迎えたアルバムは「
」という記号のみのタイトル。当時どう読んで良いのか判らず日本盤を含む他のメディアでは「ラヴ・シンボル (Love Symbol)」と呼ばれました。
 表ジャケットには近未来の町並みで踊るマイテと演奏するプリンス(後に"7"のワンシーンと判明)、裏ジャケットはピラミッド、曲順はギリシャ数字で記載されている本作はマイテとの出会いが大きく影響しています。
イントロで「Prince」に収録されている名作"I Wanna Be Your Lover"がコラージュされているファンキーなナンバー"My Name Is Prince"で「俺はプリンス、俺はファンキーなのさ 俺はプリンス、ワン・アンド・オンリー」、「7日目に神は俺を造った」と聖書をモチーフにして自らの存在をアピール。
 また前作収録の"Get Off"の発展系とも言える先行シングルの"Sexy M.F."は放送禁止用語のタイトル及び歌詞の内容でラジオでのプレイは敬遠される等と立て続けにかなり攻撃的な歌が続きます。
その一方で、ジャズ・ファンクの"Love 2 The 9's"、カースティ・アレイ扮するヴァネッサ・バーソロミューとの電話インタビューを挟み、レゲエ・テイストの"Blue Light"、フィンガー・シンバル音が聞えてくるオリエンタルなミドルテンポの"7"、”ヴィクター/プリンスじゃないよ”と語る"Segue"をはさみ、若い頃にアンドレ・シモーン宅に居候していた時に世話になったバーナデットへの感謝やアフリカ系アメリカ人としての政治的メッセージも込められた”The Sacrifice Of Victor”で幕を閉じます。
 一歩間違えれば”纏まりがない”と言われそうですが、改名へと繋がるプリンスの複雑な心情が映し出されたアルバムになってると思います。
ワーナーの副社長に就任するも不和が・・・
アルバムがリリースされる約1ヶ月前の'92年8月31日(公表されたのは9月4日)、プリンスはワーナーと当時音楽業界では歴代最高額と言われる約1億ドルで再契約、更にワーナーのA&R(アーティストおよびレパートリー)部門担当副社長に就任しました。
 本人としては”これで自由にアルバムをコントロール出来る”と思ったのでしょうが、実際はワーナーから6枚のアルバムをリリースする事になっており、1億ドルの契約金もセールスなどの条細かく決まっており、逆に足枷になっていまいました。
-  
 A King's Ransom for Prince : Artist Signs Record $100-Million Contract With Warner - Los Angeles Times
www.latimes.com
-  
 royalties - What were the specifics of Prince's "$100 million contract" with Warner Bros. Records in 1992? - Music Fans Stack Exchange
musicfans.stackexchange.com
1億ドルは話題作りであり、内訳を見るとかなり厳しい条件。
- 6枚のアルバムそれぞれに前金1000万ドル(但し前作のアルバムが500万枚以上売れた場合)売上に対する前金の無利子のローンなので、売上が低ければレコード会社に返済しなければならない。(古いアルバムの印税から差し引かれる。)
 - プリンスの著作権の取り扱いについて新たに3年間の契約を結ぶ。前渡金として2000万ドル
 - ペイズリー・パーク・レコードのジョント・ベンチャー化に2000万ドル
出版管理件は〈コントラヴァーシー・ミュージック〉が保持するが、流通させる運営権はワーナーが持つ。ロイヤリティは25% 
この契約による双方の温度差の違いで、ワーナーとの確執が徐々に表面化、プリンスの精神状態が顕著に表れているのが"The Sacrifice Of Victor"のイントロでカースティ・アレイ演じるヴァネッサとプリンスの会話。
 名前を聞かれれば「ヴィクター。プリンスじゃないよ」とか、年齢を聞かれると「320歳」とか....
 本作リリースの翌年となる1993年6月7日、35歳の誕生日を迎えたプリンスは自らの名前を捨て、発音出来ない記号"
"に改名。この事からも、レコーディング時期の頃にはレーベルに対しての不満や葛藤があったのではないかと考えられます。
 そういったマイナス要因がアルバムに反映されか、アルバムは当時200万枚程のセールスと低迷した結果となってしまいました。(200万枚で低迷ってのもね...)
【1992年の受賞】
BRIT Awards[UK]
Best International Solo Artist
Music Video
Love Symbol制作の経緯
当時シンボルマークのデザインに携わったミッチ・モンソン(Mitch Monson)がLOVE SYMBOLの経緯を書いています。
-  
 Creating Prince’s “Love Symbol” - News - LogoLounge
www.logolounge.com
上記の記事によれば、ミッチとクリエイティブ・ディレクターのソテラ・チェッター(Sotera Tschetter)とアートディレクターのリズ・ルース(Lizz Luce)達とクリエイティブ・チームによって制作されました。
1992年、プリンスとクリエイティブ・チームのソテラ・チェッター(Sotera Tschetter)は、ミッチとリズ・ルース(Lizz Luce)がいるミネアポリスにあったHDMG社にデザインを依頼。
 プリンスとソテラは、ラブ・シンボルの完全なビジュアルのイメージをまとめ、ミッチとリズは夜遅くまでデザインに没頭し、プリンスが選んだ最終的なシンボルのデザインを完成させました。(この時ミッチとリズはアートワークを飾るロゴと思っていた)
 完成したロゴは手描だったのでデジタル化するためMacintoshを使用するのですが、グラフィックに強いツールを持っていたなかったため、当時20~30万円程のソフトDF/X Composium Paintboxを購入し制作したそうです。
-  
 The Fascinating Origin Story of Prince's Iconic Symbol | WIRED
www.wired.com
 
