アルバム情報
Released:2015/9/14 (9/7 for TIDAL Streaming) | Label: NPG Records, Universal
Track List
- Million $ Show (feat.Judith Hill) (3:10)
- Shut This Down (3:03)
- Ain't About To Stop(feat.Rita Ora) (3:38)
- Like A Mack(feat.Curly Fryz) (4:04)
- This Could B Us (4:11)
- Fallinlove2nite (3:12)
- X's Face (2:38)
- Hardrocklover (3:42)
- Mr. Nelson(feat. Lianne La Havas) (2:27)
- 1000 X's & O's (4:27)
- June (3:21)
Personnel
Produce, Arranged, Composed, Written
- Prince & Joshua Welton
String Arrangements
- Adi Yeshaya
Horn and String Arrangements, String production
- Michael B. Nelson
Aditional Musician
- Judith Hill (Vocals) (1)
- Rita Ora (Vocals) (3)
- Charli Curiel (Rap) (4)
- Danielle Curiel (Rap) (4)
- Lianne La Havas (Vocal) (9)
- Michael B. Nelson (Trombone) (1,6)
- Steve Strand (Trumpet) (1,6)
- Dave Jensen (Trumpet) (1,6)
- Kenni Holmen (Tenor sax) (1,6)
- Kathy Jensen (Baritone sax) (1,6)
- Donna Grantis (Guitar & Back Vocals) (3)
- Hannah Ford (Back Vocals) (3)
- Ida Nielsen (Back Vocals) (3)
- Joshua Welton (keyboards, drum programming, Vocals) (7)
- Keith Anderson (Saxophone) (4)
- Marcus Anderson (Saxophone) (4)
- Lynn Grissett (Trumpet) (4)
- Joey Rayfield (Trombone) (4)
and more...
アルバム・リリースまでの動き
古巣ワーナーと再契約し'14年9月に単独名義の「ART OFFICIAL AGE」と3RDEYEGIRLと一緒に作った「PLECTRUMELECTRUM」の2枚を同時リリースしたプリンス。
一時は「Purple Rain」の25周年記念盤をリリースすると噂されるも後ろを振り向かず、ジョシュアと一緒にリタ・オラに新曲"The Single Most Amazing"を提供(未発表のまま)した他、3RDEYEGIRLと新曲"What If"や"exs face"を公開。
また5月にはボルティモアで起きたフレディ・グレイさんの死亡事件を受け、メッセージ・ソング"BALTIMORE"を発表&ボルティモアでライブを敢行。
極めつけは3月に不遇な環境にいた新人のジュディス・ヒルの為に全面プロデュースした「Back In Time」を制作&無料配信するというビックリする様なプロモーションを展開する等、この1年はnpgmcを展開していた頃の様な目まぐるしい活動を行っています。
そして前述の"BALTIMORE"のデジタル配信を開始した5月末、突如youtubeで”Don't "Stare" At The Newfunk By Prince This Summer”というメッセージと共に"FREE URSELF"というタイトルの付いたプロモーション動画を配信。
7月には"HARDROCKLOVER"と"Stare"を公開し、翌8月に発表されたのが本作です。
アルバム・レビュー
まずはJAY-Z&ビヨンセ夫妻が立ち上げたTIDALから9月7日に先行リリースとして配信、1週間遅れの14日にCDをリリースする形となりました。(フィジカルはユニバーサルから発売)
「ART OFFICIAL AGE」(以下「AOA」)で手腕を振るった3RDEYEGIRLのハンナの夫でもあるジョシュア・ウェルトン(当時25歳)を共同プロデューサーとして迎えています(今回はソングライトも参加)。
初めて会った時キッチンで聖書について2時間話し込んだと話したプリンスは、別のインタビューで「This is the first time I’ve let someone make a record for me. Josh hears music like I do. (誰かにレコードを作らせるのは初めてだ。ジョシュは僕と同じように音楽を聴いているんだ)」と発言していました。
この他、ホーン&ストリング・アレンジに’90年代から仕事をしているマイケル・B・ネルソン、そして色んなクラッシック・アルバムにも参加しているアディ・イェシャハがクレア・フィッシャー亡き後のストリング・アレンジを担当している辺りは前作同様です。
スタッフの編成と収録曲の内容的にも「AOA」とほぼ同時期に作られた楽曲+αという雰囲気がします。
「Diamonds & Pearls」の頃はラップやヒップ・ホップを全面に取り入れましたが、今回は"プリンス流EDM"。
プリンスが流行に乗るとファンからは”じゃない”と反発が来る事もありますね。もし”ファンに受け入れられるアルバム”作ろうと思ったらジュディス・ヒルに提供した「Back In Time」をプリンスが出せば済むんでしょうが、同じことをやらないのがプリンスらしいです。
マーティン・ホメット氏(Martin Homent)による「AOA」を簡素化したアートワークに'00年からやってたツアー・タイトルの"HITnRUN"、そして1枚で完結しない"Phase One"というサブ・タイトルから、今までの様な”アルバムに対する強い思い”とう感じではなく連作の序章的な立ち位置の作品で、感覚的にはアルバムというよりプリンスが2001年に開設した会員制公式サイト〈npg music club〉で配信してた様な事をTIDALを利用して行おうとしていたのかもしれません。
この頃プリンスは、”ぼくは老人と付き合っている暇はないんだよ。ぼくは若い人たちと仕事がしたいんだ”と発言した事もあり、「ART OFFICIAL AGE」に負けず劣らず今回も若いアーティストを起用し彼女達と音楽を楽しむ為のアルバムを作りたかったのかもしれません。
”Purple Medley"の様に"For You"、"1999"と"Let's Go Crazy"の冒頭を使う仰々しいイントロの"Million $ Show"や、”My Name Is Prince"を彷彿するヒップホップ系ファンクの"Shut This Down"、リタ・オラに提供予定だったものの彼女のアルバムがお蔵入りとなったためプリンスが歌った"Ain’t About To Stop"、「AOA」収録のアレンジ版の"This Could B Us"や"Mr. Nelson"、そして米ドラマ『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』でプリンス自身も登場したパーティ・チューンの"Fallinlove2nite"など、若いジョシュアのアイデアを受け入れて作ったと思われる楽曲が収録されています。
個人的には、ライブ映えしそうな"Hardrocklover"や、1992年に”1,000 Hugs And Kisses”という名で作られた曲を23年振りに表舞台に上げた"1000 X's & o's"もお気に入り。
この曲は当時”1,000 Hugs And Kisses”というタイトルでロージー・ゲインズへ提供する予定でしたがお蔵入り、ノーナ・ヘンドリックスで再録するも再びお蔵入りとなった1曲でした。この曲が今回復活したのはアリーヤ(Aaliyah)の”Rock The Boat”に刺激を受けたプリンスが、ジョシュアに依頼し同曲をモチーフにしたアレンジ曲として仕上がりました。
プリンスは未だ新しい音楽を求めて貪欲に活動している事は喜ばしい反面、流行を取り入れ過ぎると”前の楽曲が好きだった”というファンとの温度差が出てくる事も"プリンスあるある"みたいなもの。
個人的には賛否はどうであれTIDALと関係が良好である限り、今後"Phase Two"、"Phase Three"とリリースされて若い層にもプリンスの良さが広がっていけばいいかなと思ってます。(ほんとそうなれば良かったんですが...)