アルバム情報
Released:1985/4/22 | Label: Paisley Park, Warner Bros.
Track List
- Around The World In A Day (3:25)
- Paisley Park (4:41)
- Condition Of The Heart (6:46)
- Raspberry Beret (3:31)
- Tamborine (2:46)
- America (3:40)
- Pop Life (3:42)
- The Ladder (5:26)
- Temptation (8:17)
Personnel
Produce,Arranged,Composed
- Prince
Written
- Prince
- David Coleman,J.L.Nelson and Prince (1)
- J.L.Nelson and Prince (8)
Member
- Wendy Melvoin (guitars and vocals)
- Lisa Coleman (keyboards and vocals)
- Bobby Z. (drums and percussion)
- Brown Mark (bass and vocals)
- Matt Fink (Dr.Fink) (keyboards and vocals)
Additional Musician
- David Coleman (cello, fingercymbals, darbuka and background vocals) (1) (cello) (4,8)
- Jonathan Melvoin (tamborine, background vocals) (1,7)
- Susannah Melvoin (background vocals) (1,2,8)
- Novi Novog (violin) (2,4)
- Brad Marsh (tamborine) (6)
- Sheila E. (drums) (7)
- Eddie M. (saxophone) (8,9)
- Suzie Katayama (cello) (4,8)
- Sid Page (violin) (8)
- Marcy Dicterow-Vaj (violin) (8)
- Denyse Buffum (viola) (8)
- Laury Woods (viola) (8)
- Tim Barr (bass) (8)
- Annette Atkinson (bass) (8)
- Taja Sevelle (background vocals) (8)
アルバム・レビュー
プリンスの個人レーベル”ペイズリー・パーク”からの第一弾アルバム。
前作「Purple Rain」とほぼ同時期に制作されたと言われるこの作品は、サイケデリックなサウンドを取り入れた事からザ・ビートルズと比較され、適切かどうかは別にして”プリンス版「サージェント・ペパーズ」”と評される事もありました。
多くの人が大ヒットした前作を踏襲するような作品を予測していましたが、蓋を開ければ当時LAで流行りつつあった60年代のサイケデリック・ロックに影響を受けた”ペイズリー・アンダーグラウンド”を取り入れたまったく別のサウンドのオンパレード。サウンドの変化を問われたプリンスは「『Purple Rain』のキーを変えてるだけの音楽がどれだけ簡単に作れるか判るかい?僕は同じような作品は2度作りたくないんだ。」と語っていました。
変化の起点となったのは、アルバム制作に貢献したとしてサンセット・サウンドを48時間自由に使って良い権利を与えられたリサの弟デヴィッド・コールマンとウェンディの兄ジョナサン・メルヴォワンが制作した「Around The World In A Day」。この曲に感銘を受けたウェンディ&リサはすぐにプリンスに聴かせ徐々に方向性が固まったようです。
作詞に関しては以前の様にセックス・アピールの強い作品は殆どなく、より精神的なものに変わっています。サウンド面においては、ブラック・ミュージックは薄れ、エキゾチックな楽器を取り入れ新しいポップ・サウンドを展開しています。
顕著に表れてるのが、1曲目の"Around The World In A Day"で、いきなり中近東辺りにでも連れて行かれそうな感覚になります。これ以降の曲もサイケっぽいサウンドが盛りだくさんで、とてもブラック・ミュージシャンが作ったアルバムとは思えません。にも関わらず”紫色の香り”がするところ等は”流石!”と言ってしまいたくなります。
この作品もいわゆる「Purple Rain2」を期待してた人は失望した人も多かった様で、かなり酷評されていました。しかしその後時間が経つにつれて支持され、全米ではアルバム・チャート1位、英国では第5位までのまずます成功を収めました。
個人的には、このアルバム以降、殿下はセールスやチャートとかいう商業的な事よりも、”今度はこんなの作ったんだよ。聴いてみるかい!”って感じでファンと1対1のコミニュケーションの手段としてのアルバムを作り始めた最初のアルバムの様な感じます。
アートワークの初期デザイン
完成したアートワークは「パープル・レイン」の目の部分のアートワークも担当したダグ・ヘンダーズですが、初期段階ではジム・ウォーレンがデザイン。
彼のサイトにはその当時のアートワークが掲載されています。
Around The World in a Day - Jim Warren Studios
jimwarren.com
プリンスが提示した16のポイント
プリンスが提示した16のポイントは以下のとおり
プリンスが提示した16のポイント
- Olive skinned people wearing hoods & capes of purple. Some could be white (the capes),
紫色のフード&ケープをかぶったオリーブ色の肌の人たち。中には白人の可能性もある(マントの部分) - Pretty little girl aged 3 or 4 on seesaw (she should be laughing),
シーソーに乗った3、4歳のかわいい女の子(笑っているはず) - Paisley lawns with dandelions of yellow and violets. Lots of violets.,
ペイズリー柄の芝生に、黄色のタンポポとスミレ。たくさんのスミレ - An old black man age 55 crying. (sitting down on a step.),
55歳の黒人の老人が泣いている。(段差に腰を下ろして) - Blue sky background with fluffy clouds,
青空の背景、ふわふわの雲 - A beautiful woman, exotic looking wearing a black cape and a raspberry beret,
黒いマントとラズベリー色のベレー帽をかぶった、エキゾチックな雰囲気の美女 - A blonde girl covered in lace eating an ice cream cone,
レースで覆われた金髪の少女がアイスクリームコーンを食べている - A laughing woman dressed in black who resembles Clara Bow. This woman should be hysterically laughing,
クララ・ボウのような黒い服を着た笑う女性。この女性は大笑いしているはずです - An obese bearded man covered with tattoos affectionately hugging a tiger,
虎を抱きしめて愛想を振りまくタトゥーだらけの肥満した髭面の男 - A small body of water on a pier, an old woman crying with a hankerchief over a love lost,
桟橋の小さな水面、失恋してハンカチで泣いている老女 - A ladder leading from the water into one of the clouds in the sky,
水面から空に浮かぶ雲の中へ続く梯子 - Two or 3 people wearing black button downs, playing tamborines (hair shorter on one side),
黒いボタンダウンを着て、タンボリンを演奏している2、3人(片方の髪が短い) - A naked black baby running with an American flag,
アメリカの国旗を持って走っている裸の黒人の赤ちゃん - A small Russian fighter jet flying through the sky. (shouldn't be a real focal point),
空を飛ぶロシアの小型戦闘機。(本当の焦点にはならないはず) - Doves flying and walking,
飛んだり歩いたりしている鳩 - A juggling clown. (two juggling balls a globe).
曲芸をするピエロ。(2つのジャグリングボールと地球儀)
パープル・レイン前まで「Sgt. Pepper」をちゃんと聴いたことが無かった
ビルボードの'16年12月に掲載されたレヴォリューションのインタビュー記事によれば、デズ、マット、ボビーがツアー・バスで「サージェント・ペパーズ」を聴いてるのをプリンスが耳にして、その時初めてしっかり聴いたと答えています。
The Revolution's Final Moments With Prince & 'Purple Rain'
www.billboard.com
3人が居ることから「1999」までの出来事ですが、この出来事が本作を作るのに少なからず影響を与えたのかもしれませんね。
Raspberry Beretには意外な人が
"Raspberry Beret"のMVでベレー帽を被った女性は映画『リーサル・ウェポン』や『レス・ザン・ゼロ』等に出演している女優のジャッキー・スワンソン(Jackie Swanson)、また右奥にいる男性はフー・ファイターズのパット・スメア(Pat Smear)です。