アルバム情報
Released:2010/7/10 (Daily Mirror and Daily Record,Het Nieuwsblad, de Gentenaar) 7/22 (Rolling Stone (Germany)) | Label: NPG Records
Track List
- Compassion (3:57)
- Beginning Endlessly (5:27)
- Future Soul Song (5:08)
- Sticky Like Glue (4:46)
- Act Of God (3:14)
- Lavaux (3:04)
- Walk In Sand (3:30)
- Sea Of Everything (3:49)
- Everybody Loves Me (4:09)
- Laydown (3:07)
Personnel
Produce, Arranged, Composed, Written
- Prince
Additional Musician
- Shelby J. (vocals) (1-5,9,10)
- Liv Warfield (vocals) (1-5,9,10)
- Elisa Dease (vocals) (1-5,9,10)
- Maceo Parker (saxophone) (1)
- Greg Boyer (trombone) (1)
- Ray Monteiro (trumpet) (1)
アルバム・リリースまでの動き
2010年に入り、1月に地元のNFLチーム「ミネソタ・ヴァイキングス」の応援ソング"Purple and Gold"を発表。
2月には地元のラジオ局89.3 The Currentで"Cause and Effect"を発表する等、精力的な活動の一方で公式サイトLotusflow3r.comを3月末に閉鎖。
その後、6月の誕生日に合わせて前述のラジオ局で"Hot Summer"を発表。同月27日にはBETの生涯功労賞(Lifetime Achievement Award)を受賞。この授賞式でサイト閉鎖時に噂になっていた新作のジャケットを模したシャツで登場した事で噂が決定的になりました。
アルバム・レビュー
2010年リリースという事でタイトルもシンプルに「2010 (20Ten)」。
音楽配信方法に違和感を抱いたプリンスは雑誌のインタビューで”internet is dead (インターネットは終わった)”と話し、リリース形態を「Planet Earth」から一歩進め、7月10日のイギリスのDaily Mirror紙、スコットランドのThe Daily Record紙、ベルギーのHet Nieuwsblad紙、そして7月22日にフランスのCourrier International誌、ドイツ版のRolling Stone誌と複数の雑誌にアルバムを付けるという手段を取りました。
雑誌の付録だったので大手CDショップでも取り扱ってる店舗が少なかった上、出版直後にネットに流出してしまうというプリンスの思惑とは逆の事が行われました。
参加ミュージシャンはメイシオ、グレッグ、レイのホーン隊が1曲のみ参加。他はシェルビー、リヴ、エリサのコーラス隊というシンプルな編成。
シェルビー・J達の女性コーラス+キャッチーなリズムが80年代のポンターシスターズを思い出させる"Compassion"からスタート。"1曲目の続きか?"と思わせる大人なラブ・ソングの"Endlessly Beginning"はコンサートを想定した作りなのか流れる様に移行していきます。
アップテンポが続いた後は期の香り漂うスロウ・ナンバーの"Future Soul Song"とギターのカッティングが耳に残る"Sticky Like Glue"、ベース音が特徴的な"Lavaux"や、当時の社会問題や戦争・神について問題提起する"Act Of God"、再びの頃のアルバムに入ってそうなスロウ・ナンバーの"Sea Of Everything"、そしてラストは1曲目に戻った様なキャッチーな"Everybody Loves Me"で終わります・・・と見せかけて77曲目に自らを映画『スター・ウォーズ』に出てくる"ジェダイ・マスター"ヨーダになぞって”ミネソタからパープル・ヨーダーがやってくる・・・”と歌う"Laydown"が収録、これがまたカッコイイです。
ホーンとコーラスが参加してるものの、今回もほぼ一人でやり遂げる姿は"52歳になっても未だ衰えるどころか若々しくなってる!"と感動してしまいます。
幻の20ten DELUXE
2010年10月8日フランスのラジオ局Europe 1で未発表曲の"Rich Friends"のクリップを流し、同曲を含む一般流通用に計画された「20Ten Deluxe」に収録されると発表されました。
(10月14日にはNYのラジオ曲KTU.comでフル尺が流されました)
デラックス盤についてはワーナーと話し合ったという話もあり、アートディレクターには「Lotuflow3r」を担当したアンソニー・マルゾーン(Anthony Malzone)が務めプロジェクトは進んでいましたが結局リリースされる事なくお蔵入りとなりました。
収録曲は不明ですが、上記の他に”Laydown”のロング・バージョンや2010年7月7日に89.3 The Current’s websiteで流れた"Hot Summer"等も収録候補だったかもしれません。
ただ、当時「Welcome 2 America」も制作し"Hot Summer"が同作に選曲された経緯を考えると、プリンスの心は既発曲の再編集より新作に目移りしていたのかもしれません。(「W2A」も結果的にお蔵入り、2021年に未発表作としてリリース)
またこの頃プリンスは海賊版に対して対決姿勢を示していて、2011年6月のインタビューでは著作権保護についてホワイトハウスに行くこと、海賊版問題があるから次のアルバムを録音する予定は無いと発言しています。
またデジタル音楽に拒否反応を示し”再生しても何も感じない。僕たちはアナログ人間であって、デジタル人間ではないんだ。”とも発言しています。
Prince: 'It's fun being in Islamic countries' | Prince | The Guardian
www.theguardian.com
【2010年の受賞】
BET Awards
Lifetime Achievement Award