アルバム情報
Released:2015/12/15 (12/12 for TIDAL Streaming:2016/05/27 Japan) | Label: NPG Records, Universal
Track List
- Baltimore (4:33)
- Rocknroll Loveaffair (4:01)
- 2 Y. 2 D. (3:50)
- Look At Me, Look At U (3:27)
- Stare (3:45)
- Xtraloveable (5:00)
- Groovy Potential (6:16)
- When She Comes (3:45)
- Screwdriver (4:15)
- Black Muse (7:21)
- Revelation (5:21)
- Big City (6:26)
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince (credited to Prince & the New Power Generation)
Written
- Prince
Horn and String Arrangements, String production
- Michael B. Nelson
String Arrangements
- Adi Yeshaya
Additional Musician
- Ida Nielsen (bass) (2,9,12)
- Donna Grantis (guitar) (9,12)
- Hannah Ford (drums) (9,12)
- Michael B. Nelson (trombone) (1,3,6,7,12)
- Steve Strand (trumpet) (1,3,6,7,12)
- Dave Jensen (trumpet) (1,3,6,7,12)
- Kenni Holmen (tenor sax) (1,3,6,7,12)
- Kathy Jensen (baritone sax) (1,3,6,7,12)
- John Blackwell (drums) (2)
- Justin Stanley (keyboards, handclaps) (3)
- Michael B. (drums) (7)
- Andrew Gouché (bass) (8,11)
- Eryn Allen Kane (vocals) (1)
- Andy Allo (background vocals) (10)
- Shelby J. (background vocals) (10.,12)
- Elisa Dease (background vocals) (10.,12)
- Liv Warfield (background vocals) (10.,12)
- Ledisi (background vocals) (12)
- Cassandra O'Neal (keyboards) (12)
●NPG Hornz
- Marcus Anderson (saxophone) (4,5,11,12)
- Keith Anderson (saxophone) (5,12)
- Lynn Grissett (trumpet) (5,12)
- Joey Rayfield (trombone) (5,12)
- Adrian Crutchfield (saxophone) (12)
- BK Jackson (saxophone) (12)
- Sylvester Onyejiaka [a.k.a. Sly 5th Ave] (saxophone) (12)
- Steve Reid (trumpet) (12)
- Phillip Lassiter (trumpet) (12)
- Nick Marchione (trumpet) (12)
- Roy Agee (trombone) (12)
アルバム・レビュー
'15年9月、TIDALからリリースされた「HITnRUN Phase One」から僅か3ヶ月でリリースされた第2弾アルバムです。
まずは2015年12月12日にTIDAL、15日にiTunesとデジタル配信を先行。翌年1月21日にペイズリー・パーク・スタジオで行われたライブと地元のレコード店〈Electric Fetus〉でCDを先行販売。その後ユニバーサル・ミュージックを通じ4月27日に日本、29日に世界で販売されました。
当初アルバムはいつリリースされるのか?というTwitterの質問に対して「Warner Bros. Records WB HAS IT ALREADY. PETITION THEM 2 RELEASE IT.(ワーナーは既に持ってるよ。リリースするよう請願して)」と回答。フェーズ1から3ヶ月という短いスパンに難色を示したのか成立しなかった際にツィートされた最後の”WE CAN WORK THIS OUT!"がワーナーと契約した際に披露した”I Hope We Work It Out”に引っ掛けるとはなんという伏線回収!
アルバムですが前作はプロデュース、アレンジ、コンポーズドの欄にジョシュアがプリンスと同列に並んでいましたが、今回は久々にプリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション名義になりました。
楽曲は”Look At Me, Look At U”以外は過去にシングルやライブで披露した楽曲という構成になっています。
既発曲を具体的に書くと、 シングルの発表順だと・・・
- "Xtraloveable" (11/11/23)
- "Rocknroll Loveaffair" ('12/11/22)
- "Screwdriver" (12/12/17)
- "Groovy Potential" (13/8/14)
- "Stare" ('15/5/27)
- "Baltimore" ('15/9/26)
ライブで披露した楽曲は・・・
- "Black Muse" ('10/12)
- "When She Comes" ('11/5)
- "2 Y. 2 D. (2 Yang 2 Dance)" ('13/4)
- "Big City" ('13/5)
- "Revelation" ('14/9)
です。(もしかするとライブ披露は若干の誤差があるかもしれません)
試しにこれまでシングル化された楽曲をアルバムの楽曲と差し替えて聴いてみましたが、これだと"Rocknroll Loveaffair"や"Screwdriver"が突出してしまいます。
そこでホーン隊等を追加する等のアレンジを施し、曲順を考えアルバム全体のバランスを調整されている辺り”流石プリンス”と思わせる構成です。
冒頭を飾る”Baltimore”は、2015年4月19日ボルチモアで逮捕された黒人青年フレディ・グレイさんが警官の暴行による死亡事件と、同市で起きた大規模な抗議行動を受け4月30日に一人でレコーディング。楽曲を仕上げてる5月2日にエリン・アレン・ケインがヴォーカルで参加し完成すると9日にsoundcloudで無料配信、26日にはホーン・アレンジが追加されシングルでリリースされました。
歌詞には前年ファーガソンで白人警官に射殺されたマイケル・ブラウンさんの事にも触れたプロテスト・ソングで、コーラス部の”正義がなければ、平和もない”は強烈に訴えかけてきます。プリンスは歌だけでなくアフリカ系アメリカ人の若者がパソコンなどテクノロジーに関わる事を目的とした〈YesWeCode〉の設立にも関わるようになります。
How Prince helped launch the #YesWeCode initiative after the Trayvon Martin verdict - Los Angeles Times
www.latimes.com
話題曲と言えばやはり”Xtraloveable”でしょう。オリジナルは1982年ですが(後半でデズの脱退とウェンディの加入を描いてる事から翌年再録した可能性が高い)一旦お蔵入り。それから約30年後の2011年〈Welcome 2 Canada Tour〉の記念にジョン・ブラックウェルとアンディ・アローがラップで参加した”Extraloveable”をシングル・リリース。本作ではアンディのパートをカットしホーンでお化粧直ししたバージョンが収録されてます。
新曲で注目すべき点はクレジットこそされていませんが、”When She Comes”と"Black Muse"の後半に収録されている”1,000 Light Years From Here”は共に「Welcome 2 America」に収録する予定だった曲。2021年にリリースされた事でアレンジや歌詞の違いも楽しむ事が出来ます。
ラストの"Big City"はホーンヘッズとNPGホーンズの新旧ホーン隊の共演です。(アレンジを担当してないので記載はありませんがインタビューでイントロ部を担当した事を話しています。)
3ヶ月前はEDMの方に舵を取ってたのが嘘の様なオールド・スクール的なR&Bアルバムに戻したのは、EDMに対する評判が思う程良くなかったのかもしれませんが、同じアルバムを続けて作らいないプリンスの方針としては至極当然の事だと思います。とは言えこれほど短期間で方向転換出来る才能は只々脱帽です。
歌詞について
現地で直販または通販されている分を除き、輸入盤および日本盤には"2 Y. 2 D."、"Black Muse"、"Revelation、"Big City"の歌詞が掲載されていません。
ジャスティン・スタンレーのインタビュー
本作のエンジニアでニッカ・コスタの夫でもあるジャスティン・スタンレーのインタビュー
“Xtraloveable” was an old school, classic Prince track that dated back to the ‘80s. Prince would sometimes pull tapes out of the Vault (The Purple One’s mythical heavily secured library rumored to contain thousands of unreleased songs, videos and concert footage). He would bring them in and put them in the tape machine. Until the end, Prince was still using analog tape. He would only go to Pro Tools at the end of a session. He used the tapes to get him inspired. He was always reinventing and taking inspiration from those tapes in the Vault.
「Xtraloveable」は、80年代にさかのぼるオールドスクールなプリンスの名曲だ。
プリンスは時々、ヴォルト(何千もの未発表曲、ビデオ、コンサート映像が入っていると噂される、パープル・ワンの神話的な厳重に守られたライブラリー)からテープを引っ張り出していた。彼はそれを持ち込んで、テープ・マシーンに入れていた。
プリンスは最後までずっとアナログテープを使っていたんだ。Pro Toolsに移行するのはセッションの最後だけだった。
彼はインスピレーションを得るためにテープを使っていた。彼はいつもヴォルトにあるテープからインスピレーションを得て再構築していたんだ。
Justin Stanley on working with Prince on ‘HitnRUN Phase Two’ – The Iconic Prince
theiconicprince.wordpress.com