アルバム情報
Released:1989/6/20 | Label: Warner Bros.
Track List
- The Future (4:07)
- Electric Chair (4:07)
- The Arms Of Orion (5:02)
- Partyman (3:11)
- Vicki Waiting (4:51)
- Trust (4:23)
- Lemon Crush (4:15)
- Scandalous (6:14)
- Batdance (6:13)
Personnel
Produce, Arranged, Composed
- Prince
Written
- Prince
- Prince and Sheena Easton (3)
- Prince and John L. Nelson (8)
Additional Musician
- Eric Leeds (saxophone) (6)
- Atlanta Bliss (trumpet) (6)
- Clare Fischer (orchestra) (1)
- Sheena Easton (co-lead vocals) (3)
- Sounds of Blackness (choir) (1)
- Jack Nicholson (sampled vocals) (1,4,5,9)
- Michael Keaton (sampled vocals) (1,4,5,9)
- Kim Basinger (sampled vocals) (1,4,5,9)
- Christopher Fairbank (sampled vocals) (1)
- Femi Jiya (sampled vocals) (4)
- Anna Fantastic (sampled vocals) (4)
- Robert Wuhl (sampled vocals) (6)
- Matthew Larson (sampled vocals) (9)
Sampled
- "Batman Theme" by Neal Hefti ('66) (9)
- "I Wouldn't Change a Thing" by Coke Escovedo ('76) ("Batdance (The Batmix)")
アルバム・レビュー
「Purple Rain」以降徐々にセールスを落とし、「LOVESEXY」ではついに米国よりも英国がチャート成績が良くなったという状況で作られた新作は、マイケル・キートン主演映画『バットマン』のサウンド・トラックでした。
自身が出演しないサウンド・トラックを手掛けた経緯は、子供の頃に父親に"バットマンのテーマ"を弾いてもらったというエピソードがあるほど好きなキャラクターだった事もありますが、最大の要因はプリンスの大ファンだったティム・バートン監督とジョーカーを演じるジャック・ニコルソンからのアプローチによるもの。
映画製作時、テム・バートン監督はイメージを掴むため"1999"と"Baby I'm A Star"を使用していて、1988年12月に監督からプリンスに対し再録または新曲の提供を打診、プリンスは1989年1月に撮影中のパインウッド・スタジオに招かれセットや映像を目の当たりにし創作意欲を高めます。
〈Lovesexy Tour〉の日本公演を終えると休暇返上でペイズリー・パークに籠もり、”200 Balloons”や"Batman Theme"、当時制作中だったアルバムから"Rave Unto The Joy Fantastic"などを含む11曲を監督に提出しました。
プリンスにとってみれば今までのアルバムは自己表現の1つの手段でしたが、本作はシナリオや監督が求める映画のイメージがある為「商業ベースで作る事のできるアルバム」と大きく異なります。
そういう点からも肩の力が抜け自由に制作したアルバムになっています。
"The Future"ではバットマン役のマイケル・キートンの声をサンプリングしソリッドなサウンドにしたり、"Electric Chair"や"Partyman"ではジョーカー役のジャック・ニコルソンの声をサンプリングしてファンキーなナンバーを披露したりと、各キャラクターの声を自在に操り、そのテクニックを存分に発揮しています。
まるで”セールス重視のアルバムなんて造作もないさ!”と言わんばかりに・・・・
特にラストの"Batdance"では、その集大成とも言える程、映画の1シーンをサンプリングして秀逸な組曲に仕上がっています。(プロモーションビデオも圧巻)
またプリンスが惚れてたシーナ・イーストンを迎えてしっとりと歌い上げる"The Arms Of Orion"も全体のバランスを整える良いアクセントになっています。
このアルバムはティム・バートンが描くダークな雰囲気とプリンスの作ったサウンドが見事にマッチし、「Around The World In A Day」以来となるビルボード200で(6週連続)1位、リード・シングルの"Batdance"は"Kiss"以来の1位を獲得と久々に"商業的"成功を収めました。
"Vicki Waiting"のオリジナル
アルバム収録の"Vicki Waiting"は当時付き合っていたアナ・ガルシア(プリンスからアンナ・ファンタスティックと命名)の為に作られた曲でオリジナルは"Anna Waiting"で、"Lemon Crush"は彼女が好きな飲み物から名付けられました。
プリンスが関与する前にはマイケル・ジャクソンにも打診
映画プロデューサー(ピーター・グーバーもしくはジョン・ピーターズ)は当初マイケル・ジャクソンにも打診したそうですが、当時BADツアー中だった事もあり断られたと言われています。(Epic/CBS所属だったマイケルがワーナー・ブラザーズの映画に提供する事が困難だったのかもしれません)
30 Things You Didn't Know About Tim Burton's Batman – Page 5
whatculture.com
これについてはプリンスも2001年のローリングストーン誌のインタビューで
Did you know that the album was supposed to be a duet between Michael Jackson and me?
He as Batman, me as the Joker?
このアルバムは、マイケル・ジャクソンと僕のデュエットになるはずだったって知ってるかい?
彼(マイケル)はバットマン、僕はジョーカーとしてね。
と語っていて、プリンスはジョーカーをイメージしたファンキーな曲を歌い、マイケルはバットマンをイメージしたバラードを歌う予定だったと言われていますが、企画がどこまで進んでいたかは不明。
サウンズ・オブ・ブラックネスのゲイリー・ハインズによる証言
2022年、サウンズ・オブ・ブラックネスのゲイリー・ハインズは、インタビューで「夜中にプリンスに呼ばれて”Scandalous”のレコーディングをした」と証言。
結果的にグループのコーラスは採用されませんでしたが、"The Future"や”Batdance”で採用されました。
The Oral History of Prince’s ‘Batman’ Soundtrack - The Ringer
www.theringer.com
【受賞】
ASCAP Film and Television Music Awards
"Partyman":Most Performed Songs from Motion Pictures
BRIT Awards[UK]
「Batman」:Best International Solo Artist