昨年プリンスの未発表音源「Deliverance」をリリースしようとしたプロデューサーに対し400万ドルの損害賠償請求の判決が下りたそうです。
エステート勝訴ですっかり忘れていましたが、digitalmusicnews.comによれば、裁判所はボクシルに対し400万ドル(正確には3,960,287.65ドル)を損害賠償として請求する判決を下した様です。
支払額に加えボクシルが所有しているプリンスの全ての音源も引き渡す事も含まれているそうです。
「Deliverance」リリース騒動から判決までの流れを書いておきます。
4月21日に未発表曲が突如リリース
プリンスが永遠の存在になった1年後の'17年4月21日に突如未発表音源をリリースすると発表(発表したのは18日)。
プロデューサーは、'06年から'08年にかけてプリンスの「3121」、「Planet Earth」('07)やロンダ・スミスの「R2」('07)、ブリア・バレンティの「Elixer」('09)等にレコーディング・エンジニアとして参加していたジョージ・イアン・ボクシル(クレジットでは"Ian Boxill"と表記)で、インディペンデント・レーベル”RMA (Rogue Music Alliance)”からリリースされる形となりました。
発表と同時にタイトル・トラックの”Deliverance”が先行アップされました。
この曲は、’06年に収録さたものの毎回お蔵入りとなり「Lotusflow3r」でも最終選考まで残ったものの外された1曲でした。
Deliverance
Track List
- Deliverance (3:45)
- I Am (2:24)
- Touch Me (1:49)
- Sunrise Sunset (1:12)
- No One Else (2:52)
- I Am (extended) (3:49)
他の5曲もほぼ同時期に録音されたものでお宝音源発表という事でファンの間で騒然となりました。
アメリカで販売されるもエステートが提訴、ボクシルは不服申立て
デジタル・リリース後フィジカルは6月2日にリリースされる予定でしたが、当然プリンスの遺産を管理するプリンス・エステート側が”非公式”音源を無許可でリリースしたとして販売差し止めを求めました。
これに伴い発表から1日経った19日には販売リストからも削除されました。
ボクシル側も想定内だったのか”Deliverance”は既に発売されてた楽曲は差し止めに当たらないと不服を申し立てます。
ミネソタ州の連邦裁判所も6曲込みのEPは一旦差し止めを許可するも”Deliverance”は許可したためボクシルは”deliverance.is”というサイトを立ち上げ、アメリカ限定でMP3を$1.29 (USD)、FLACを$3.50で販売を再開しました。
再度差し止め
’17年5月3日に差し止め措置が切れる為エステート側は再度差し止め要求を提出、シングルをリリースしてたdeliverance.isも閉鎖となり、翌年1月末にはエステート側が勝訴を発表し、この問題は決着しました。
今回の報道で損害賠償の具体的な額が公表
8月には判決が下りていたんですが、今回の報道で具体的な額が公表されたという事になりますね。
・・・とは言え
当時”アメリカ限定”と言われても、一度世に出たものは止める事も出来ずリリース直後には↓のSoundcloudにアップされる等、全世界に流通しました。
勝手にリリースしたボクシルが悪いのは当たり前なんですが、これをブートで売って利益を得ようとする人がいる事を考えたらエステート側と協議しプリンス側にお金が流れる方法を模索してくれたが良かった気がするんですけどね...